死に一番近づいた2日間

その日、小学、中学、高校と一緒だった友人がうちに来るというので向かえに行っ た。向こうは東京駅まで来いと言った。おれは藤沢まで来いと言った。そこで中 間をとって大船で待ち合わせることにした。全然中間じゃないけど。いいの。向 こうはこっちの地理を知らないから中間と言ったら信じた。そんで1時に待ち合 わせた。おれは1時についた。2時間待った。駅のホームで2時間。言葉にすると 一言だけど、ホームで2時間というのは本当に暇だ。でも色々と待つのは慣れて るから別によかった。このあとに襲い掛かる真の苦痛のことなどその時は知る由 もなかっ た。ただ左わき腹に感じるかすかな痛みをいつものように感じていた。

藤沢、湘南台とまわり、うちに帰宅した。久々だから飲み屋にでも行こうと 思っていたが、その前に飯食いに焼き肉に行った。デザートにライチを食った。 その時から、何か腎臓の痛みが次第にパワーアップしていくのに自分でも気付い ていた。

コンビニでアイスを買って家に帰った。すこしづつすこしづつ、幕の内のリ バーブローのように腎臓の痛みがおれの体にダメージを蓄積していった。おれが 腎臓痛ぇといったら、友人はタバコには感覚を麻痺させる鎮痛作用がある、とあ ほなことを言った。でもちょっとわらにもすがる思いで信じてしまった。病人が 宗教に走る気持わかる。おれほんとに久しぶり、5年ぶりくらいにタバコ吸った 。でも勿論家にライターなどないのでガスコンロで火をつけることにした。タバ コに火を近づけた時、チリチリチリリッとか音がした。なんだ?とか思って鏡み たら、髪の毛が燃えていた。まじで焦った。すぐ消したが、髪の毛がチリチリ武 内くん状態になっていた。超ショックだった。おれ扱いづらいけど頑固な職人気 質を持った自分の超直毛は気に入ってたのにー。近いうち切ろう、、、。友人は 笑っていた。

やっぱタバコなんて吸うもんじゃないです。健康に悪いし臭いし髪の毛は焦 げるしグラビアに燃えカス落ちて汚れるし、、、もう絶対吸わねー

とそんなことはどうでもよくて、腎臓が本格的にやばくなってきた。友人と 会話したりして痛みを紛らわそうとした。もうめちゃめちゃ喋った。他人に自分 の考えとかをこんなに喋ったのはすっごい久しぶりだった。でも痛みはごまかし きれず、だんだん限界が近づいてきた。しかもベッドは遠慮を知らねーやつが占 拠してるし、、、邪魔、、、。

ほんとにやばくなってきた。末期症状の吐気が発生した。多分一人だったら そのままうーうー唸ってただけだったかもしれないけど、ちょっと今日は一人じゃ ないので、病院の救急に行くことにした。この時はほんと今までで一番くらいに辛かっ た。もう息を吸うことにさえ身体中の内蔵は耐えられなかった。だから息止めて た。一歩あるくごとに両足から伝わる地面の振動が腎臓を追い込んだ。夜中3時、 タクシー をよんで病院へいった。注射を打たれた。腎臓の痛みはなんとなくひいた。だが、 その代わり胃がすごく痛くなった。やばさにかわりはなかった。場所が変わった だけ。でも医者は満足そうにおれを送り出した。帰りのタクシーでは、運転手の おばちゃんが謎の人物で、胃に効くツボとか色々教えてもらった。友人は病院で 幽霊を見たと騒いでいた。

帰ってからはもう吐きまくった。胃がなんかおかしかった。でも腎臓のよう に眠れないほどの痛みではないのでやっと寝られた。

次の朝になっても胃の痛みは変わらず、プラスして腎臓も痛みだし、もうス テレオでおれの体を攻撃してきた。