昨日から、その前兆はありました。伊勢崎長者町でいつものように道に迷っ た僕は、道を聞くべくセブンに入り、ついでに腎臓を病んでから手放せなくなっ た利尿作用の強い爽健美茶を買った。それを一気に飲み干した作用が僕の体に現 われるのにそう時間はかからなかった。研修の休憩時間、かすかに尿意を覚えた 僕はトイレに行き用を足そうとしました。その時、一瞬僕の尿道に稲妻が走った。 いままで感じたことのないタイプの痛み。一瞬にして尿意は消え、とっさに下 に目をやると、やっぱり極少量ではあるが血が白い便器を赤く染めていた。その後 も尿道の痛みは消えることなく、定期的に針を刺されるような感覚に耐えつつ、 研修を終えました。しかしそれほど強い痛みではなかった。今までぼくを苦しめてきた あの腎臓の、左わき腹の痛みに比べたら、そんな特筆すべきような痛みではあり ませんでした。しかし、ぼくは直感的に、決戦の時が近いことを知った。おそら くこれが最後の戦いになるであろう。長きに渡り合ってきた好敵手との、最後の 戦い、、、。思ったとおりその後も尿道の違和感は残り続けた。横浜でスーツ用のワイシャ ツを探してる時も消えなかった。イ○ドのお姉さん超可愛かった。また行きます。
家についても尿意はなかった。今晩か、、それとも明朝か、、、どちらにし ても近い、、、。相手もいつ仕掛けてきてもおかしくはない、、、。ぼくは来るべく最 終決戦にそなえアパートの前の自販機でお茶を二本買った。
先手必勝!!おれは自分から攻撃を決意、まず一本目のお茶を一気に飲み干した! 待つこと一時間、一度目の尿意。尿道に痛みがあったこともありそれほど強くは ない、いやむしろごく微妙なものだったが、ぼくはすぐ勝負をかけてトイレへ。 2分間の激闘。トイレから出る。ダメだ。勝負を焦った。焦ったら敵の思うツボ だ。ここは耐える時。耐え凌げば勝機は必ず来る。我慢だ、、、。来るべきチャン スに備え二本目のお茶の缶に手をかける。尿に勢いを持たせるためにもここはパ ワーを溜めなくてはならない。勝負は一度。一気に行くしかない。それまでは待 機、、、。お茶を3分の2飲んだところで、残りを予備燃料として冷蔵庫にいれ、 ぼくは勝負の時を待った。午前2時。満を持したぼくは二度目の決戦を仕掛けた。 今度はパワーは充分!一気にカタをつける!ぼくは痛さをこらえ全力を振り絞り 攻撃を続けた。中間尿くらいであっただろうか、瞬間尿道に何か異物が通り抜け る感覚を覚えた。一瞬の刺激に少しひるんだ。尿もそこで止ってしまった。また 失敗か、、、?しかし何かの手ごたえはあった、、。便器を確認してみた。そこ には、極小さなものだが、2、3ミリの石が浮いていた。やったか!?こいつが 今までおれを苦しめた石?しかしまだ依 然として尿道には違和感が残る、、、。おそらくこいつらは小物。他にまだ親玉 が潜んでいるに違いない、、、。しかし今日はもう俺から仕掛けることはできな い。勝負は明日だ。そしておれは来るべき真の最終決戦に向けて睡眠にはいった のであった、、、、。
そしてその結末は意外なほど早くやってきたのであった
翌朝7時、尿道に覚えた激痛とともにおれは目覚めた。敵の奇襲だ!ふいをつ かれた!ちっ!!しかしおれもこの事態を全く予想していなかった訳ではない。 そう、いつだってこの石の攻撃は突然であった。もうおれは学習済みだ!甘いぜ! おれは冷蔵庫に駆け寄り、予備にお茶に手をかけた。こんな時のために3分の1の お茶を残しておいたんだばよ!おれはそのお茶を飲み、痛みに耐えた。5分いや6 分くらいたったであろうか、、、、しかし体ではも1時間も、2時間もの 時間を感じていた。そしておれはゆっくりと立ち上がり、本当の決着をつけるべ く戦場に向かった、、、。瞬間おれの横を風が吹き抜け、不意に顔を上げると朝日 の光がおれの姿を照らしだした。これが本当に最後だ。色々な記憶が走馬灯のよ うに頭の中を駆け巡る、、、。痛みに耐え抜いた日々。深夜の救急室。苦闘。そ して絶望。さぁ決着 をつけよう!!体は不思議と痛みを忘れ、穏やかで温かいものが体中を流れてい た。
全てが終わった、、、、。敵は8ミリ大のその巨大な全貌を俺の前に 惜し気もなくありありと見せつけた。その姿はあまりにも堂々としていて、威厳 さえ感じさせるものであった。不思議と敵に対する憎しみは全くなかった。あれ だけ苦しめられたこの敵にたいして、いや、今のおれはむしろ親しみさえ感じて いた。本気で憎しみあったからこそ、今本気で向き合える。もう何も言わなくて も分かりあっている空気、違う、二つの自己の本質がそれぞれその世界を共有し、 相反する二つの本質を関係の中に結び付けていた。全ての自己の本質とは弁証法 的なものであるとするなら、一つの関係は同時に相反するもう一つの関係を本質 をして有しているのは明らかである。ここに新たな二つの関係が成立したのだ。 友情なんて安い言葉ではは表すことができない、愛情なんてうさん臭い言葉で表 すこともまた憚られる、全く無限性と有限性に両腕を吊り下げられ、また可能性 と必然性が統合した極めて現実性を帯びた関係。そう、もう言葉は何も意味をな さない。否、それは私たち自身が言葉にすぎない存在であり、そのことを意識し た瞬間にのみ訪れる瞬間における至福。
そしておれは今思った。腎臓に できた石ってさ、つまりはあの、あれと一緒じゃないですか。あの、真珠。ねぇ? カルシウムでしょ?つまり人間版真珠ってことじゃない?価値とかでないんです かね。そういえばちょっと微妙にキラキラしてるよ。誰か欲しい人いませんか。 売りますけど。