数理と社会10回目

 

産業連関表   http://www.stat.go.jp/data/io/ 

 

1.産業連関表とは

「私たちの日常生活に必要な各種の消費財や企業の設備の拡充に使用される資本財は、農 林水産業、製造業、サービス業など多くの産業によって生産されています。これらの産業 はそれぞれ単独に存在するものではなく、原材料、燃料等の取引を通じてお互いに密接な関係を持っています。… 各産業の生産活動は、私たち消費者の最終的な需要が影響を受けるとともに、各産業で働く従業者の賃金にも影響を与えます。さらに、消費者でもある従業者の賃金から新たな需要が生み出されるなど、経済活動は、ひとり孤立したものではなく、産業相互間、あるいは産業と家計などの間で密接に結びつき、互いに影響を及ぼし合っているのです。このような経済取引を特定の1年間について一覧表にしたものが「産業連関表」です。」

 

2.産業連関表の経緯

「わが国における産業連関表は、経済審議庁(現内閣府)と通商産業省(現経済産業省)がそれぞれ独自に試算表として作成した昭和26年を対象年次とするものが最初でした。その後、昭和30年表から、行政管理庁(現総務省)を中心に、経済企画庁(現内閣 府)、農林省(現農林水産省)、通商産業省及び建設省(現国土交通省)の5省庁と集計・製表を担当する総理府統計局(現総務省統計局)を加えた6省庁により、本格的な共同の作成作業が開始されました。昭和35年表の際、総理府統計局が担当していた機械による集計・製表を通商産業省が受け持つことになり、新たに運輸省(現国土交通省)及び労働省(現厚生労働省)が、昭和50年表から、大蔵省(現財務省)、文部省(現文部科学省)、厚生省(現厚生労働省)及び郵政省(現総務省)の4省が参加し、11省庁による共同作業として行われてきました。そして平成13年1月の省庁再編(環境省が新たに参加)を経て、現在は10府省庁(庁は金融庁)による共同作業として継続されています。」

「現在、わが国では、上述した10府省庁の共同作業による産業連関表(基本表、全国表と呼ばれる)のほか、簡易推計による延長表(経済産業省が毎年作成)、地域間産業連関表(全国表を分割し、経済産業局ごとに5年おきに作成)、都道府県表(おおむね5年おきに作成)、国際産業連関表(日本と諸外国の表を連結。経済産業省やアジア経済研究所が作成)など、それぞれの目的に応じた多くの産業連関表が作成され、各界、各層に幅広く利用されています。」

 

3.産業連関表の仕組み

(1)タテ方向: 表頭の各産業がその製品を生産するのに要した費用の構成(投入:Input)、企業の利潤等、生まれた価値はいくらかが分かる。このうち、生産のために使用した原材料のことを「中間投入」といい、生産活動によって生み出された価値、すなわち、生産活動に伴って支払われた賃金(雇用者所得)や企業の儲け(営業余剰)などのことを「粗付加価値」という。

(2)ヨコ方向: 表側の各産業が生産した商品の販路の構成(産出:Output)、つまり、生産物をどこへどれだけ売ったかを示している。このうち、各産業へ原材料として販売される分を「中間需要」といい、家計、政府などで消費されたり、企業などの投資や外国の需要に応じて輸出したりする分を「最終需要」という。

(3)表全体: 産業連関表を全体的にみると、粗付加価値部門と最終需要部門を「外生部門」といい、中間投入部門及び中間需要部門を「内生部門」という。タテの列方向からみた投入額の計(国内生産額)とヨコの行方向からみた産出額の計(国内生産額)とは、すべての部門について相互に一致している。産業連関表のタテ・ヨコの各部門の関係は次のとおり。

[各行、各列の部門ごとに成立]

ア 総需要額=総供給額

イ 国内生産額=中間投入額+粗付加価値額=中間需要額+最終需要額−輸入額

[部門の合計額についてのみ成立]

ウ 粗付加価値額合計=国内生産額合計−中間投入額合計

=最終需要額合計−輸入額合計

エ 最終需要額合計=国内生産額合計+輸入額合計−中間需要額合計

   =粗付加価値額合計+輸入額合計 

 

     需要

供給

中間需要 

産業1  産業2 

最終需要

輸入

国内生産額

中間

投入

産業1

 

 

 

 

 

産業2

 

 

 

 

 

粗付加価値

 

 

 

 

国内生産額

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4.地方の産業連関表

千葉 http://www.pref.chiba.jp/syozoku/b_toukei/renkan/12io/12index.html

 

5.歴史

ケネーの「経済表」  http://www.qmss.jp/qmss/text/supplements/quesnay.htm 

「「重農主義」とは、国内における貨幣の蓄積を以て国富とする重商主義に対し、富の源泉は自然から生産的労働によってもたらされる所得にあるとする経済思想である。「経済表」の説くエッセンスは、この所得が消費と支出に回り、その一部は生産的階級(農業者階級)の次の生産の原資として環流し投入され、このプロセスが等比級数的に蓄積して、かくして国民経済が拡大再生産と循環過程により運行されることが説明されるというものである。ケネーは、地主階級(所得が帰属する階級)、農業者階級(生産的階級)、商工階級(非生産的階級とされる)の三階級を結ぶ財・貨幣の流れのジグザグ線を用いて、これら経済循環のメカニズムを示し、この思想を一枚の表とその解説に表現した。」

 

Phillips のケネー表

 

購買部門

農民

職人

地主

農民

20

20

10

50

職人

10

0

10

20

地主

20

0

0

20

50

20

20