『ゼロ年代の想像力』(宇野常寛)

2008.07.28 Monday 23:50
井庭 崇


こんなふうに、若手が登場するとき、上の世代への批判的立場として登場するというのは、この世界ではある意味常套手段であり、それによって論旨が明確になるという面があるが、それにしてもこの言葉の鋭さ・思い切りに、ドキっとさせられる。「わぁ、言っちゃった。すごいな。」という。

本人たちは交流もあるようだし、謝辞でも東さんへの言及があるので、そういう意味では心配はないが、ぜひ今後も健全な「議論」の連鎖につながってほしいと思う。東さんがかつて上の世代とドンパチやったように、今度は、下の世代の論敵と、刺激的な議論がなされていくのを、一読者として読んでみたいという気持ちがある。

それと同時に、宇野さんの次の本が楽しみだ。「敵」(批判する相手)が明確で、そこに上下差があると、新人登場の「物語」としてこれほどわかりやすいものはない。文脈が明確で、論が立てやすい。そして、チャンピオンへ挑む若手というのは、いつの時代もどんな分野でも、周囲の共感・応援が受けやすい。ほほえましく思われる。だけど、問題はその次だ。二度目も同じ手で行くわけにはいかない。さらに、今後チャンピオンと並んだとき、あるいは追い抜いたとき、倒すべきライバルがいない状況で、どのような論が展開できるのか。そこが本当の勝負どころであり、楽しみなところだ。登っているときは人は意外と強い。登りつめてしまったとき、そこからがきついのだ。その意味で、東さんも、宮台さんも、大澤さんも、大変なんだと思う。もはやそういう自分との戦いの領域に入っているからだ。それでも、本を書き続けている。このことが、僕にはとてもすごいことに思えてならない。

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