数理と社会7回目

 

保険

1)リスク 「予見不能性の介在による経済必要発生の可能性」

peril 危険事故   hazard 危険事情

純粋リスク(損失のみ)、投機的リスク(利得の可能性)

動態的リスク(社会的、経済的変動から結果)、静態的リスク(自然災害、火災など)

普遍的リスク(集団的)、個別的リスク(火災、盗難など)

リスク対策

技術的操作:回避(売却)、軽減(類焼軽減策、スプリンクラー)、結合(企業合同)、

分散(顧客)

資金的操作:転嫁(保険)、相殺(ヘッジ=売りつなぎ、買いつなぎ)、保有(準備金)

2)保険のしくみ http://www.sonpo.or.jp/abc/abc_ara_shikumi.html

大数の法則 「大量に観察すれば法則がある。」「個々人にとって全く偶然である火災も、

大量観察をすることにより、発生する火災の頻度と火災によって生ずる損害の程度を割

り出すことができる」

収支相当の法則 「危険集団(保険の支払対象となるリスクを持った集団)の構成員が支

払う保険料の総額は支払われる保険金の総額に等しくなければならない」 nP = rZ

給付・反対給付均等の原則 「危険集団の構成員各自が支払う保険料は、支払保険金に事

故発生の確率を乗じた額に等しい」 P = wZ

利得禁止の原則  「保険によって利得してはならない」

 生命保険犯罪

 保険料の決定方法  純保険料+付加保険料(経費+利潤)=営業保険料

   純保険料は、大数の法則に従って事故発生の確率(定期に改定される)を見出し算定

される

3)保険の分類

純粋リスク、静態的リスク、個別的リスクが保険の対象となる。

A.客体:人保険、財保険        B.経営主体:公営保険、私営保険 

C.経営目的:営利保険、非営利保険   D.加入:強制保険、任意保険

E.負担:家計保険、企業保険      F.給付手段:現物・役務保険、金銭給付保険 

G:責任:元受保険、再保険

H:保険目的:社会政策的保険、経済政策的保険、その他の普通保険

4)保険の歴史

保険的思想は文明の発祥時から存在した。寺院、政府が救済処置をとる。商業仲間内で資金プールを行う。

企業保険的機能 イタリアで海上保険の発生(海上交易。イギリスの法律に「航海」をAdventureと表現した条文がある)

火災保険 家計保険 中世ドイツ、ギルドで現物・役務提供 12世紀に火災ギルド誕生

 Phoenix Insurance Company (1705) 最初の近代的保険会社(発端はロンドン大火1666

 東京海上保険会社1879 三菱海上火災、明治海上火災(明治生命の兄弟)と合併し東京

海上火災

生命保険

 ギルドで埋葬費、遺族救済のための資金プール

 イギリス教会の牧師による共済組合 「孤児と未亡人のための保険組合」1699 失敗

  Amicable Society for a Perpetual Assurance Office 1706 : 1世紀存続

 トンチン年金:Lorenzo Tonti Mazarin に提案、国債による財政資金調達(生存者がな

くなれば国のもうけ) 1689年に実施 ナポレオン1世時に消滅

 寿命測定、利息計算や年金事業に新しい刺激を与え、保険思想に新しい栄養を与えた

 「ハレーの死亡表」人間の死亡率が年齢が高くなるにしたがって高まっていく

 大数の法則など確率論の生起、発展

 過去、生命保険は「賭け」そのもの  「賭博法」1774

 株式会社 Westminster Society for Life Assurance 1792 発足

日本の生命保険

 昔 三倉、頼母子講、座、五人組など

 福沢諭吉の紹介 火災請負ひ、海上請負ひ、人の生涯を請合ふこと

明治生命 1881  福沢門下生が設立

  http://www.s-hoken.net/history.shtml

損害保険  http://www.sonpo.or.jp/abc/abc_ara_rekishi.html

 三井住友海上 http://www.ms-ins.com/company/profile/outline.html

[参考] ロイズ

 

4)レポート課題(シラバスの案内と異なることに注意、次々回提出)ABCの一つを選択すること。A42ページぐらいにまとめる(10002000字)。参考資料を必ず明記すること。提出期限は66日、提出場所は教室を原則とする。

 

A 生命保険会社を調べよう。テーマは、成立歴史や特質、商品の特徴など、しぼって調査すること。他社との関連に注意すること。

 

B 賭博に関して、掛け金や配当など、その内容を調べてみよう。宝くじ、競馬などがある。文学にも賭博の状況を描写しているものがある。たとえば、ドストエフスキー「賭博者」。

 

C. 社会現象や自然現象で大数の法則に関係ありそうなものを調べてみよう。