SIVの活動を通じてぶつかる課題の一つに、「なぜ大学においてインキュベーションを行うのか」ということがある。大学は教育・研究機関であり、ビジネスをする場ではない。ビジネスから一線を画しているからこそ、魅力的な教育・研究を行うことができるはずである。
現在SFCインキュベーションセンター(仮、以下SFC-IC)の設立へ向けて、その意義・目的を再考してみた。なお、以下はあくまで私見であり、慶應義塾の機関決定によるものではないことを予めお断りしておく。
慶應義塾大学が、SFC-ICを設立する目的は以下の4点である。
1. 研究活動の発展的拡充
SFC-ICが設立されることにより、慶應義塾大学と入居ベンチャー企業の共同研究や、慶應義塾大学と大企業が連携しベンチャー企業の共同創出を目指す「ベンチャー企業共同創出型共同研究」などの拡充が期待される。共同研究の機会が拡充することにより、慶應義塾大学の研究水準の向上を目指す。
2. 教育の充実
SFC-ICがSFCの隣接地に設立されることにより、学生のインターンシップの場の提供となる。このような場を活用することにより、学生は実社会・実践的なビジネス等に触れることにより、新たな社会的問題を発見することが可能となる。
またSFCは「問題発見解決型」カリキュラムを提供しているが、在学中はその理念に基づいて活動するもの、卒業後は在学中の活動とは直接関係のないところに就職していく学生が少なくない。この「問題発見解決型」の理念を、SFCとして卒業後もサポートしていくための仕組みとして、SFC-ICへの期待が大きい。
以上の2点を通じて、慶應義塾大学の教育水準の向上を目指す。
3. 社会への貢献
慶應義塾大学の研究成果の中には、研究に留まらず実際に実用化可能なものが多い。SFC-ICは「慶應義塾21世紀グランドデザイン」における「新実業先導」を基本にしながら、慶應義塾大学が社会に貢献していくための役割を担う。
4. 利益還元と教育・研究活動への循環
慶應義塾大学が知的財産等を活用したベンチャー企業を育成し、株式の保有もしくは技術移転のロイアリティを取得することにより、中長期的には大学の新たな収入源を確保することが可能となる。この新たな収入源を活用し、慶應義塾大学の教育・研究活動の充実・向上を目指す。