『ゼロ年代の想像力』(宇野常寛)

2008.07.28 Monday 23:50
井庭 崇




■断片化(島宇宙化)する社会のなかで

最後に、「島宇宙化」し断片化した社会において、重要なのがコミュニケーションだ、という宇野さんの指摘を取り上げたい。だからこそコミュニケーションのあり方を考えるべきだ ――― これについては、僕も同感だ。この本では、そこから先はほとんど論じられていないが、ここから先が僕の研究に関係してくる。

「私たちはたしかに自由を手に入れた。価値観を有し、同じ小さな物語を生きる人々を検索し、その島宇宙の中で信じたいものを信じて快適に生きていくことが可能のように思える。だが、インターネットは検索して、棲み分ける道具であると同時に、世界をつなぐ道具でもある。本来なら出会わなかったかもしれない小さな物語たちが、ウェブという同じ空間に並べられることで接してしまう。よりマクロな次元では小さな物語たちは棲み分ける一方で、ソーシャルネットワーキング・システムのコミュニティのように同じウェブという空間に並列されてしまう。そして異なる小さな物語が同じ空間に並列されることによって、それぞれの小さな物語はその正当性の獲得と自己保存のために、内側に対してはノイズを排除する力が働き、外側に対しては他の物語そのものを否定する力が働く。匿名掲示板、ブログサイトの『炎上』、『学校裏サイト』------小さな物語は他の小さな物語を排斥する排他的なコミュニティとして私たちが生きる世界のあらゆる場面を覆っているのだ。」(p.38)

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