総合政策学部1年 浜田朋

今学期の歩み

0.始める前に

 ホテルとホスピタリティという題にする前は訪日外国人のことについて調べようと思い、それに関連したグループに参加し、浅草を訪問している外国人の方々に対してアンケートをしようとしたが、アンケートの必要性がないなどの理由で結局個人での発表をやっていく形となった。その後の発表で一回訪日外国人に関しての発表を行ったが、それ以降この題については保留という形にしたため、ホテルとホスピタリティ(第二回目ではまだホスピタリティに関しては触れていない)に関しての研究を始めたのは2回目以降である。

1.始めに

 東京では今現在でも熾烈なホテル戦争が行われている。しかし、数年後には更に過酷なホテル戦争が勃発する。では新たに東京に進出してくるホテルに既存のホテルはどうやって立ち向かえばいいのだろうか。これが最初の疑問であった。そしてホテルにとって最も重要なものについて考えた時、頭に浮かぶものとして「ホスピタリティ」がでてきた。 もちろん内装の美しさ、清潔さや料理のおいしさなどのハード面の重要性は言わずもがなであるが、その根にあるものはやはりホスピタリティなのではないかと考えている。そこで私が今学期研究したものはホテルとホスピタリティ(主にこれを自分なりに解釈することに専念してしまった)である。

2.主に行ったこと

 今学期にできたことはとても少ないし、まだ研究という範囲には達しきれていない。しかし、来学期にも同じ内容を扱い、もっと深く研究するつもりだ。とりあえず今学期の活動を箇条書きにしてみると、 ・現在のホテル事情についての(主にインターネットを利用した)調査する
・ホスピタリティに関しての書籍をいくつか読み、自分なりに解釈する
ホテルとホスピタリティを結びつける
・観光という話題につなげる

3.本においてのホテル戦争の勝者予想

 私が読んだ本の中に『ホテル戦争』というものがある。この中でじきに起こるであろうホテル戦争の3つの勝者を予想している。それは .供Ε螢奪張ールトン東京
帝国ホテル
ザ・ペニンシュラホテル
の3つのホテルである。この3つが選ばれた理由は後々少しずつ話の中に混ぜていこうと思う。

4.ホスピタリティの意味と語源

 そもそもホスピタリティとは外なる人に対して最良の手厚いもてなし、歓待、厚遇をすることという意味である。元を辿れば話は紀元前にまで話はさかのぼる。言葉として完成したのは中世だが、理念としてはずっとずっと前から存在していたようだ。その証拠としてユダヤ教のExodus(出エジプト記)にも紹介されているし、キリスト教の教えの中にも「隣人を愛せ」とホスピタリティの精神を反映している。  「ホスピタリティ」という言葉はギリシア語のフィロクセノス(=外来者への愛)の対応語で、hospitalとhotelの同義語だ。そして、語源はhospiceから派生してきた言葉で、hospiceという言葉の語源はラテン語のhospesから来ている。この言葉達はどれも似た印象があり、やはりそれぞれの言葉の意味を考えた時、共通する理念があることが分かった。どれも最大限の努力の元で訪れる人を扱わなければならないのだ。 中世のヨーロッパで巡礼が盛んになった時、キリスト教の教えでは巡礼をしに行く旅人達は暖かくかくまうべき存在であった。旅人とホスピタリティの精神は密接に関係しているのだ。

5.ホテルに当てはめるホスピタリティの精神

  ホスピタリティの意味とは3.で説明したようなものであるが、これには一つ前提条件がある。それは、客とホストする側は同等の立場にいなければならないということだ。第3回目の発表で言ったことであるが、今度新たに進出してくる超高級ホテルの筆頭としてマリオットグループが運営する世界的に有名なホテル、ザ・リッツカールトン東京というものがある。このザ・リッツカールトンでは従業員一人ひとりにクレドと呼ばれるホテルでの信条のようなものがある。その中に  “We are ladies and gentlemen serving ladies and gentlemen.” というものがある。ザ・リッツカールトンではこのように対等な立場で客と接するホスピタリティの精神を良く理解していると言えよう。ザ・リッツカールトンでのホスピタリティはいくつもの書籍が出るほど有名なものであり、 ・絶対NOと言わない
・自分で自由に客のために使える予算というものが全従業員に与えられ、そこから自分なりに客へホスピタリティを行える
などのちょっとした工夫がある。このホテルは東京の六本木という最高のロケーションにもうすぐ完成することになる。
つまり、客という存在に振り回されるだけではなく、自分という存在の人間性も尊重しなければならないということだ。私はこれを知った時「お客様は神様です」という言葉を思い出した。この言葉の言う通りにしてしまうと前提条件をクリアできないことになり、ただ客に媚びているだけの薄い態度になってしまうのだ。もちろん逆もありえる話である。だからこそ、ホスピタリティの実践は難しいのである。

6.顧客満足度

顧客満足度とは、見ての通り、レストラン、ホテルまたはテーマパークなどにおいてどれぐらいそのサービスに満足したかという数値である。顧客満足度は顧客の期待にどれだけ答えられるかで決まると言える。期待という感情は願望・意外性・快適さ・喜びの4つの要素からできている。満足度を上げるためには期待通り、またはそれ以上のものを客に与えなければならない。ホスピタリティや良く整備されたハード面を身につけることによってこれは可能になる。そして期待に答えることができた時、客はもちろん喜び、また自分にとっても感動がもたらされる。そして、また客(そして自分)のために働く動機ができる、という一種の相乗効果が生まれる。そしてこれは繰り返されることによって反復効果をもたらす。
実はこれがリピーターを引き出す秘訣なのである。良い例として、ディズニーリゾートがある。いつも中身は同じはずなのだが、なぜ1年の間にもたくさんのリピーターがいるのだろうか。考察するに、訪れる人々はその空気に魅了されている。そこに行けば、なんらかの安らぎを与えてくれると分かっているからだ。そしてその良いサービスもリピータィの獲得を助長している。夢を壊さない良いサービスがあるからこそ、大人になっても訪れたくなる場所として存在するのではないだろうか。日常忘れがちな夢と癒しを求めに高い入場料金を払ってまで客をディズニーリゾートに来させているのだろう。

7.従業員満足度

従業員満足度とは、職場において自分の能力をうまく生かせているか、また働いている環境はいいか悪いかなどの条件によって決まるものであるが、ホスピタリティをうまく実 践できている職場ではこの従業員満足度が高いということが分かった。 さて思い出してほしいのだが、私は3.において『ホテル戦争』が予想したホテル戦争の勝者はザ・リッツカールトン東京と帝国ホテルとザ・ペニンシュラホテルであったと言及した。その根拠の一つとして従業員満足度がある。3つのホテルのどのホテルにおいても従業員満足度が高いという共通点があるのだ。ここではザ・リッツカールトンとザ・ペニンシュラホテルの例を挙げてみたい。
例1) ザ・リッツカールトンの場合
 このホテルには「星」システムというものがある。簡単にいうと胸にある星のバッジが多いほど経験豊富でホスピタリティあるサービスができる人物とみなされるというシステムである。このシステムによって従業員は良い意味でのプレッシャーを感じ、より良いサービスを試みるようになる。そしてその成果がでて胸に星バッジをもらうことができた時、その従業員の能力が生かされたとして更にやる気が出る、という仕組みだ。人は目に見える成果が出ると尚更やる気を引き出すことができるという性分をよく理解しているやり方である。

例2)ザ・ペニンシュラホテルの場合
 このホテルではスタッフにずっと同じ職場で働かせている。それこそ、入ったときから引退するまでである。こうすることによってその道のプロを作り、どのようなことをしたら客が喜ぶか、などと客のつぼが分かるようになるのだ。ここで分かる良い循環として、
従業員満足度増→退職する人が減る→ベテランが増える→顧客満足度増
がある。顧客が満足する度にやはり従業員は仕事にやりがいを感じるのだ。

 ここで6.と7.をまとめると、つまり顧客満足度と従業員満足度は密接に関係している、ということが判明したのである。

8.観光業とホスピタリティ

 結論から先に言ってしまうと、ホスピタリティなき観光業は存在しないと言えよう。このように言うと言いすぎの感もあると感じるかもしれないが、この理論には一応根拠がある。  まず観光業というものは次のページの図のように分かれている。

                                           基本的観光ビジネス=交通業・旅行業・宿泊業
       企業組織              観光関連ビジネス=料理飲食業・レジャー関連業・土産品業

観光産業
                           国内組織=観光協会・各省庁・地方行政観光機関
       公共組織             国際組織=WTO・その他国際観光機関

   『ホスピタリティ・観光産業論』(白桃書房) 著:山上徹                              P.63のグラフを抜粋

そして、ホスピタリティ産業というものがある。この中には 宿泊業・飲食業、観光産業・関連事業、観光・教育・健康産業・関連業が含まれている。そして最広義で使われている意味として人的対応・取引する全ての産業がある。ここから分かる通り、観光産業とはホスピタリティ産業の中の1つの側面でしかないのである。つまり基本的な理念は共通する、というわけだ。ここでこの項の最初に言及した理論が成立する。

9.まとめ

 まだまだまとめられる程のデータがないが、とりあえずまとめておくと、観光産業の一環として含まれているホテルと、ホスピタリティ産業の一環として含まれている観光産業であるが、結局ホスピタリティなきホテル、そして観光産業はない。私はこの理論に今の所納得しているつもりだ。コンピュータなどの機械ではできない人間独特の温かみはこのような商売を行う上で人類の歴史上ずっと必要なものであったし、これからもそうであろう。

10.今後の予定

この研究に関してはフィールドワークも行っていないためまだまだ研究の余地がある。よってこれ以降もだいたい同じフィールドを研究していくつもりだ。来学期では今学期行えなかったアンケートや実際にホテルに足を運んで聞き込みなども行ってみたい。また、研究には欠かせない仮説というものをまだ立てていなかったので、来学期ではこの仮説を立証するための活動を行いたいと思っている。 またこのフィールドを少し応用して、ツーリズムマーケティングにも手を出してみるかもしれない。

11.参考資料

・ホスピタリティ・観光産業論            著者:山上徹   白桃書房
・ホテル戦争 「外資vs.老舗」業界再編の勢力地図  著者:桐山秀樹  角川書店
・新概念としてのホスピタリティ・マネジメント    著者:服部勝人  学術選書
・ホスピタリティ概論                著者:古閑博美  学文社


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Last-modified: 2008-04-01 (火) 15:02:56 (4222d)