幻のバンド !? リアル・ライフ・ファクトリー (その2)

2008.08.03 Sunday 23:50
井庭 崇


僕が大学院生のときに組んだ即席バンド「リアル・ライフ・ファクトリー」で体験した「作詞」について書きたいと思う。そして、そのときの歌をあと2曲だけ紹介することしよう。

image[band6.jpg]僕らは「曲先」(曲をつくった後、歌詞をあてる順番)で歌をつくっていった。まず植野がギターを引きながら、曲をつくる。ときに、僕らに相談したりしながら、少しずつつくっていく。そして、それをMDに吹き込む。僕は、そんな「できたて」の曲を、MDウォークマン(時代的にまだiPodではない)で何度も聴きながら、歌詞をあてていく。

実際にやってみると、歌詞をつくるのって難しいな、と痛感する。まだギターパートとメロディラインしかできていない曲を聴きながら、どういう世界観の歌詞が合うのかを考える(感じる)ことから始める。そして、そのメロディラインに言葉をのせていく。言葉選びのときは、イメージが合うかだけでなく、文字数も合っていないといけない。このときはまだ、歌いやすさを考える余裕はなかったが、本当はそういうことも考えないといけない。歌詞は、最終的には「音」として表現されるから、音としての響きは重要だ。

しかも、歌詞には2番があって、1番とトーンを統一するが、違う内容を歌わなければならない。これが難しい。とても難しい。あまりに難しいので、このころからJ-POPの歌詞を分析し始めた。ふだん僕らが聴いている歌の歌詞が、どのような構造・表現になっているのか、ということを分析してみるのだ。それでわかったことは、歌詞がうまい人たちは、本当にうまいということ。具体的な話はまた今度紹介したいと思うが、実に巧みにつくられていることがわかってくる。(ちなみに、このときわかったことを、僕は「コラボレーション技法ワークショップ」の授業で教えている。この授業には「J-POPの歌詞分析」の回があり、「共感」の仕組みについて考えるきっかけにしている。)

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