夏期フィールドワーク

1. 戦後那覇市都市計画の流れについて

戦前の旧那覇市街地=現在の泊ふ頭から那覇ふ頭に至る、若狭・久米・久茂地地区。 その他の土地(首里城下町以外)は、ほとんどが畑地であった。

戦後旧市街地は米軍占領下に置かれ、現在の国際通りを中心とする那覇市街は、民間人の生活物資を支える焼き物地区である、壺屋地区から返還が始まり、そこを中心に人が集まり、街が形成されていった。この場所は、計画よりも先に人間が生活を始めてしまったため、スージミチやいびつな形の土地が多く残るスプロール的な街が形成された。このように、戦後の闇市から発展した牧志公設市場は、「沖縄の台所」と言われ、トタン屋根を継ぎ足すようにして大きくなっていった。これが現在の那覇市街地中心部に当たる。そのほかの「若狭・久米島地区」、「新都心地区」(昨年都市計画整備終了)、「小禄地区」、「首里地区」などは米軍の占領下から返還されて、都市区画整備が行なわれ、都市形成がなされていった。

2. 区画整備とスプロール都市

区画整備は、人間がその土地で生活するためのライフラインを整えることから始まる。道路・下水道・住宅・公園など機能性や効率性が重視され、“住みやすい・都市活動がしやすい”土地にするために、碁盤の目状に区画整備を行なう。「若狭・松山・新都心」などはその整備された様子がよくわかる地区である。

一方、ライフラインを整える前に、人が集まることで自然と形成された整備されていない街を、スプロール的な街と言う。現市街地中心部は、戦後の闇市が開かれた市場や焼き物の街「壺屋」から市街地が広がり、入り組んだスージミチ、区画整備されていない土地などが現存する場所となった。

3. 今後の課題―スプロール都市の空洞化・住みよく、都市活動がしやすいまちを造る。

現在、国際通りを中心とする市街地中心部では、住みにくい土地を離れて区画整備された土地へ人が移動したため、都市の空洞化の原因ともなっている。 区画整備されていない土地は、土地利用が難しく、そのため資金もいらず簡単にできる駐車場などに利用されているケースが多い。これらのケースは、地主の利益にはなっても、経済活動に有効的な土地利用とは言いにくい。そのため、より住みやすく、有効利用しやすい土地にするために、今後の那覇市の課題としては、区画整備事業が未だ行なわれていない那覇市街地中心部の整備が重点となるだろうと都市計画部では考えている。

道路幅を見ても、区画整備された場所と市街地中心部の差は歴然としていて、防災的観点からも、最低限の整備は必要だと考えられている。しかし、区画整備が街の魅力度に貢献するか否かは別問題である。

4. まちづくりコンサルタントについて

単純に整備されたまちづくりを行なうのではなく、デザイン的魅力や観光資源的要素、経済、歴史、など様々な視点からまちづくりを行なうために、現在ではまちづくりコンサルタントという専門家に相談するケースも増えている。

5. 歴史的地区のルールづくりについて

現在那覇市の歴史的要素が残る「都市景観形成地区」として定められているのが、「首里金城地区」、「龍タン通り沿線地区」、「壺屋地区」である。

金城地区の石畳の積み替えや、住民との話し合いによって石垣を保存するなどのルールを決めている。これらの都市景観形成地区においては、都市計画部と建設課が共同となって都市計画に当たっている。那覇市景観条例制定は古くから行なわれている。

6. 県外からの魅力と住民にとっての魅力の相違・共通点とは何か

土地の魅力というものは、短期間滞在するだけの観光客や県外からの訪沖客から見た魅力と、そこで生活する地元住民にとっての魅力の異なる立場から見た異なる面がある。例えば、那覇市に見られる公設市場、スージミチなどの複雑な街並みは、他府県に類を見ないものであり、そのため県外からの観光客にとっては「ないものねだり」のような感覚も伴って、「魅力的だ」と思われる部分もある。しかし、実際にその土地に住んでみると、道路幅の狭さ、土地利用の困難さなど住民にしかわからない不便さがあることも事実である。

生活の効率性や便利さだけを求めてまちづくりをするべきでは決してないが、県外からの視点で「良い」と言われているものを、単純に「良い」と評価し、鵜呑みにしてしまわないことが大事である。

7. 住みよく・魅力的であるまち、二度訪れたくなるまち

魅力的な街とは、やはり、もう一度訪れたくなる街。であると思う。 その点では、那覇市の町並みはまだまだそこに行き着いてはいない。 住民が日々の生活の中で、心安らぐ場所を持つことができ、目を和ませる景観を見ることができるというようなまちづくりも、未だ不十分であるといわざるを得ない。 また、歩きたくなる街という魅力度も低く、その改善も今後の課題である。

8.都市計画が土木と建築のみによって主導される縦割りシステムから、経済、美的景観、などの視点を含めた多角的な主導システムへ

日本の都市計画は、現在土木関係者と建築関係者が主導的に行ない、その視点からプランが作られるという縦割りシステムが主流となっている。しかし、都市をつくる上では、土木・建築のみならず、経済・歴史・美的景観・人間工学などあらゆる視点から見ることが必要となる。そのため、今後都市計画に携わる人間も、従来の専門分野に限らず、多角的視点のプロジェクトチームによってなされる必要性があるのではないか。

❖那覇市都市景観条例(1985/4 制定)

々埓、市民、事業者、専門家の役割り

・行政の役割り:基本計画の策定・市民への啓発

・「都市デザイン・アドバイザー」の設置=公共、民間の様々な計画について調査、助言を行なう。実践的なデザイン処理と共に、都市デザインについて提言できる。

・市長が委嘱し、都市デザイン/都市計画/土木/建築/造園/彫刻/グラフィックデザインの7名以内で構成される。

都市景観形成地域の指定について

都市景観形成上重要な役割りを果たす地域を指定、景観形成を図る。

 指定地域:首里金城地区/龍潭通り沿線地区/壺屋地区

7粉儼狙指定建築物等

市の全域において、大規模な建築物や工作物、色彩、形状が特殊なものについては届出を必要とする。

づ垰垠粉兒餮

景観形成上重要な樹木や建築物当の物件を「資源」として位置づけ保全、活用を図る。

例)巨木、石垣、ヒージャー(樋川)、文化財

ド従

「美しいまちづくりフォーラム」において、優れた都市景観形成に寄与する建築物、工作物、広告物などを表彰する。

助成

都市景観形成地区内における新築、  増改築において、それらが優れた都市景観形成に寄与すると認められる場合には100万を限度に工事費の2分の1以内で助成を行なう。

都市景観審議会

景観条例や景観の調査・審議を行なう。学識経験者、市会議員、行政機関職員、市職員で構成。

❖参考URL 国土交通省 都市・地域整備局・都市計画課 http://www.mlit.go.jp/crd/city/plan/townscape/index.htm

・「那覇の景観」 パンフレット―那覇市役所 都市計画部都市計画課より

・「那覇市都市景観条例」―那覇市役所 都市計画部 都市計画課より


トップ   編集 凍結解除 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2006-02-06 (月) 17:05:52 (4912d)