Tourism Studies in SFC

観光案内〜奈良市を例として〜

総合政策学部2年
塩入加奈子

はじめに
どこか知らない土地を訪れたとき、我々のその土地に対するイメージや思いはどうやって作られるだろうか。天気によっても変わるかもしれないし、一緒に出かけた人によっても変わるかもしれない。しかし、私は現地で実際に見たもの、出会った人、体験したことが自分のその土地へ対するイメージに大きな影響力を持つと思う。そのため、現地での観光案内は大きな役割を果たすであろう。訪れた人が忘れることのできない思い出を作るため、現地ではどんな観光案内が必要なのか考える。

観光案内とは
一言に観光案内と聞いても人によって想像するものが異なる。観光案内所、観光バス、ガイド, ガイドブック…それだけ観光案内の方法は様々な種類があると言える。私はたまたま出会った観光者に道を教えるだけでも立派な観光案内だと考えている。現在どのような観光案内のシステムがあるのか調べ、そして今後どのようなシステムが必要か考えたい。

観光先進都市=奈良市
日本の観光先進都市である奈良市にスポットを当てる。
研究方法としては奈良市のホームページからリンクの張られている奈良市観光協会のサイトにリンクされているものや、奈良へ観光に訪れたときにもらってきたチラシを中心に調べた。

観光案内所■

観光案内所は、駅周辺や観光者のよく通る道などにある。窓口と電話での情報提供に限るが、道案内に始まり、宿泊施設の紹介、ボランティアガイドの紹介、バスや電車時刻の案内など情報のなんでも屋的存在である。
奈良市観光センターの窓口の方に電話で伺ったところ、提供できる情報は県内に限るため、これから東京に向かうといった外国人観光者への対応としては列車案内までしかできないそうだ。もっと日本国内での観光案内所間のネットワークを強め、次の訪問先のボランティアガイドの申し込みができるなど、もっと広範囲の案内ができればと思った。せめて次の訪問先の観光案内所までの地図やルート案内を渡すことができたら良いと思う。

■ボランティアガイド(通訳ガイド)■

  • 奈良SGGクラブ
    外国人旅行者、在日外国人に対する通訳サービスを行っている。
    観光ガイドを頼むときには3日前までに予約が必要。
    役員選考委員の方に話を伺ったところ、英語の他に数は少ないがフランス語、イタリア語、スペイン語の話せる人もいる。また選考の際は日常会話のできる人という制限のみで、特に奈良の歴史に関しての試験などは行わない。セミナーや勉強会が用意されているので、それを利用したりして知識はガイド各自が補う。国によってもニーズが違うようで、ドイツから来た人は勉強熱心で一生懸命メモをとっていた一方で、アメリカから来た人は楽しむことが最優先だったそうだ。ニーズの違いこそあれ、いかに奈良を知ってもらうかということよりも、奈良でどれだけ楽しんでもらえるかということを心がけているそうだ。
  • 奈良YMCA善意通訳ガイド
    奈良YMCAで行われているガイド養成コースを修了した人によるガイド。
    ガイド養成コースでは週2回英語での授業を1年通して行う。内容は教室で歴史について学んだり、実際にまちへ出てガイドする。YMCA職員の方に話を伺ったところ、ガイド養成コースの授業は平日の午前中に行っているそうだ。必然的に学生はYMCA善意通訳ガイドになれず、主婦や仕事を退職した人がなる。もともと仕事で英語を使っていた人、海外生活の経験がある人など、英語に長けている人ばかりだそうだ。
    もともと英語が堪能な人がガイド養成コースでならの文化や歴史に詳しいスペシャリストとなるので、“中高年による歴史・文化中心の英語ガイド”というはっきりしたガイドのカラーを感じた。
    また、観光者が帰国してからも文通などやりとりをしている人もいるようで、1日限りの出会いだが、満足度は高いのではないかと思った。
  • 奈良学生ボランティア
    奈良ESSで活動しているメンバーの中の18歳以上の大学生・短大生・専門学校生のよるガイド。
    3日前までにメールで予約する。時間のない場合は電話の予約もできる。 月1回のガイド総会で推薦さ書面提出・スピーチを経て承認されてやっとガイドになることができる。ガイド総会では知識の向上を目指して歴史・文化やコネタを勉強する。

どれも主に英語のガイドである。
事前の予約ということで英語のホームページがあった。主なリンク先としては、国際観光振興機構(JNTO)で、これはビジットジャパンキャンペーンの外国人向けオフィシャルサイトにリンクされている。
参照

■ボランティアガイド■

  • 朱雀
    市民ボランティアによるガイド。
    一人旅・家族旅行・グループ旅行・修学旅行の目的、コース、所要時間など希望に合わせて案内する。また英語のガイド、福祉ガイド(身障者および高齢者の方でも安心して奈良を楽しんでもらえるよう、バリアフリーガイドにも努めている)もしている。

■観光人力車■

  • えびす屋
    車夫の採用は面接でやる気があるかないかで決めるため、語学能力は特に問わない。しかし個人的に英語が話せる車夫や韓国語が話せる車夫もいるので、その場にいれば対応可能。歴史文化に関しての研修を行っている。車夫それぞれが穴場やコネタを持っている。“一期一会”をモットーに出会いを大切に思い出創りの手伝いをしている。楽しませようという雰囲気がある。事後評価として葉書でアンケートに答えてもらい、ウェブにアップされている。事後評価を見ると満足度が非常に高い(満足した人しか投函しないのかもしれないが)。車夫一人一人のおもてなし精神と学習意欲がとても高いようだ。

■観光タクシー■

■観光バス■

  • 定期観光バス
  • 世界遺産ぐるっとバス
    ビジット・ジャパン・キャンペーンを応援している奈良交通による運行。
    2台のバスでコースを循環している。
    各座席前方にある4ヶ国語切り替えチャンネルで選択した言語で1つ1つの座席に内蔵されているスピーカーからガイダンスが聞こえる。800円の乗車券を買えば乗り降りが自由なため、ガイダンスで興味を持ったところで降りて観光することができる。また指定範囲内の路線バスも乗ることができるので、行動範囲は広い。3月5月10月11月はほぼ毎日運行しているが、30分毎の運行60分毎の運行の日がある。他の月はほとんど土日のみ。

■その他■

  • ぐるっとガイド奈良
    ビジット・ジャパン・キャンペーンを応援している奈良交通協賛、KDDI提供の電話による観光に役立つ音声ガイドサービス。
    携帯・PHS・一般電話(プッシュ式)・公衆電話どれからも利用することができる。
    一部利用できないところもあるが、ほとんどが英語対応している。(電話番号が異なる) 旬な情報、名所案内、名所こぼればなし、奈良の周り方の4つのコンテンツがある。 公衆電話からも聞けるので携帯を持っていない外国人観光者も動物園の案内のように寺院の前でガイドを聞くことができる。

参照

  • 音声ガイド@神戸
    ビジット・ジャパン・キャンペーンの一環で2006年1月・2月の間無料で音声ガイドを貸し出ししているる。対応言語は英語、中国語、韓国語。
    ぐるっとガイドでは外国人観光者など携帯電話を持たない人は公衆電話からの利用のみであったが、神戸の音声ガイドは無料貸し出しなので、誰でも歩きながら利用することができる。
  • 観光情報携帯案内板
    携帯電話のバーコード読み取り昨日で奈良の観光情報を手にいれることができる。

今後
今までの観光案内所や観光ガイドといったものだけでなく、ビジット・ジャパン・キャンペーンをきっかけに、外国人観光者を対象とした観光案内システムが増え、4ヶ国語イヤホンバスや、音声ガイドなど様々な取り組みがなされているということがわかった。
また、2007年1月実施予定の奈良まぼろばソムリエ検定(通称:奈良検定)に注目したい。いわゆるご当地検定の奈良バージョンである。検定合格者は、質の差は仕方がないと思われがちのボランティアガイドとは異なった役割を果たすことができると思う。検定に合格し“奈良通”と認められた人を有料ガイドとして登録制で活用できたら、検定合格者は自分の力を活かすことができるし、観光地のイメージがよくなるだろう。
JR奈良駅から近鉄奈良駅の間にネットカフェが4つあるそうだ。観光案内にどのように生かすことができるか考えたい。


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Last-modified: 2006-02-06 (月) 01:58:10 (5030d)