マリーンツーリズムと東京周辺の水域における観光

 総合政策学部2年 泉 真由

1、始めに マリーンツーリズムとは・・

 

マリーンツーリズムとは、通常居住する場所から離れたところに旅行し、対象巷はその尾も足る目的が生みの環境にかかわるリクリエーション活動を含むツーリズムである(ここでいう海の環境とは塩水であり、潮流のある水域である)」と定義されている(オラムス、2003)。

(参考)  参考文献<1>:P.15

2、水上バスを利用した観光

(1)東京隅田川水上バス

 東京の水上バスは、隅田川や東京湾などの水域・海域を運行している。隅田川の クルーズは、板橋区の小豆沢という発着場が最北にあたり、そこからお台場などが ある東京湾まで水上バスを利用して南下していくことが可能である。様々な種類の 水上バスがあり、最近では漫画・アニメ界の巨匠・松本零士氏がプロデュースされ た未来型水上バス「ヒミコ」が2004年より運行されている。船内には、超高輝度LED による光の演出や、バリアフリーに対応した初の小型船である。

 水上バスのサイトでは、隅田川のクルーズを利用した観光ルートを紹介している。 たとえば、友人とフライデーナイトに浅草で待ち合わせ、日の出桟橋を経由してカレ ッタ汐留のレストランでディナーをするコース。また、小さい子供のいる家族の休日 に、日の出桟橋と葛西臨海公園間を水上バスで行き、葛西臨海水族園への訪問や大観 覧車の乗船などを提案している。その他にも、修学旅行用コース、周辺には国技館や 浅草寺など東京の名物やお台場など観光スポットもある。

(参考)

Tokyo Cruise Ship Co..LTD   http://www.suijobus.co.jp/

∈眞痛/諭‥豕都公園協会   http://www.tokyo-park.or.jp/mizube/

(2)横浜の水上バス

 横浜駅東口を出て、徒歩約5分のところに観光船の乗り場がある。みなとみらい周辺の海域を運行している。ピア赤レンガや大桟橋、山下公園などに停船する。そのため、横浜周辺を歩かず海からベイブリッジやみなとみらい周辺を臨める。サイトには、観光ルートとしてだけでなく、ウェディング用の航路も紹介されている。

(参考)

財団法人 横浜観光コンベンションビューロ   http://www.welcome.city.yokohama.jp/tourism/walking/1070.html

3、東京のエコツアー

(1)御蔵島でのエコツアー

 御蔵島は、東京から南に約200kmの海上に位置し、黒潮本流の真っ只中ある。面積が約21平方kmあり、御椀を伏せたような形の島である。交通アクセスは、毎日船便が一本東京−御蔵島間を運航している。この島は、和39年7月7日に富士箱根伊豆国立公園に指定されている。

 御蔵島でのエコツアーの売りは、イルカウォッチング。シーズンは、だいたい4月から10月らしい。一年中イルカは生息しているらしいが、海の状況が冬に悪くなるだそうだ。御蔵島では、自然環境に配慮して3つのゾーニングを行っている。1つ目は、東京都自然(御蔵島)ガイドなしで立ち入れる区域、2つ目はガイド同伴で立ち入れる区域、3つ目は立ち入り禁止区域である。また、2つ目の東京都自然ガイド同伴で立ち入り可能な区域(自然環境保全促進区域 陸域・海域利用区域)に関しては、利用ルールが公表されている。また、利用時間や、利用者数制限なども取り決められている。

(参考)

御蔵島村公式ホームページ   http://www.mikurasima.jp/index.htm

(2)小笠原村におけるエコツーリズム

 小笠原諸島は、30あまりの島々の総称で、沖縄とほぼ同じ緯度にあり、主島は父島という東京の南約1000kmに位置している。また、この島々には自生植物の約4割が他の地域には見られない固有種も存在し、学術的な価値の高い自然が残されている。この地域は、小笠原国立公園として昭和47年10月16日に指定されている。平成9年のデータでは、同国立公園利用者数は年間約16万人となっている。

 この諸島でのエコツーリズムの見所は、やはりホエールウォッチングであろう。また、ドルフィンスイム&ウォッチングやジャングルトレッキングなどもある。もちろんその他にも、スキューバーダイビングやウィンドサーフィンなどのマリンスポーツ、釣り、レンタルサイクルなども楽しめる。その傍らで、環境省による自然再生プロジェクトが進められ、固有種の外来種からの保護などが行われている。

父島への交通アクセスが、御蔵島に比べるとやや困難で、船便が6日で一往復するシステムである。そのため、最低現地で5泊はしなければならない。

(参考)

小笠原村ホームページ   http://www.vill.ogasawara.tokyo.jp/index.html

(3)都レンジャーについて

 東京都では、平成16年より東京都自然保護員(都レンジャー)制度を導入した。都によって認定された保護員たちが、東京都の自然公園の管理・運営のサポートを行っていくものである。都レンジャーは、都内計8つの自然公園に配置されている。主な業務例は、利用者に対する利用マナーの普及啓発や指導、動植物の観測や監視、小笠原諸島への動植物持込の監視や観光業者への指導なども行っている。また、ボランティアに対してのレンジャー養成講座なども開催し、エコツアーの質的向上も図られている。

(参考)

都レンジャー   http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/sizen/kouen/ranger/ranger.htm

4、日本の自然公園

(1)自然公園と国立公園の定義

 

 自然公園とは、自然公園法に従って指定された自然公園 国立公園、国定公園及び都道府県立自然公園のことである。そして国立公園は、我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地(海中の景観地を含む)が指定を受ける。

こうした自然公園は、全国で391ヶ所存在し、面積は5,361,739ha(国土面積の14%)ある。東京都には、10ヶ所あり、79,352haの広さを持ち、各都道府県の面積比と比べると、都面積の36%は全国一の規模比率である。

(2)自然公園における地域指定と行為規則

 

 大きく分けて3種類の地域指定がある。特別地域と海中公園地区、そして普通地域である。まず、特別地域には、特別保護地区(原生状態保持)、第一種特別地域(現在の景観を極力維持)、第二種特別地域(農林漁業活動について努めて調整)、第三種特別地域(通常の農林漁業活動は容認)の4タイプが存在し、人々の利用制限を規定している。また、海中公園地区は海中の景観維持がなされる地区で、普通地域は風景の維持を図るエリアである。

(3)海中公園について

 自然公園法の中で、海中公園地区として定義されている。優れた海中景観を持つ海域であり、国立公園や国定公園の中にある。そして、全国には63の海中公園が存在する。ほとんどの海中公園は、黒潮系と対馬暖流系に属している。もちろん、小笠原村にも海中公園が存在し、その美しい景観と自然は小笠原村の観光には欠かせないものであろう。

(参考)

海中公園の分布   http://www.coremoc.go.jp/park/3_bunpu/bunpu.html

5、世界の自然保護区域と観光

(1)自然保護区域の分類

IUCN(国際自然保護連合、1994)によると、保護区域の管理運営の分類として以下のものをあげている。

妓鏡玄然保護区/原生自然地域  (主に学術研究や原生自然の保護のために管理運営する保護区域)

a原生自然保護区  (主に学術研究研究のために      〃         )

b原生自然地域  (主に自然の保護のために       〃         )

供々駑公園  (主に生態系の保護とレクリエーションのために〃      )

掘‥形概念物  (主に特徴的な自然資源の保全のために 〃         )

検ー錣叛限地管理地域  (主に介入的な管理運営を目的とした保護区域)

后〃粉冓欷鄰楼  (主に景観の保護とレクリエーションのために管理運営する保護区域)

此〇餮惨浜保護地域  (主に自然の生態系の持続的利用のために 〃        )

(2)観光と生態系の再生 〜マディクエ動物保護区の例から〜

 南アフリカにあるマディクエ動物保護区は、1991年に創立した。この地はかつて農業に使用されていた。しかし、多くの放置された農家の建造物や古いフェンス、そして外来種の植物などが除かれ、今ではアフリカのサバンナの生態系が存在している。約6万ヘクタールの保護区は、電流が通るフェンスで囲まれ、そこにゾウ・サイ・ライオンなど28種類1万頭以上の動物が放たれた。これは、史上最大規模の野生動物の配置転換といわれている。上述したIUCNのカテゴリーでは、犬冒蠹する。

 この保護区の特徴は、観光収入が保護区生態系の維持に費やされていることと、関係者である官・民・地域の三者がそれぞれ相互に利益を得られる仕組みができていることである。官である南アフリカ・ノースウエスト州公園委員会は、インフラ整備や保護区として管理運営を行う。彼らが指定した観光に適した場所を民間の旅行事業者に貸すことで、宿泊施設やハンティング大会など観光商品を作り出す。民間業者は、こうして上げた利益の中から営業料を公園委員会に支払わなくてなはならない。この営業権は、保護区の環境維持費として、また地元への配分についても行っているようである。また、国際的な開発資金で、地元住民が自ら起業するための支援なども行われている。このように、保護区の地元への還元が地域全体で成功していく重要な鍵と言える。

(参考)

〇温擁幻<2>:P.68-69

http://.parks-n.co.za/madikwe/index.html

6、世界の自然保護区域の財源確保事例

 自然保護区域の運営を持続可能なものにするためには、収入源について無視することはできない。基本的には行政による支援が大きなウエイトを占める自然保護区域が多い。しかし、そうした自然保護区域が果たす経済効果などを具体的な数値として表さないために、行政からの支援額が縮小されるケースもある。私営の自然公園もあれば、寄付金、NGOなどとの連携で、財源確保のために様々な工夫がなされている。

(1)ガラパゴス国立公園と海洋保護区域について

 ガラパゴス諸島として有名なこの国立公園は、エクアドルにあり世界遺産に登録されている。1970年に5千人以下だった利用者が、急増し1999年には6万6千人以上がこの地区を訪れている。旅行者が乗船してくる船では、宿泊や食事等が済ませられるため、島自体にそうしたインフラを整備する必要性は低い。

ガラパゴス国立公園局は、利用者に対して入場料を取る以外にも、訪れる船に対しても営業権料を支払わせる方法で収入を得ている。もちろん、船舶のベッド数や周囲でその営業量も変化してくる。2000年においては、船舶からの営業利益が公園利用者の入場料総額8%になっている。

(参考) 参考文献<2>:P.262

(2)企業からの資金協力の一例

 企業と自然保護区域との資金協力は様々上げられるが、コスタリカのグアナカステ保全地区での取り組みを紹介する。同保全地区の流域で、デル・オロ株式会社はオレンジを栽培している。そのため、保全地区の水源などを保全するために、20年間契約で総額48万米ドルの資金提供を受けている。

(参考) 参考文献<2>:P.269

7、マリーンツーリズムの事例

(1)アメリカズ・カップ

 アメリカズカップとは、国際的なヨットレースである。これは、1853年からの古い歴史を持つ国際スポーツイベントである。一日だけのイベントではなく、数年かけて予選が行われ、前回の覇者と予選で勝ち抜いたチームとの一対一が決勝である。そもそもこのヨットレース名の由来は、最初の大会でアメリカから招いた“アメリカ号”が、イギリスの数々のヨットを打ち負かし見事優勝したことにある。

 今度の大会は、2007年にスペインのバレンシアで行われる。2005年に同じくバレンシアで行われた予選の初日には、20万人の観衆が海岸遊歩道やバレンシアビーチに集まった。このように、規模が大きいイベントなのである。

(参考)

バレンシア自治州オフィシャルサイト   http://www.comunitatvalenciana.com/Valenciaweb_jp/index_jp.htm

(2)日本のクルージング観光

 2006年は、日本におけるクルーズイヤーとされている。今年日本最大の豪華客船“飛鳥供匹眦仂譴掘日本の港に来航する外国客船も増加傾向にあり、最近注目されている観光である。やはり、クルージングは時間のかかる旅ということもあり、リタイアされた方がメインということである。また、高価なイメージの強いクルージングであるが、20〜30万円で利用できるツアーも人々に認識されつつあるようだ。また、地方においても直接入港することが可能なため、地域の観光活性化などにも魅力的なツールになるという見方もされているようだ。

(参考)

クルーズイヤー2006  http://cruise2006.jp/index.html

<参考文献>

<1>オラムス・マーク(2003)、海洋観光学入門、衢斐閣 

<2>マックール・F・ステファンほか(2005)、自然保護とサステイナブルツーリズム、衒針渕


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Last-modified: 2006-02-06 (月) 09:21:45 (5034d)