【談話室】北朝鮮に関し対応策検討を
[1993年03月19日 東京朝刊]

 野村  41  

 (神奈川県藤沢市) 

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が核拡散防止条約から脱退したとの報に接し、いよいよ金父子による独裁体制も末期症状を呈しはじめたか、との感が深い。これにより北朝鮮の体制崩壊は確実に早まったと思われる。

 韓国や中国など近隣諸国は北が徐々に開放政策に移行し、「軟着陸」することを望んでいるようだが、現在の状況を見る限り、残念ながらその可能性はかなり小さい。問題は朝鮮半島に非常事態が発生した際のわが国の対応である。

 ひとたび北朝鮮国内に混乱状態が起きれば、多くの難民が隣接する韓国および中国の東北地区(旧満州)へ流入することは必至である。同時に多くの難民は漁船などに乗って日本をめざし、山陰・北陸方面の海岸へ漂着することだろう。その時には当面の措置として、彼らに衣食住の手当てをしなければならない。日本政府はもとより、日本海側の各地方自治体はその時の対応を考えておく必要がある。

 万一そのような事態が発生した時には、わが国をあげてできる限りの手当てをすべきである。

 それが長年にわたり朝鮮半島の人民を苦しめたわが国が、彼らに対してできる万分の一の償いであろう。(慶応大学助教授)

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