井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

<< December 2010 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

井庭研説明会(2011年度春学期 新規履修者対象)のポスター

井庭研説明会(2011年度春学期 新規履修者対象)のポスターをつくりました。

今回は僕がつくりました(前回はゼミ生が作成)。

できるだけシンプルなデザインを心がけて。


ilab_poster2010f.jpg
井庭研だより | - | -

井庭研究会B2(2011年春学期)シラバス

井庭崇研究会B2(火曜5限)

新しいシステム理論にもとづく社会研究
(コミュニケーションの連鎖の分析とメディア構築)


【Important Dates】

2011年
1月13日(木) 5限 井庭研説明会
1月22日(土) エントリー〆切
1月27・28日(木・金) 面接
1月29日(土) 井庭研最終発表会(2010年度)


【目的・内容】

自分たちで自分たちの未来をデザインする―――― 社会が複雑化し多様化するなかで、いかにしてそれを実現するのか。これは現代社会が抱えている根本的な課題です。自己革新的な社会においては、自らヴィジョンを創造し、それを具現化する仕組みをデザインし、実践することが求められます。本研究会では、新しいシステム理論にもとづき、秩序形成の原理と、新しい仕組みのデザイン/実践の方法を探究します。

本研究会は、「新しいシステム理論の探究」「個人研究」の二本柱で構成されます。

「新しいシステム理論の探究」では、ニクラス・ルーマンの「社会システム理論」(Social Systems Theory)に関する文献を読み込み、理解を深めます。この理論では、社会を「コミュニケーション」という出来事の生成・連鎖の視点で捉えます。そして、本来は生起しにくい社会的秩序が、いかにして生じ得るのかを考察します(より具体的に言うと、コミュニケーションの生成・連鎖を下支えしている「メディア」は何かを特定し、その働きを理解します)。この理論はこれまでにも、政治、経済、法、科学、教育、芸術、宗教、マスメディア、社会運動、組織、愛など、様々な社会現象の理解に用いられており、多様な社会現象を統一的な視点で理解し、比較検討できることがわかっています。

「個人研究」では、各自の問題意識にもとづく研究に取り組みます。つまり、自分がどうしても取り組みたいテーマ、「研究への情熱」が持てるテーマについて、システム理論にもとづいて分析・考察し、新しい仕組みの提案・実践に取り組みます。このほか必要に応じて複雑系(Complex Systems)の諸理論や研究方法(ネットワーク分析やモデリング・シミュレーション)を取り入れるなど、社会研究方法の革新にも取り組みます。

本研究会の参加者としては、これまで自分が取り組んできた研究対象を新しい視点で捉え直したい人、またはSFCらしい新しいアプローチで研究を始めたい人を歓迎します。どちらの場合でも、自分が取り組むテーマに対する「しっかりとした問題意識」と「研究遂行への強い意志」を求めます。

Ilab2_2011s.jpg


【授業スケジュール】

ゼミは、火曜5限を予定しています。
毎週のゼミでは、「輪読」と「個人研究レビュー」を行います。

● 輪読では、ニクラス・ルーマンの「社会システム理論」に関する文献を読み込み、理論の理解を深めます。
● 個人研究レビューでは、各自の問題意識にもとづく個人研究の進捗状況を報告し、互いにコメント/アドバイスをし合います。


【履修条件】

● 個人研究で取り組みたいテーマが明確になっていること(具体的なイシューに落とし込めていること)。
● 個人研究によって付加価値のあるアウトプットを生み出す強い意志があること。
● 知的コミュニティとしての研究会を、自分たちでつくっていく意志があること。


【その他の留意点】

● 研究会に参加するメンバーはそれぞれ異なる研究対象領域をもつことになるので、各自の研究テーマそのものに関する知識(例えば、経営がテーマの場合、経営の理論や事例など)は自分で身につけてもらいます。
● ゼミの時間は延長することがあります。また、ゼミ後に議論・交流のための食事会を開催します。ゼミの時間の後には他の予定を入れないようにしてください。
● 井庭研究会B1との同時履修や、他の研究会との同時履修も歓迎します。
● 履修希望者は、1月29日(土)に開催される井庭研最終発表会(2010年度)に参加してください。


【予定受け入れ人数】

10人程度


【エントリー課題】

本シラバスをしっかりと読んで内容を理解した上で、以下のエントリー情報を1月22日(土)までにメールで提出してください。

エントリーメールの提出先: ilab-entry2011 [at] sfc.keio.ac.jp
メールのサブジェクト(件名): 井庭研究会B2 履修希望

以下の内容を書いた文書ファイル(WordもしくはPDFファイル)を、メールに添付してください。

井庭研究会B2 履修希望
(1) 氏名(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名
(2) 問題意識と研究テーマ(社会のどの部分に問題を感じ、どのように解決したいと考えているのか?)
(3) 来学期、並行して所属する予定の研究会
(4) これまでに所属した研究会
(5) これまでに履修した授業のなかで、お気に入りのもの(複数可)
(6) これまでに履修した担当教員(井庭)の授業
(7) その他の自己紹介(やっていること、興味があること、将来の方向性、自己アピールなど)

※ (2)は、A4用紙で1枚程度でまとめてください。
※ (2)と(7)では、図や写真を用いて構いません。

以上のエントリー情報にもとづき、面接を行ないます。


【評価方法】

日頃の文献読解・議論における積極性・貢献度、個人研究の成果、および研究会関連の諸活動から総合的に評価します。


【関連科目】

30080:社会システム理論
14160:シミュレーションデザイン
30120:ネットワーク分析
30070:現代社会理論
30090:社会構造分析
30100:社会関係分析


【関連プロジェクト】

井庭研究会B1:パターン・ランゲージによる実践知の言語化プロジェクト (魅力があり、想像力をかきたて、人を動かす「ことば」の探究)
● 大学院プロジェクト:インターリアリティ


【研究会ホームページ】

http://ilab.sfc.keio.ac.jp/


【問い合わせ・連絡先】

ilab-entry2011 [at] sfc.keio.ac.jp


【参考文献】

●『社会システム理論』〈上〉 〈下〉(ニクラス・ルーマン, 恒星社厚生閣, 1995) [ N. Luhmann, Social Systems, Stanford University Press, 1996 ]
●『社会の社会』〈1〉 〈2〉(ニクラス ルーマン, 法政大学出版局, 2009)
●『社会の科学』〈1〉 〈2〉(ニクラス ルーマン, 法政大学出版局, 2009)
●『社会の経済』(ニクラス ルーマン, 文眞堂, 1991)
●『社会の法』〈1〉 〈2〉(ニクラス・ルーマン, 法政大学出版局, 2003) [ N. Luhmann, Law as a Social System, Oxford University Press, 2008 ]
●『社会の芸術』(ニクラス ルーマン, 法政大学出版局, 2004) [ N. Luhmann, Art as a Social System, Stanford University Press, 2000 ]
●『社会の教育システム』(ニクラス ルーマン, 東京大学出版会, 2004)
●『マスメディアのリアリティ』(ニクラス・ルーマン, 木鐸社, 2005) [ N. Luhmann, The Reality of the Mass Media, Stanford University Press, 2000 ]
●『エコロジーのコミュニケーション:現代社会はエコロジーの危機に対応できるか?』(ニクラス・ルーマン, 新泉社, 2007)[ N. Luhmann, Ecological Communication, University Of Chicago Press, 1989 ]
●『情熱としての愛:親密さのコード化』(ニクラス・ルーマン, 木鐸社, 2005)[ N. Luhmann, Love as Passion: The Codification of Intimacy, Stanford University Press, 1998 ]
●『福祉国家における政治理論』(ニクラス・ルーマン, 勁草書房, 2007)
[ N. Luhmann, Political Theory in the Welfare State, Walter De Gruyter Inc, 1990 ]
●『信頼:社会的な複雑性の縮減メカニズム』(ニクラス ルーマン, 勁草書房, 1990) [ N. Luhmann, Trust and Power, Wiley, 1979 ]
●『権力』(ニクラス・ルーマン, 勁草書房, 1986) [ N. Luhmann, Trust and Power, Wiley, 1979 ]
●『宗教社会学:宗教の機能』(ニクラス・ルーマン, 新泉社, 1999)[ N. Luhmann, Religious Dogmatics and the Evolution of Societies, Edwin Mellen Press, 1984 ]
●『近代の観察』(ニクラス・ルーマン, 法政大学出版局, 2003)[ N. Luhmann, Observations on Modernity, Stanford University Press, 1998 ]
●『ポストヒューマンの人間論:後期ルーマン論集』(ニクラス ルーマン, 東京大学出版会, 2007)
●『システム理論入門:ニクラス・ルーマン講義録〈1〉』(ニクラス ルーマン, 新泉社 (2007)[ N. Luhmann, Introduction to Systems Theory, Polity, 2011 ]
●『社会理論入門:ニクラス・ルーマン講義録〈2〉』(ニクラス ルーマン, 新泉社, 2009)
●『批判理論と社会システム理論:ハーバーマス=ルーマン論争』(ユルゲン・ハーバーマス, ニクラス・ルーマン, 木鐸社, 1984)

●『オートポイエーシス:生命システムとはなにか』(H.R.マトゥラーナ, F.J.ヴァレラ, 国文社, 1991) [ H. R. Maturana, F. J. Varela, Autopoiesis and Cognition: The Realization of the Living, Springer, 1980 ]
●『知恵の樹:生きている世界はどのようにして生まれるのか』(ウンベルト・マトゥラーナ, フランシスコ・バレーラ, 筑摩書房, 1997) [ H. R. Maturana, F. J. Varela, Tree of Knowledge: The Biological Roots of Human Understanding, Shambhala, 1987/1992 ]

●『社会学的想像力』(ミルズ, 新装版, 紀伊国屋書店, 1995) [ C. W. Mills, The Sociological Imagination, Oxford University Press, 2000 ]
●『ised 情報社会の倫理と設計:設計篇』(東 浩紀, 濱野 智史 編, 河出書房新社, 2010)

●『創造的論文の書き方』(伊丹敬之, 有斐閣, 2001)
●『創造の方法学』(高根 正昭, 講談社, 1979)
●『考える技術・書く技術:問題解決力を伸ばすピラミッド原則』(バーバラ・ミント, 新版, ダイヤモンド社, 1999) [ B. Minto, The Pyramid Principle: Logic in Writing and Thinking, 3rd Revised ed, Financial Times Prentice Hall, 2008 ]
井庭研だより | - | -

井庭研究会B1(2011年春学期)シラバス

井庭崇研究会B1(月曜5限)

パターン・ランゲージによる実践知の言語化プロジェクト
(魅力があり、想像力をかきたて、人を動かす「ことば」の探究)


【Important Dates】

2011年
1月13日(木) 5限 井庭研説明会
1月22日(土) エントリー〆切
1月27・28日(木・金) 面接
1月29日(土) 井庭研最終発表会(2010年度)


【目的・内容】

魅力があり、想像力をかきたて、人を動かす「ことば」を生み出すには、どうすればよいのでしょうか? ――― 本研究会では、そのような「ことばの力」を探究し、実践知を「パターン・ランゲージ」として言語化することを目指します。

パターン・ランゲージとは、デザインの知(問題発見+問題解決の知)を記述するための方法です。パターン・ランゲージの要素である「パターン」には、どのような状況(Context)のときに、どのような問題(Problem)が生じやすく、それをどのように解決すればよいのか(Solution)が記述されます。このようなパターンには、対象となるデザイン領域における「よりよいカタチ」についての想像力をかきたて、人を動かす機能があります。

パターン・ランゲージの方法は、もともとは建築デザインの分野で提唱されたのですが、その後ソフトウェア・デザインの分野に応用され、成功を収めました。さらに、組織デザインなど、新しいデザイン領域にも応用され始めています。SFCでも「学び」のパターン・ランゲージ(学習パターン:Learning Patterns)が制作され、学内外で注目を集めています。本研究会では、このパターン・ランゲージの方法にもとづいて、新しい領域の実践知の記述に取り組みます。

2011年度春学期は、メンバー全員で「(広義の)プレゼンテーションのパターン・ランゲージ」を作成します(※)。人に何かを伝えるとき、伝える内容をどのように整理し、表現し、伝えるのか。そのようなプレゼンテーション・デザインの秘訣について考え、パターン・ランゲージとして記述するというプロジェクトに、メンバー全員で取り組みます。

パターン・ランゲージをつくるということは、「ことばの力」によるエンパワーメントを通じて、社会へコミットすること、未来へコミットすることを意味します。そのような新しい方法の開発・実践に挑戦する、「やる気」のあるメンバーを募集します!


※ 井庭研では、今後、「政策言語」(政策デザインのパターン・ランゲージ)、「集合知パターン」(オープン・コミュニティ運営のパターン・ランゲージ)、「ライティング・パターン」(文章執筆のパターン・ランゲージ)、「学習パターン【子ども版】」(子どもの学びのパターン・ランゲージ)等に取り組んでいきたいと考えています。これらのパターン・ランゲージの制作に興味がある人も、2011年春学期から参加してください。

Ilab1_2011s.jpg


【授業スケジュール】

ゼミは、月曜5限を予定しています。
毎週のゼミでは、メンバー全員でパターン・ランゲージの制作作業・レビュー等を行ないます。


【履修条件】

● プロジェクト活動によって付加価値のあるアウトプットを生み出す意志があること。
● プロジェクトに付随して必要となる、ゼミ時間外での個人作業・グループワーク(パターンの執筆/文献読解/レビュー等)にきちんと参加する意志があること。
● 知的コミュニティとしての研究会を、自分たちでつくっていく意志があること。


【その他の留意点】

● 本研究会では、参加者全員によるプロジェクト(プレゼンテーション・パターンの制作)を行ないます。個人研究はありません(卒業プロジェクトについては応相談)。
● ゼミの時間は延長することがあります。また、ゼミ後に議論・交流のための食事会を開催します。ゼミの時間の後には、ほかの予定を入れないようにしてください。
● 井庭研究会B2との同時履修や、他の研究会との同時履修も歓迎します。
● 履修希望者は、1月29日(土)に開催される井庭研最終発表会(2010年度)に参加してください。


【予定受け入れ人数】

10人程度


【エントリー課題】

本シラバスをしっかりと読んで内容を理解した上で、以下のエントリー情報を1月22日(土)までにメールで提出してください。

エントリーメールの提出先: ilab-entry2011 [at] sfc.keio.ac.jp
メールのサブジェクト(件名): 井庭研究会B1 履修希望

以下の内容を書いた文書ファイル(WordもしくはPDFファイル)を、メールに添付してください。

井庭研究会B1 履修希望
(1) 氏名(ふりがな), 学部, 学年, 学籍番号, ログイン名
(2) 本プロジェクトに参加する動機・意気込み・期待
(3) 好きな言葉(魅力的だと思う言葉)とその理由(挙げられるだけ挙げてください)
(4) 読書経験と、自分の人生・世界観を変えた本の紹介(複数可。フィクション/ノンフィクションは問わない)
(5) 持っているスキル/得意なこと(自然言語, 画像・映像編集, グラフィックス・デザイン, 音楽, プログラミング, その他)
(6) 来学期、並行して所属する予定の研究会
(7) これまでに所属した研究会
(8) これまでに履修した授業のなかで、お気に入りのもの(複数可)
(9) これまでに履修した担当教員(井庭)の授業
(10) その他の自己紹介(やっていること、興味があること、将来の方向性、自己アピールなど)

※ (2)や(4)や(10)では、図や写真を用いて構いません。

以上のエントリー情報にもとづき、面接を行ないます。


【評価方法】

日頃のプロジェクト活動における積極性・貢献度、および研究会関連の諸活動から総合的に評価します。


【関連科目】

12020:パターンランゲージ
30080:社会システム理論


【関連プロジェクト】

井庭研究会B2:新しいシステム理論にもとづく社会研究 (コミュニケーションの連鎖の分析とメディア構築)
● 大学院プロジェクト:インターリアリティ


【研究会ホームページ】

http://ilab.sfc.keio.ac.jp/


【問い合わせ・連絡先】

ilab-entry2011 [at] sfc.keio.ac.jp


【参考文献】

●『パタン・ランゲージ:環境設計の手引』(クリストファー・アレグザンダー 他, 鹿島出版会, 1984)[ C. Alexander, S. Ishikawa, M. Silverstein, A Pattern Language: Towns, Buildings, Construction, Oxford University Press, 1977 ]
●『時を超えた建設の道』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1993)[ C. Alexander, The Timeless Way of Building, Oxford University Press, 1979 ]
●『形の合成に関するノート』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1978)[ C. Alexander, Notes on the Synthesis of Form, Harvard University Press, 1964 ]
●『オレゴン大学の実験』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会,)[ C. Alexander, The Oregon Experiment, Oxford University Press, 1975 ]
●『パタンランゲージによる住宅の建設』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1991)[ C. Alexander, The Production of Houses, Oxford University Press, 1985 ]
●『まちづくりの新しい理論』(クリストファー・アレグザンダー, 鹿島出版会, 1989)[ C. Alexander, A New Theory of Urban Design, Oxford University Press, 1987 ]
● C. Alexander, The Nature of Order, Book 1: The Phenomenon of Life, Center for Environmental Structure, 2001
● C. Alexander, The Nature of Order, Book 2: The Process of Creating Life, Center for Environmental Structure, 2003

●『C・Alexanderと現代建築:C. Alexander and Contemporary Architecture』(イングリッド・F・キング, a+u, 1993)
●『クリストファー・アレグザンダー:建築の新しいパラダイムを求めて』(スティーブン・グラボー, 工作舎, 1989) [ S. Grabow, Christopher Alexander: The Search for a New Paradigm in Architecture, Routledge & Kegan Paul, 1983 ]
●『パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則』(江渡 浩一郎, 技術評論社, 2009)
● M. L. Manns, L. Rising, Fearless Change: Patterns for Introducing New Ideas, Addison-Wesley, 2004

●『社会システム理論』〈上〉 〈下〉(ニクラス・ルーマン, 恒星社厚生閣, 1995) [ N. Luhmann, Social Systems, Stanford University Press, 1996 ]
●『システム理論入門:ニクラス・ルーマン講義録〈1〉 』(ニクラス ルーマン, 新泉社 (2007)[ N. Luhmann, Introduction to Systems Theory, Polity, 2011]
●『暗黙知の次元』(マイケル・ポランニー, 筑摩書房, 2003)[ M. Polanyi, The Tacit Dimension, Reissue edition, University Of Chicago Press, 2009 (1966) ]
●『アブダクション:仮説と発見の論理』(米盛裕二, 勁草書房, 2007)
●『メタファー思考:意味と認識のしくみ』(瀬戸賢一, 講談社, 1995)
●『ハイコンセプト:「新しいこと」を考え出す人の時代』(ダニエル・ピンク, 三笠書房, 2006) [ Daniel H. Pink, A Whole New Mind: Why Right-Brainers Will Rule the Future, Riverhead Trade, 2006 ]
●『シナリオ・プランニングの技法』(ピーター・シュワルツ, 東洋経済新報社, 2000)[ P. Schwartz, The Art of the Long View: Planning for the Future in an Uncertain World, Currency Doubleday, 1996 ]

●『ものがたりの余白:エンデが最後に話したこと』(ミヒャエル・エンデ, 岩波書店, 2009)
●『物語の役割』(小川洋子, 筑摩書房, 2007)
●『生きるとは、自分の物語をつくること』(小川 洋子, 河合 隼雄, 新潮社, 2008)
●『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』(河合 隼雄, 村上 春樹, 新潮社, 1998)
●『一億三千万人のための小説教室』(高橋 源一郎, 岩波書店, 2002)
●『出発点:1979~1996』(宮崎駿, スタジオジブリ, 1996)

●『Learning Patterns: A Pattern Language for Active Learners at SFC 2009』(学習パターンプロジェクト, 慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学学部, 2009)※ http://learningpatterns.sfc.keio.ac.jp/
●「自生的秩序の形成のための《メディア》デザイン──パターン・ランゲージは何をどのように支援するのか?」(井庭 崇, 『10+1 web site』, 2009年9月号)※ http://tenplusone.inax.co.jp/monthly/2009/09/post-2.php
●「『コラボレーションによる学び』の場づくり:実践知の言語化による活動と学びの支援」(井庭 崇, 人工知能学会誌 24(1), 70-77, 2009) http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/papers/2009JSAI.pdf
井庭研だより | - | -

とにかく一度全体を書き上げるということ

論文にしろエッセイにしろ、多くの人にとって、「書く」というのは、なかなか大変な行為だろう。

僕も、「書く」ということには、いつも悩まされている。短めのちょっとした文章でも、七転八倒して書いているのがほとんどだ。自分は「書く」のは向かないのではないかという気もするが、職業がら書くことは不可欠だし、僕自身、「書きたい!」という気持ちがある。そんなわけで、「書く」ことに対する考え方や方法にとても興味をもっている。

今日、研究会の学生が教えてくれたのが、レヴィ=ストロースの話。とあるブログで取り上げている話で、そのソースは『海』(中央公論社、1978年11月号)らしい。

「大事なのはただひとつ、とにかくひとつの原稿を産み出すこと。もしかしたらそれは化物のようなものかもしれませんが、とにかく終わりまで書かれていることが大切なのです。」(レヴィ=ストロース)


ここで言われていることは、僕も多くの先輩・同僚から聞いたコツでもある。

とにかく一度全体を書き上げる。そして、それを修正していく。

だから、第一稿というのは、全体の70%のところまで書けている原稿ではなく、粗いところがあっても構わないので全体が書けている原稿のことなのだ(研究会論文などでは、こうなっていないことが多い。第一稿の提出というと、前半しか書けていない原稿が出てくる。これではだめだ)。

そして、一度書き上げたら、徹底的に修正する。全体がみえて、初めて細部を詰めることができるのだ(ちなみに、英語の“see”は、「見る」ことであり「わかる」ことである。全体を見ることで、自分が何を書いたのかがわかるのだ)。

この修正は、仕上げの微修正という感じではなく、大手術(抜本的な構造改革)となる。小説やエッセイの場合と異なり、論文の場合には特に大きな手術となる。論文では、思考や出来事の時間的な流れとは別の構造でまとめあげる必要があるからだ。だからこそ、“「書き上げた」は道半ば”(学習パターン)なのである。


修論、卒論、研究会論文など、「書く」ことに取り組んでいる人も多いと思う。

とにかく一度全体を書き上げる。そして、それを修正していく。

このことを心の片隅におき、まずはどんどん書いてみるといい。

そう書いている僕自身、「とにかく一度全体を書き上げる」べき原稿をいくつか抱えている。がんばりたい。
「書く」ことについて | - | -

竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング(まとめ)

特別対談 “政策のパターンランゲージに向けて”(竹中 平蔵 × 井庭 崇)の連載のまとめ。

竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング(1)
対談の概要とプロセス

竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング(2)
今回制作した「政策言語」プロトタイプの内容

竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング(3)
政治的コミュニケーションのイノベーション

竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング(4)
政策言語が行なおうとしているのは “道具による革命”である

竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング(5)
政策言語によって教育がどう変わるか


SFC「パターンランゲージ」特別対談 “政策のパターンランゲージに向けて”
対談:竹中 平蔵 × 井庭 崇
日時:2010年11月27日(土)3・4限(13:00〜16:15)
会場:慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC) 大学院棟 τ(タウ)12教室

※ 当日の資料/映像は、SFC Global Campus の「パターンランゲージ」授業ページで一般公開されています(無料)。
パターン・ランゲージ | - | -

竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング(5)

2010年11月27日に行なった特別対談 “政策のパターンランゲージに向けて”の最後に触れた「政策言語によって教育がどう変わるか」という話を補足したい。


政策言語教育

「政策言語」という名称は、実は5年ほど前にすでに考えついていた。それは、慶應義塾大学SFCの現行カリキュラム(2007年から実施)の改定作業を行なっている最中のことであった。学部設立の経緯を踏まえ、さらにこれからのことを考えてみた結果、「政策言語」というものが総合政策学部の教育の重要な要素になるだろう、と考えるようになった。

総合政策学部と環境情報学部では、1990年の設立当初から、「自然言語」と「人工言語」について、独自の“言語教育”を行なっていた。理論を教えた後に実践・応用するという従来のスタイルではなく、ワークショプなどでの実践を通じて感覚的に体得させるインテンシブな“言語教育”が売りであった。

その後十年ほど経ってから、環境情報学部では「デザイン言語」という第三の “言語教育” を開始した。デザイン言語でも、それまでの自然言語・人工言語と同様に、ワークショップでの実践とインテンシブな“言語教育”を行なったのだ。さまざまな領域からトップデザイナーたちを講師に迎え、非常に魅力的な科目が揃っていた。そして、その教育を受け、素晴らしい学生たちが育ち始めていた(デザイン言語については、「『デザイン言語』という実験:慶応藤沢キャンパスの新たなフェーズ」(後藤武) および 「デザイン言語とは何であろうか?」(脇田玲) にその趣旨の説明がある)。

そのとき僕が考えたのは、総合政策学部でもこのようなワークショップでの実践を通じたインテンシブな教育ができないだろうか、ということだった。デザイン言語に倣って、「それは、総合政策学部なのだから『政策言語』 と呼ぶべきものだろう」と考えた。政策の“言語教育”というわけである。当時の学部長であった、故・小島朋之先生にお話したところ、「ほう、いいですね。どんどんやっちゃってください。」と、いつものにこやかな笑顔で背中を押していただいた(小島先生はいつもそうであった)。

ところが実際に案を詰めていくと、デザイン言語のときのようにはうまく実現できそうにないことがわかってきた。まず、政策を実際につくっているプロを講師として迎えることが難しい。これは、日本においては誰が政策デザインのプロなのかがよくわからないという問題でもある。そして、デザインの分野に比べて、その政策をつくることに関する根本原理・定石などがほとんど研究されていないという問題もあった。つまり、ルールやパターンとして、言語化がまったくされていないのである。こうして、カリキュラム改定にはとうてい盛り込むことができない、と判断せざるを得なかった。

それでも、その熱い思いは、現行カリキュラムにも一部実装されてはいる。創造実践科目群にある政策デザインワークショップ、外交政策ワークショップ、未来構想ワークショップなどである。これらのワークショップによって、「ワークショップの実践による学び」の部分は実現できたといえる。

しかし、もう一つの大切なポイントである「政策の言語」教育については実現できなかった。それが僕には「宿題」として残ってしまったといえる。早いもので、それからすでに5年が過ぎた。(時が経つのは本当に早い!)

そんな経緯もあり、今回、「政策言語」をつくるという第一歩が踏み出せたのは、本当によかったと感じてる。これは、まだほんの始まりに過ぎないが、ここから同僚の教員や学生たちと政策言語をつくっていくきっかけとなればと思う。

今回おつきあいいただいた竹中先生だけでなく、SFCには社会的実践があちこちのプロジェクトでなされている。それらの実践知を記述していけば、様々なレベル/ドメインの政策言語がつくれるはずである。そして、学外の賛同者や協力者とともに洗練し、導入実験し、整備していく。研究と教育と実践が一体となっているSFCらしいアプローチだと僕は思うが、どうだろうか?


「竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング」連載 完
パターン・ランゲージ | - | -

学習パターンtwitter 配信再開!

学びのパターン・ランゲージである「学習パターン」(Learning Patterns)のTwitter配信を再開します。毎日数個、学習パターンを取り上げてつぶやきます。

変化が激しい現代社会では、学生のみならず、あらゆる年代の人にとって「学び」が重要になっています。そしてその「学び」は、単なる詰め込み型ではなく、新しい関係性を発見し、自ら意味を編集・構成していくような創造的な活動であるはずです。学習パターンは、そのような創造的な「学び」のためのコツをまとめた秘訣集です。

毎日の生活における「学びのスパイス」として、学習パターンon Twitter( @LPattern )をぜひフォローしてください。

LearningPatterns



学習パターン on Twitter
http://twitter.com/LPattern
パターン・ランゲージ | - | -

竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング(4)

2010年11月27日に行なった特別対談 “政策のパターンランゲージに向けて”の最後に触れた「政策言語が行なおうとしているのは “道具による革命”だ」という話について、補足しておきたい。


道具による革命(Tool-Driven Revolution)

かつて、物理学者フリーマン・ダイソンは、科学革命には「概念による革命」(Concept-Driven Revolution)と「道具による革命」(Tool-Driven Revolution)の二つがあると指摘した。トーマス・クーンが『科学革命の構造』で取り上げた科学革命は「概念による革命」の方であったが、ここ5世紀ほどは「道具による革命」も多いのだという。

科学者が世界を観察するとするとき、日常的な理解よりも深いレベルで理解しようとする。直観的に理解できることもあるが、多くの場合は何らかの道具=手段が必要となる。顕微鏡があればミクロの世界を観察することができ、望遠鏡があれば遥か彼方の星の姿を観察することができる。

同様に、世界に関わり、実験を行なうときにも、何らかの道具立てが必要になる。そのため、新しい実験道具が開発されれば新しい発見につながることがしばしばある(詳しくは、以前のエントリ「Thing Knowledge (物のかたちをした知識) その1」および「… その2」を参照してほしい)。

このように、道具というのは僕らの認識や発見を支えている。ダイソンは、このような道具によって科学革命が起きることを、「道具による革命」と言ったのである(詳しくは、以前のエントリ「Imagined Worlds (科学の未来)」を参照してほしい)。

政策言語が行なおうとしているのは、まさに「道具による革命」である。政策を理解し、つくり、実践するための道具として機能するために、僕らは政策言語をつくろうとしている。

もちろん、「道具」といっても、政策言語は機器・装置という意味での道具ではない。それは、コトバを用いた構成物だ。「Context」、「Problem」、「Solution」で構成される言語(パターン・ランゲージ)なのである。

政策言語が「言語」であることを強調するのは、そこで記述されたコトバによって思考やコミュニケーションを支えるからである。そのためには、政策言語が実際の政策デザインのコツをうまく表現しているだけでなく、コトバとして使いやすい/使いたいと思わせることも重要だ。だからこそ、単に実践知を記述するというだけでなく、わかりやすく魅力的なコトバで表現するということが求められるのである。

政策言語という道具によって、政策デザインのあり方、開き方、質を向上させることができるかどうか。挑戦はまだ始まったばかりである。
パターン・ランゲージ | - | -

竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング(3)

2010年11月27日に行なった特別対談 “政策のパターンランゲージに向けて”の冒頭で、竹中平蔵先生が「小泉内閣が発足したとき、メールマガジンとタウンミーティングのアイデアを出してくれたのが井庭さんだった」と、当時のエピソードを紹介した。

今回の対談は、いわば「政策デザインのイノベーション」がテーマだったので、「政治的コミュニケーションのイノベーション」の話をする時間がとれなかった。そこで、対談の補足として、この「政治的コミュニケーションのイノベーション」について書きたいと思う。


まず、そもそもの背景だが、小泉内閣が発足した当時は、森内閣の直後で、政治への不信が高まり、かつ、人々の関心度が薄れている状況だった。そこで、「政治のコミュニケーション」を変える必要があるのではないか、と考えた。つまり、政治家と一般の人たちとのコミュニケーションの新しいカタチを考えることができないか、と。そして、その「政治家と一般の人たちとのコミュニケーションの新しいカタチ」として、「内閣メールマガジン」と「タウンミーティング」のアイデアを提案した(僕がまだ博士課程の大学院生だったときの話)。

もう少し具体的に説明していくことにしよう。


1. コミュニケーションの新しいカタチ

僕ら一般人にとっては、普段、政治家の発言や振る舞いは、TVや新聞、雑誌などのマスメディアを通じてしか触れることはない。つまりマスコミのフィルターを通した情報が、いくぶん強調されたかたちで届けられる。多くの人は、そういう情報であると心のどこかではわかりながらも、情報をそのまま受け入れたり、話半分に受け取って残りを自分の想像力で埋め合わせたりしている。【Context】

そういう状況において、政治家が発言した言葉の全体や細部、意味やニュアンスなどを、僕らは本当には知らないまま、彼らへの印象や意見をもつことになってしまっている。これでは、政治に対してまっとうな評価などできないのではないか。【Problem】

そこで、政治家からの言葉を直接受け取れるようなメディア/場を設けるべきだと考えた。マスメディアを通さずに、直接に僕らに届くような、政治的コミュニケーションの新しいカタチ。こうすることで、政治に対する認識や関心を、取り戻すことができるのではないか。【Solution】

(その具体的なアイデアが、「内閣メールマガジン」と「タウンミーティング」ということである。)


2. 向こうからこちらに

それでは、「政治的コミュニケーションの新しいカタチ」を、どのように実現すればよいのだろうか? 当時、ブレア首相が政策についての自らの意見をホームページに書いているということで、話題になっていた。これも、首相の言葉が直接的に届く、政治的コミュニケーションのカタチだろう。【Context】

しかし、日本の場合は、そもそも政治への関心が薄まっているわけで、自分からわざわざホームページを見に行くというような積極性を期待することはできない。それではどうしたらよいのだろうか?【Problem】

「こちらから向こうに行く」のではなく、「向こうからこちらに来る」ような仕組みは実現できないだろうか。ITの言葉でいうならば、ユーザーが情報を取りに行くという「プル型」ではなく、向こうから情報が送られてくる「プッシュ型」の仕組みをつくる、ということである。こちらが向こうの世界に入って行くのではなく、向こうがこちらの世界に入ってくる。そうすることで、日常世界のなかに「政治」が視野に入ってきやすくなるだろう。【Solution】

(まさにこれこそが、「内閣メールマガジン」であり「タウンミーティング」であった。内閣メールマガジンでは、自分のEメールボックスに、友人からのメールや仕事のメールと同じように、首相からの(自分宛の)メールが届くことになる。タウンミーティングでは、自分が住んでいる町に首相や大臣が来て、それを家族や隣人と見に行くことになる。これが「向こうからこちらに」という意味である。)


3. 新しいメディアによる実現

こうして、「政治的コミュニケーションの新しいカタチ」を、「向こうからこちらに」という仕組みでつくるということまではわかったが、それは具体的にどのようなメディアで実現するのかを考える必要がある。【Context】

すでに書いたことだが、マスメディアというシステムは、話題性やニュース性があるものが取り上げられやすく、そうでないものはあまり取り上げられない。そうなると、せっかく新しい仕組みを実現したとしても、ほとんど普及しないということも十分あり得る。そういう状態に陥らずに、より多くの人に興味をもってもらうためにはどうしたらよいのだろうか?【Problem】

そのひとつの答えは、話題性があるような新しいメディアで実現するということだろう。まず、実現方法に話題性があれば、その情報はマスメディアに乗りやすい。その結果、多くの人に興味をもってもらい、広く普及すればするほど、その普及率は日々、ニュース性をもつことになるだろう。【Solution】

(このとき、企業などがユーザーに配信し始めていた「メールマガジン」というメディアを使うとよいのではないか、と考えた。今となっては、メールマガジンは新しくともなんともないが、2001年当時は、まさに「IT」(情報技術)に注目が集まり、ビジネス/生活の世界にどんどん拡大・普及している時代であった。ちょうど「IT立国」というような旗を掲げていたこともあり、ITを新しいカタチで使うというのは理にかなっている。「内閣メールマガジン」はこのような発想で生まれたのだ。)

以上のアイデアを、当時、大臣であった竹中先生に出し、それが間もなく実現することになった。僕自身は、アイデアを出しただけで、実装・運営等には関わってはいないのだけれども。(個人的には、メールマガジンの雰囲気が思ったよりもカタかったことと、タウンミーティングでヤラセ問題が出てきたりしたことが、少々残念ではある。)

まとめると、次の3つのパターンが合わさって、「内閣メールマガジン」と「タウンミーティング」のアイデアが生まれたといえるだろう。

1. コミュニケーションの新しいカタチ
2. 向こうからこちらに
3. 新しいメディアによる実現

僕がみるところでは、実は、鳩山由紀夫 元首相は、この「1. コミュニケーションの新しいカタチ」、「2. 向こうからこちらに」、「3. 新しいメディアによる実現」を、 twitter でやろうとしたのではないか。メールマガジンはもはや新しいメディアではなく、別の新しいメディアが必要であったし、それだけでなく、「新しい公共」を掲げる鳩山さんだからこそ、本来は twitter というメディアとの親和性も高かったはずだ。残念ながら、twitterらしいメディアの活用はなされなかったけれども。

以上で示したように、「政治的コミュニケーションのデザイン」もしくは「そのためのメディアのデザイン」についても、このようなパターン・ランゲージ化はできそうだ。しかも、それらは、広義の「政策言語」の一部として捉えてもよいかもしれない。


SFC「パターンランゲージ」特別対談 “政策のパターンランゲージに向けて”
対談:竹中 平蔵 × 井庭 崇
日時:2010年11月27日(土)3・4限(13:00〜16:15)
会場:慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC) 大学院棟 τ(タウ)12教室

※ 当日の資料/映像は、SFC Global Campus の「パターンランゲージ」授業ページで一般公開されます(無料)。
パターン・ランゲージ | - | -

竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング(2)

2010年11月27日に「パターンランゲージ」の授業で行った特別対談 “政策のパターンランゲージに向けて” では、竹中平蔵先生のもつ政策形成の実践知を、「政策言語」(Policy Language)としてまとめることを試みた。

※ この対談の概要と制作のプロセスについては、記事「竹中平蔵×井庭崇 対談:「政策言語」の提案とプロトタイピング」を参照してほしい。また、この対談の映像が、SFC-GC(Global Campus)で公開されているので、そちらも参照してほしい(第07回と第08回のところ)。


以下では、この対談で作成した「政策言語」のプロトタイプの内容について、具体的に紹介していくことにしたい(これらは、あくまでも内容や表現を洗練する前のプロトタイプである)。

TakenakaIbaDialogue.jpg


今回作成したプロトタイプは、全部で18個。まず、全体像は、以下のとおり。

ProtopypeOfPolicyLanguage201011.jpg>

A リーダーシップ
1. リーダーのパッション
2. 過去を問うな(今をベストに)
3. 舞台の上での印籠
4. リアクティブからプロアクティブへ

B 開かれた政策
5. もめごとをつくれ
6. Policy Windowをひらく
7. シンプルな政策

C 政策のつくり込み
8. 大きなところで間違えるな
9. 具体的アジェンダ
10. 戦略は細部に宿る

D. 複雑性の縮減
11. ゴミ箱をひっくり返す
12. CPU(Communication Policy Unit)
13. ポリシー・ウォッチャー

E. 自律分散型社会
14. 現場の重視
15. 民間でできることは民間で
16. 民間でリスクを
17. 受益と負担の一致
18. 自助自立


次に、各パターンの内容を紹介することにしよう。対談の時に書いた走り書きなので読みづらいと思うが、現段階の記録として写真を掲載することにしたい。

政策言語の各パターンは、現段階では、その本質的な要素である「Context」、「Problem」、「Solution」から成り立っている。つまり、どのような状況(Context)においてどのような問題(Problem)が生じるのか、また、その問題をどう解決(Solution)すればいいのかが、セットになって記述されている。加えて、その内容を示す象徴的で覚えやすい「名前」(Pattern Name)がつけられている。

Slide3.jpg

パターンの作成にあたっては、「Context」を青、「Problem」を緑、「Solution」を黄色の紙に書いて色分けしながら記述していった。Contextは、他のパターンとの関係で決まるものなので、現段階では空白のままのものが多い。


A リーダーシップ
1. リーダーのパッション
PL2010_seed1.jpg

2. 過去を問うな(今をベストに)
PL2010_seed2.jpg

3. 舞台の上での印籠
PL2010_seed3.jpg

4. リアクティブからプロアクティブへ
PL2010_seed4.jpg


B 開かれた政策
5. もめごとをつくれ
PL2010_seed5.jpg

6. Policy Windowをひらく
PL2010_seed6.jpg

7. シンプルな政策
PL2010_seed7.jpg


C 政策のつくり込み
8. 大きなところで間違えるな
PL2010_seed8.jpg

9. 具体的アジェンダ
PL2010_seed9.jpg

10. 戦略は細部に宿る
PL2010_seed10.jpg


D. 複雑性の縮減
11. ゴミ箱をひっくり返す
PL2010_seed11.jpg

12. CPU(Communication Policy Unit)
PL2010_seed12.jpg

13. ポリシー・ウォッチャー
PL2010_seed13.jpg


E. 自律分散型社会
14. 現場の重視
PL2010_seed14.jpg

15. 民間でできることは民間で
PL2010_seed15.jpg

16. 民間でリスクを
PL2010_seed16.jpg

17. 受益と負担の一致
PL2010_seed17.jpg

18. 自助自立
PL2010_seed18.jpg

以上が、今回作成した政策言語のプロトタイプである。政策言語のイメージを少しでもつかんでいただけただろうか?


SFC「パターンランゲージ」特別対談 “政策のパターンランゲージに向けて”
対談:竹中 平蔵 × 井庭 崇
日時:2010年11月27日(土)3・4限(13:00〜16:15)
会場:慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC) 大学院棟 τ(タウ)12教室

※ 当日の資料/映像は、SFC Global Campus の「パターンランゲージ」授業ページで一般公開されます(無料)。
パターン・ランゲージ | - | -
CATEGORIES
NEW ENTRIES
RECOMMEND
ARCHIVES
PROFILE
OTHER