Tourism Studies in SFC

古谷研究会最終レポート 

「今期の活動内容 と 音楽と観光の関係に関する研究

総合政策学部 2年 佐々川 尭 

1 はじめに

まずこのレポートの構成について叙述したい。
1 はじめに(レポートの構成に関して)
2 なぜ観光について研究するのか、および今期の中心研究テーマ
3 輪読・文献講読に関して(主に9月〜12月までの研究)
4 音楽と観光の関係に関する研究(主に1月〜最終発表までの研究)
5 おわりに

2 なぜ観光について研究するのか、および今期の中心研究テーマ

2−1 なぜ観光について研究するのか

 現在社会は情報化が進展し、グローバリゼーションが急速に進展している。しかし、従来の近接な共同体社会から広範な社会関係への移行を実現することができた反面、文化の違いなどを起因とした様々な衝突が問題となり、それは現在の大きな社会問題の一つである。そこで現在多くの場所で国際観光の重要性が叫ばれている。違う人々、違う文化を自己と違うものとして排除するのではなく、お互いが受容しあっていくための方策として、楽しむことをその前提とした「観光」が注目されているのだ。また、それだけでなく観光のもつ経済効果などそのプラス影響は計り知れない。このことは現小泉首相も訴えている事であり、日本においても上記のような可能性をもつ観光が注目されている(首相官邸webページ
 私は、独特で素晴らしい文化を有する日本はこの「観光」を産業としていくためのポテンシャルを充分すぎるほど持っていると考えている。経済など様々な面において停滞の兆しが見え隠れする日本に一光を射す有効な手段として、観光立国として日本を発展させていくことが重要なのではなかろうか。この考えのもと、私は観光に対して研究を行っていくことを志した。たとえそれがどのように小さな研究であろうとも、私が観光について何かしら研究することで、その一助になれると信じている。

2−2 今期のゼミにおける中心研究

 上記したように、観光について研究していくことを決意したが、そのためには、まず現状把握、観光についての知識、観光に必要な経済・経営・法学などの知識の蓄積が必要であると私は考えた。焦りすぎて、安易に自己流の研究や政策にシフトし、アウトプットすることばかりに捉われてしまえば、それは非常に内容が薄く、説得力のないものとなってしまう。そこで今期はアウトプットすることよりも「インプット」することを主軸に研究をすすめてきた。その意味では今期のゼミでの私の活動は研究というよりも勉強と呼ぶべきものになるかもしれない。しかし、基盤づくりはどのような研究にも必要不可欠なものであると考えているため、今期の活動は非常に意義深いものになっていると自覚している。

3 インプット〜輪読・文献講読を通じて〜(主に9月〜12月までの研究)

 先の2−2において上記したように、今期は様々な文献による知識蓄積を一番の目標にかかげた。そこで主に文献をまとめていく作業を行ってきた。その際に選んだ文献であるが、まずは観光をトピックごとに全体的に概観するような基礎的なものを何冊かと、観光に関する多様な視点を得るために社会学なら社会学の視点から観光に切り込んだ本など、それぞれの学問的観点から観光に対し論じた文献を中心に読み進めようと考えた。まとめていく作業においてはその文献だけの情報にとらわれることなく、webなどを活用して獲得した他の情報も盛り込んで多くの議論を行うため、毎週月曜にサブゼミを開講しそれをペースメーカーとした(輪読サブゼミ)。また、wikiを利用し、サブゼミ内で行った輪読におけるレジュメをアーカイブ化した。

今期輪読として行った文献は以下の四冊である。

_本 伸之編著2001年『観光学入門―ポスト・マス・ツーリズムの観光学』有斐閣
∩暗 勇編著2002年『現代観光総論』学文社
0妥 亘宏編著2005年『旅の売り方入門―もっと売るための広告戦略』イカロス出版
た榮W◆遠藤英樹2005年『観光社会学〜ツーリズム研究の冒険的試み〜』明石書店

   より多くの輪読を行いたかったが、スケジュールの関係また一冊に時間をかけることの必要性を強く感じ、今回輪読としてはこの4冊だけをもちいた。これらに関するまとめの一部は本wiki中の輪読サブゼミに掲載している。またこれらの文献のうち、△亡悗靴討麓腓亡儻の定義と地域社会、地方における観光のあり方に関する議論について、またい亡悗靴討牢儻社会学における観光の儀礼的性質に関する議論に関して取り上げ、ゼミの人々と知識の共有をはかるために発表を行った。また上記の4冊の他にも多くの文献に関して個人的に講読を行ったので、他の観光学を志す人々のためにも、その内直接観光に関する文献のみを以下に叙述する。

・塩田正志、長谷政弘著1994年『観光学』同文館出版
・淡野明彦著2004年『アーバンツーリズム―都市観光論』古今書院
・前田勇著2003年『21世紀の観光学―展望と課題』学文社
・バレーン.L.スミス著1991年『観光・リゾート開発の人類学―ホスト&ゲスト論で見る地域文化の対応』勁草書房
・前田勇、作古貞義編著1987年『サービス・マネジメント―サービス向上の理論と実際』日本能率協会

 以上、直接的に観光に関する文献だけではあるが私が今期読み進めてきた本に関して紹介させていただいたが、これらの講読を通じて思ったこと、得たことは非常に多い。その中でも特に実感したのが観光というもののもつ学際性である。社会学、法学、経済学、哲学、文化人類学・・・観光に対するアプローチの仕方は多種多様だ。これまで様々な本を読んで一番わかったことは「観光学というものをなんの学問的基盤、視点なしに研究をしようとしても、それは非常に曖昧でつかみにくく、アカデミックなアウトプットが非常に難しい」ということである。専門の学問的研究なしに、「今の観光はこれこれこういうものだ」などと研究していっても、なかなかそれを発展させていくのは難しいと私は個人的に考える。ただただ情報を得るだけなら雑誌を読めばすむのだから。

4 音楽と観光の関係に関する研究(主に1月〜最終発表までの研究)

4−1 自分らしい観点で観光に切り込む

 さて、上記のように研究会の前半では主に文献講読を行い、インプットに励み、観光学の学際性について深く理解することができたのだが、そのようなことがわかってくるうちに自分も「自分なりの観点・興味から」観光に切り込んでいきたい、アウトプットをしていきたいという気持ちが強くなった。そこで、私は今期の研究会の後半「音楽と観光の関係に関する研究」を行うことにした。

4−2 なぜ音楽と観光か?

 では、なぜ音楽を私の研究テーマにしたのか。それはまず私の一番興味のある事が単純に音楽であったからである。さらに、音楽や他の様々な芸術は多くの人々を魅了するものである。つまり、楽しみ、癒し、非日常を求める観光と音楽の特性は強く結びつくのではないだろうかと考えたのである。実際、各地において音楽と観光が結びついている地域は多々ある。なかでも各地で行われる音楽祭などは多くの人々を誘致し、その地域のまちづくりに大きな役割を果たしている。

4−3 この研究における私の中心テーマ

 さて、私のこの研究においてのテーマ、最終目標は私の住む街「溝の口」の音楽による町おこし企画を立案することである。
 都心において音楽の街として有名な街が「音楽の街」といわれる所以は、CDショップやライヴハウスの多さもまたその一つであるが、注目すべきはその街におけるストリートミュージシャンの数である。下北沢や吉祥寺などを歩いていても多くのストリートミュージシャンが町中で演奏し、街のなかに音楽という色づけをしている。そして、先にあげた私の研究対象とする街「溝の口」もそのようなストリートミュージシャンが多く存在する街の一つである。
 しかし、彼らストリートミュージシャンは騒音の対象として卑下されるなど、日本においてはあまりいい扱いはされていない。私も実際よく警察の方や市の方がストリートミュージシャン達と揉めている姿をよく目にする。しかし、このように多数存在する彼らを逆に認め、街起こしの一角になってもらうことはできないだろうかと私は考えた。たとえば、ストリートミュージシャンたちの「音楽祭」などを企画してはどうだろうか。あるストリートミュージシャンを見るためだけにその街に訪れる人々も少なくなく、また実際にストリートミュージシャンの演奏は多くの人の足を止めているではないか。
 そこで私はストリートミュージシャンの活動が盛んである溝の口において、ストリートミュージシャンと街が結びつく企画案を考えることを、この研究におけるテーマ、最終目標としたい。

4−4 各地の音楽と街が結びついた事例研究

 しかし、上記したような企画を立てるといっても、その前に実際音楽と街が結びついている街や祭の例を研究しなければならないと私は考えた。先にも述べたが、インプットなしのアウトプットは危険であるからだ。また、1月からこの研究をはじめ最終発表まで時間がなかったこともあり、そのような事例研究を中心に行っていくことにした。そこで以下に、今期に調査した音楽と街が結びついた事例を叙述していく。

4−4−1 FUJI ROCK FESTIVAL
 FUJI ROCK FESIVALは毎年、7月末日の三日間を使って行われるロックフェスティバルである。このイベントは日本各地、世界各地から100以上ものROCKだけにとどまらない様々なアーティストを夏場の雪がない苗場に一同に介し、計12会場においてライヴを繰り広げる日本でも有数のロックフェスティバルである。彼らを見るために約4万人の人々がそれを見るため各地から集まる。
 この場所において着目すべき点は、日本全国から集まる人々のためにイメージクエストインタラクティブトラベルが、「 FUJI ROCK FESTIVAL ツアー」なる旅行パックを提供していることである。つまり、まさに観光と音楽が結びついているのである。またフェスティバル会場には泊まる場所があまり存在しないため、苗場スキー場の近くの多くの宿が宿泊施設として利用され、また飲食関係の様々な店も多く利用される。このように音楽によって誘致した人々が地元で様々な消費を行うことで、地域における経済活性化やその場所のネーミングバリューの向上が実現している。このイベントは大手スポンサーが年々参画し、ますます大きなイベントになっていく模様だ。

4−4−2 各地のJAZZ Festival
 世界では多くのJAZZ Festivalが行われている。たとえばその有名なものは世界三大ジャズフェスティバル(ニューポートジャズフェスティバル、スイスのモントルージャズ、アメリカのモンタレー)である。また国内に限定しても、関東圏で有名な横濱ジャズプロムナードをはじめ、多くのJAZZ Festivalが毎年開かれている。そこで以下その中から特に日本におけるジャズフェスティバルを中心にその事例を挙げていきたい。

横濱ジャズプロムナード
 毎年秋、横浜、桜木町、関内付近を中心に約90の会場(会場地図)において行われるジャズフェスティバルである。去年10月に行われた横濱ジャズプロムナードでの参加者と来場者数 はそれぞれ、850人のミュージシャンと約123,000人の来場者である。横浜JAZZ PROMNADE実行委員会が中心となり横浜市などを含め11の団体によってい運営されている大規模な音楽祭だ。
 このフェスティバルの特徴は、「YOKOHAMA JAZZ HOT WEEK 」、「Motion Blue Yokohama」(Motion blue yokohama webページ) など横浜および周辺地域の他の施設や企画と連携し、様々な相乗効果を生み出しているところにある。横浜市、横浜観光コンベンション・ビューローなどもこのイベントを後押ししており、もはや横浜における重要な観光客誘致イベントの一つとなっている。また横濱ジャズフェスティバルフリーパスというチケットを買わなければならないホールでの演奏のほか、各地の大学におけるジャズ研や有志市民による路上でのジャズ演奏など、街全体がジャズ一色に染まる。

定禅寺ストリートジャズフェスティバル

 仙台市にて毎年行われる大規模なジャズフェスティバルであり、その規模は日本・世界においても最大級の音楽祭といわれている。
 先の定禅寺ストリートジャズフェスティバルでは二日間で60万人以上の来場者数を誘致した。この音楽祭は、第一回が1991年、参加バンド25、観客5000人という少ない規模で行われていた。しかしその後どんどん参加者数、観客を増やし、先日の15回では63万人の来場者数と、640グループもの団体が参加した。
この音楽祭の大きな特徴の一つが「市民によって運営される祭」であることだ。60人の市民ボランティア、400人以上のボランティアがスタッフとして運営行政・企業のいわゆる「ヒモつき祭」ではなく、完全企画から実際の演奏まで市民ボランティアによってなされていることが特徴だ。運営資金は広告、渉外個人協賛などでまかなっており、市民だけの力でこれほどの規模の祭を実現させたことは非常に驚くべきことである。
 この祭は、定禅寺通り界隈の有志が、既存の祭につづく文化的イベントを考えていた頃にたまたま、シンセサイザーの演奏会をナショナルビル前で行ったところ、観客が集まったことを契機として、その後、ミュージシャンたちからストリートで演奏できないものかと相談をうけて実現したものである。(定禅寺ストリートジャズフェスティバル実行委員会、「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」<http://www.jstreetjazz.com/top.html>より引用)つまり、ストリートミュージックに着目したところからここまで大きな祭に発展したのだ。その意味でこの事例は非常に参考になると思われる。

その他の主なJAZZ FESTIVAl
山形国際ジャズフェスティバル
YOKOHAMA本牧ジャズ祭
旭ジャズまつり
KOBE JAZZ CITY
神戸ジャズストリート
港南ジャズフェスタ
室蘭jazz cruise
モントレージャズフェスティバル in 能登
徳島JAZZ STREET
東京JAZZ

4−4−3 音楽と観光が結びついた世界の街〜ザルツブルク音楽祭〜
 国内の事例だけでなく、次に国外の事例を取り上げたいと思う。国外において音楽と国が密接に結びついている国といえば「ウィーン」であろう。
ウィーンでは春の音楽祭、イースター音楽祭、現代音楽祭、モーツァルト・フェスト、ハイドン週間、夏のオペレッタ・フェスティバル国立オペラ座、フォルクスオーパーク、ラングボーゲンなど一年中音楽祭が開催されており、一流のオペラ、クラシックを求めて多くの観光客が訪れる。 
 その中でもザルツブルク音楽祭はその最たるものである。これは1920年からオーストリア、ザルツブルグ州州都にて行われている、7月〜8月の一ヶ月間のオペラ、クラシックの音楽祭である。モーツァルトの故郷や『サウンドオブミュージック』ロケ地として有名なこの地には毎年多くの観光客が訪れる。しかし、音楽祭と日本では呼ばれているものの、その内容は演劇がその多くを占めており、本来音楽祭と呼称するのは適当ではない。
 この音楽祭に関する歴史・概要はwikipediaに詳しく叙述されている(wikipedia 該当ページ)この地域はモーツァルトの故郷であるとはいっても、実際はどこにでもあるようななんの変哲もないヨーロッパの地方都市である。しかし、音楽祭という一つの一大イベントで世界的有名都市に変貌したという点で非常に参考になるだろう。この祭ではモーツァルトのチョコレートなど様々なイベント関連商品も販売しており、宿泊施設などと共に大きな経済効果を地域に生み出している。

4−4−4 ストリートミュージックと街が結びついた例
 先にも述べたように、私の研究テーマは地元溝の口におけるストリートアーティストプロモーション企画である。そこで以下には日本において既に実践されているストリートミュージシャンと街が結びついた事例を挙げたいと考える。

柏市における事例

・ストリートミュージシャン認定制
 柏市は、ストリートアーティストの活動が非常に盛んな地域の一つである。
たとえば、ストリートミュージシャンを、柏からの新しい音楽による情報発信の源と位置づけた 「ストリートブレイクKASHIWA」などのイベントや、また、サンサン広場(通称ダブルデッキ)とその周辺では、さまざまなストリートミュージシャンたちが自主的に路上ライブ活動を行っています。
 この地域における特筆すべき点は、「ストリートミュージシャン認定制」という制度を市に導入した点にある。これは東京都の、多くの大道芸人に対して路上でのパフォーマンスを認める免許を発行するという制度に似ている。ストリートミュージシャンによる騒音や、行き過ぎた行為を遺憾に思った柏市が、騒音などのストリートミュージシャンのデメリットを解消し、街の活性化というストリートミュージシャンのメリットだけを残そうと考えて作り出した制度がこれである。
 「柏の街のイメージ形成に貢献してきた、普通のストリートミュージシャンまでもが排除されてしまうような事態は、市も街の人も望んでいません。そこで、私たちはストリートミュージシャンがまちと共存し、安心して活動できる環境にしていくことが、街の活性化のためにも必要であると考えました。」(かしわインフォメーションセンターより引用<http://www.86kashiwa.net/stmn_GD.htm>)
 この認定制度は柏ルール(かしわインフォメーションセンター)と呼ばれるルールを厳守することを条件に柏駅前におけるストリートパフォーマンスを認める制度であり、町とストリートミュージシャンが共存している好例である。

・柏ストリートネット
 上記のような活動を行っているのが地元の商店会、大型店などの代表によって構成される「柏駅周辺イメージアップ推進協議会」という委員会である。彼らはストリートミュージシャンの認定など、柏駅周辺のイメージアップ、活性化を意図として結成された委員会である。柏市役所経済部商工課がこの委員会の事務局となっており、市との強い協力関係によって運営されているようだ。
 彼らの運動の例はたとえば、「柏ストリートネット」と呼ばれるwebページの作成がその一つだ。このwebページはストリートアーティストに関する情報だけでなく、柏駅周辺におけるイベントなどを定期的に更新しているものだ。もしこのようなwebを利用したストリートアーティストと街のコラボレートは参考に値する。

横浜市におけるストリートパフォーマンスプロモーション事業

The Street Fighters
 今Street Fightersと呼ばれる番組が放映され話題となっている。これは2004年10月に始まったテレビ朝日をキー局に全国24局ネットで放送している番組であり、各地のストリートパフォーマンスに着目した新しい音楽情報番組として注目されている。
全国各地でストリートパフォーマンスをしているアーティストが番組webページに自分たちのライヴスケジュールを登録し、リスナーがその情報を元にライヴを見たり、また投票を行うシステムを基本としている。テレビで放映する内容は、そこに登録しているストリートアーティストのうち投票などで人気のある人々や各地域のアーティストをピックアップして取り上げるものだ。「全国」のストリートアーティストをデータベース化している点で非常に評価できる試みであり、またアーティストの育成、またその地域にたいする人々の誘致に多大な効果を持っていると思われる。
 またこの番組が中心となって、テレビ朝日と合同で、某男性2名のアコースティックデュオが、横浜を中心に活躍し、横浜の集客力を高めた事業ということで、横浜観光コンベンションビューローから、「横浜観光プロモーションフォーラム認定事業」に認定されたという成果もある(FM横浜、「FM横浜webページ」、http://www.fmyokohama.co.jp/corporateprofile/discussion/200412.htmlより引用)この番組に注目したFM横浜や横浜市が、横浜をストリートファイターズその総本山とすべく動き、「street fighters @ 横浜」というイベントを企画した。横浜市においてstreet fightersに出演しているストリートパフォーマー達が一同に介す「The Street Fighters@横浜 」と称されるこのフェスティバルはテレビ朝日、FM横浜を中心として、横浜市の協力の元多くの観覧者誘致に成功し、すでにこのイベントは4回行われている。

5 自分なりの企画案

 以上のように各地における音楽と街が結びついている様々な事例を調査してきたわけだが、実際に「溝の口」駅におけるストリートアーティストプロモーション企画について自分なりに概要を考えてみることにした。もちろんインプットはまだまだ足りず、アウトプットには早いが、青写真的なアウトプットの概要を考えることはできるのではないかと考え、その実現可能性の有無に関わらず企画案の概要を考えることにした。以下にそれ叙述したものであるが、これはあくまで概要であり正式な企画案ではない。

・溝の口駅前のダブルデッキ
 溝の口において主にストリートパフォーマンスが行われているのは駅前のバスロータリーの上に存在するダブルデッキである(藤沢駅の形態に似ている)。実質溝の口にはストリートパフォーマンスをする場所がそこ以外に存在しない。
 つまりもし2日ないし3日間ほどをかけて神奈川県のストリートアーティストたちを溝の口に呼んでイベントを行うとしても、彼らが演奏する場所があまり存在しないという現実があることがわかる。大きなステージを設営するほどのスペースもなく、その狭さゆえアーティスト同士の音が混合してしまう可能性もある。

・ダブルデッキをライヴハウスのように活用できないか?
 そこで、ある特定の日だけの祭典とするのではなく、毎週日にちを設定し駅前デッキをライヴハウスのように使用できるようにすればよいのではないかと考えた。従来ではデッキの上で演奏しているストリートミュージシャンと警察官がもめる等、やはり「路上」で演奏する事に付随する問題が多く浮上する。そこで市としてその場所をライヴハウスのように使用することを認可してもらえないかと考えたのである。
 まず川崎市が駅前デッキで演奏をしたいアーティスト、パフォーマーを募集。面接のような形をとって「免許証」のような物を発行(先の柏市の例を参照)その後、webを利用し何曜日にどの認定バンドがデッキ上で演奏するのかを毎月決定していく。丁度ライヴハウスが「ブッキング」という形で出演バンドを各日にちに割り当てていく要領である。たとえば同じようなジャンルのバンドばかりを集める日を設定する「Acoustic live day」などのイベントを行うことも可能である。それらの情報はwebページに表として掲載し、人々の誘致だけでなく、アーティストにもファンが付きやすくなり、市・演奏者双方にとってメリットがあるのではないだろうか。

・以上のweb配信などや認定作業を誰が実際に行っていくのか
 柏市における地元の商店会、大型店などの代表によって構成される「柏駅周辺イメージアップ推進協議会」という委員会を参考にすることができるのではないだろうか。溝の口周辺にも大きな商店街や大型店が存在し、溝の口の発展のために彼らがそのような委員会を設立することは可能だろうか。

以上が私の現在考えている溝の口ストリートアーティストプロモーション事業の青写真である。

6 まとめ

 以上、今期の古谷研究会での私の研究活動を叙述してきた。
 振り返ってみると、今期の4分の3ちかくを最初の計画にも述べたように観光に関するインプットにあてたことになる。その意味で今期の始めに掲げた研究計画目標はある程度達成できたように思える。
 サブゼミをはじめとする、約15冊の文献講読を通じて様々な観点からの観光に関する知識を得ることができたと同時に、観光学というものの学際的特性、また観光をテーマにしてアウトプットしていくことの難しさを理解することができた。またゼミのみなさんの発表を聞かしていただき、観光を学ぶ上でどのようなアウトプットを行っていくことができるかということを学ばせていただき非常に勉強になった。
 また、決してまだ十全とはいえないが自分のアウトプットのための音楽と街が結びついた各地の事例研究と企画案の作成を経験することで、自分の力不足と観光を研究する難しさを実感した。しかし、事例研究は非常に興味深い例が多く勉強になった。たとえば横浜市が番組で放送されているストリートミュージシャンに注目し、それを観光誘致政策の一つとして取り入れた例などは非常に画期的であり、私の考える理想的形の一つである。いまだこのようにストリートミュージシャンと街が密接に結びつき、それをいかして街づくりに取り組もうとする街は少ないが、柏市や横浜の成功例を鑑みても、彼らに注目した街づくりは今後ますます注目されていくのではないだろうか。

7 参考文献・URL

・財団法人横浜市芸術文化振興財団、「横濱ジャズプロムナード」、<http://www.jazzpro.jp/
・定禅寺ストリートジャズフェスティバル実行委員会、「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」<http://www.j-streetjazz.com/
・SMASH corporation、「FUJI Rock Festival 2005」、<http://www.fujirockfestival.com/05/
・ 柏駅周辺イメージアップ推進協議会、「柏インフォメーションセンター」、<http://www.kashiwa.ne.jp/nintei/
・柏駅周辺イメージアップ推進協議会、「柏ストリートネット」、<http://www.kashiwa.ne.jp/main.htm
・tv-asahi 、「the street fighters」、<http://www.street-f.net/index.shtml
・FM横浜 「FM yokohama 84.1」 <http://www.fmyokohama.co.jp/corporateprofile/discussion/200412.html
・川崎市、「川崎市webページ」、<http://www.city.kawasaki.jp/

・小宮 正安著『音楽祭の都ザルツブルク―音楽祭が育てた町』音楽之友社
・菊地 昭典著『ヒトを呼ぶ市民の祭運営術―定禅寺ストリートジャズフェスティバルのまちづくり』学陽書房
・スティーヴン ギャラップ著『音楽祭の社会史〜フェスティバル・ザルツブルク』法政大学出版局

※この他の参考文献・URLも文中に適宜注釈として叙述してある


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Last-modified: 2006-02-05 (日) 22:55:22 (5030d)