リージョナル・アナトミー論C(東南アジア)

2004年春学期授業概要

 

                        担当者:野村(のむら) (とおる)

目的

 

 東南アジア諸国は我が国の近隣に位置しており、従来から経済・政治をはじめとして、社会の各分野にわたって密接なつながりをもっています。にもかかわらず我が国の一般国民の東南アジア諸国に対する理解はいまなお“熱帯”、“ジャングル”あるいは“貧困”といったステレオタイプのイメージしか抱いておらず、さらには、業務上実際に東南アジアに出張・駐在する機会の多いビジネスマンですら、この地域をたんなる“市場”あるいは“原料供給地”としかみておらず、正確な知識をもっていないのが実情です。このため、経済・文化の面における誤解や摩擦も、多くの場合、相互に相手の社会や文化的背景に正しい知識をもっていないところに起因しているように見受けられます。 現在東南アジア諸国は97年に始まった経済不振からようやく立ち直りつつあります。またインドネシアやマレーシアなどでは長年続いた政治体制が根本的な変革を迫られています。マスコミが毎日報道する東南アジアの「いま」も大事ですが、その一方で、我々は事態の表面的な動きに目を奪われることなく、もっとこの地域のもつ本質的な面に着目して、将来を見通す目を養わなければならないのです。

そこで、この授業では、この地域をたんに政治・経済・文化など、ひとつの局面からのみ観察するのではなく、東南アジアをさまざまな局面を持ったひとつの“複合体”としてとらえ、これを政治・経済・文化・社会はもとより、その背景となる自然環境や気候風土などまでも含めた、さまざまな角度からこの地域の特性を探ってゆきたいと思います。

東南アジアに限らず、アジアの社会や文化などに興味を持つ多くの諸君、「アジアフリーク」の皆さんの聴講を歓迎します。

 

形式

 

    担当者が作成したハンドアウトをベースとして授業をすすめてゆきます。なお、ハンドアウトは野村亨のホームページ下にあるものを各自ダウンロードして用意しておいてください。現在まだすべてのハンドアウトが入力されているわけではなく、HPを構築中なので、もうしばらくお待ちください。

    なお下記の書籍を参考書として薦めます。

☆淵本康方・野村亨・石川幸一著「東南アジア世界の実像」中央経済社

☆高校時代に使った地図帳か東南アジアの詳しい地図があれば授業時に持参するとよいでしょう。

 

時間

 

金曜日、2限

評価方法

 

出席は取らないので、定期試験期間中の最終試験のみで判定します。

 

授業予定と内容

 1、授業方針説明、地域研究の発展

2、東南アジアの定義、範囲と位置

 3、東南アジアの地理環境

 4、東南アジアの音楽

 5、地理環境のVTR、気候

 6、民族系統と先史文化

 7、アンコールとボロブドゥールVTR

 8、東南アジアの仏教

 9、東南アジアの仏教VTR

10、東南アジアのイスラム

11、東南アジアの価値体系

12、東南アジアの言語T

13、東南アジアの言語U、VTR

14、東南アジアの華人社会(最終日)

15、定期考査


 

(注)基本的には以上の順序で授業を進めてゆく予定ですが、都合で順序が入れ替わったり、あるいは一部、別の内容に代わる場合もあることを予め承知しておいて下さい。

 

研修旅行

この授業の単位とは直接関係がありませんが、毎年2月中旬にスタンフォード大学のドワイト・クラーク氏が主催、引率する2週間の東南アジア研修旅行があります。この授業のなかでもこの東南アジア研修旅行について紹介する機会を設けます。関心がある人は直接担当者、野村までお問い合わせ下さい。

注意事項

 

1、出席は取りません。

単位に関係なく聴講したい人も歓迎します。その場合、担当者に一言申し出てください。

2、授業中ノートも取らず、教室を“昼寝の場”や“雑談の場”とする者には退出してもらうことがあります。

3、他人に迷惑を及ぼす私語は慎んでもらいますが、授業に関する質問やコメントは授業中でも随時歓迎します。

4、授業中のガムならびに食べ物は禁止しますが、飲み物は構いません。

5、授業の途中で教室を出入りすることは原則として遠慮してください。ただし病気やトイレなど、やむをえない場合は静かに退出しても構いません。

6、携帯電話・PHS等のスイッチは教室に入る前に必ず切っておいて下さい。

7、教室に入ったら帽子やコートは脱いでください。これは社会人としての常識です。

8、授業は教員と学生の真面目な勉学の場です。したがって以上の各条項に賛同しない者はこの授業を取る意志がないものと見なします。

9、この授業に関する質問などは下記の所まで来るか、メイルで連絡してください。

  Λ503    рT3453

  オフィスアワー:金曜日午後4限

  LOGIN: nomura@sfc.keio.ac.jp

                                以上