2001年度秋学期 小熊研究会T

 

第一回(10/1)講義まとめ

 

総合政策学部二年 小山田守忠

学籍番号:70002308

ログイン名:s00230mo

 

 

・この研究会では1960年代ごろから出てきた理論とその応用例を中心に学ぶ

(構造主義、記号論→ポストコロニアル、歴史問題関係、医療関係、言語行為論・・・)

 

Q.なぜこうした理論が現在流行っているのか?

 60年代後期からのパラダイム←先進国の高度経済成長の反映

@高度経済成長の結果、6070年代にかけて社会が安定、成熟した(ように見えてきた)

  ・「我々の知っている社会」になってきた、貧富の格差が縮まってきたように見えるようになってきた(「周辺」との格差は広がる一方)

→階級闘争を基盤としたマルクス主義が流行らなくなってきた

→構造主義が「階級分裂」に対する違った見方、アンチとして登場(米は別文脈)

  社会構造が安定化してきたため、社会を<構造>として見やすくなる

(→<構造>を安定したものと見るため、マルクス主義(主にサルトル)側は「保守的」という反論)

A新しい社会運動が出てくる(新左翼運動、エコロジー運動、市民運動など)

  ・ポスト構造主義はこれらと密接な関係をもつ

   それまでの対抗理論では国家の権力を把握し、権力を倒すのが革命、社会変革

→<構造>が同じままでは何も変わったことにならないという認識に(<構造>内で要素が入れ替わっているだけ)

→<構造>そのものの「脱構築(deconstruction、<構造>から抜け出すもの)」へ

B社会の安定化、成熟化と密接な関係を持つ理論が登場

  ・消費社会論:高度経済成長の産物、「消費社会」を逃れがたいシステムとして見る

  ・管理社会論:社会の成熟化と密接な関係、学歴競争などの構造は厳然として存在

   →<構造>を批判的批判的に見ていく→新しい社会運動へ

 Cエスニック・ムーヴメント、フェミニズム運動の登場

  ・社会の中の位置をめぐる争い、それをどのように変えていくか

   社会構造全体の中で占めている位置ということが大きな問題に(階級闘争とは違う、「女性独裁」にはならない)

    →自己同一性アイデンティティーに影響(「自分は社会において〜の位置を占めている」という認識、例:「私は偏差値63の人間」)

    社会全体を安定した<構造>が覆っているということが前提に

D現代社会の流動性の問題

・一面において社会における構造、位置が確定していく一方で、流動性がないと成り立たない側面もある→流動性を含みこまないとシステム全体が安定しない

例 消費社会論:全員がファッションクイーンになろうとするから成り立つ

  国際関係:第三世界が先進国になりあがろうとするから成り立っている

    →構造主義に対する批判につながる(静態的すぎる、流動性がない、システムが安定したものとして捉えすぎるなど)、実際の資本主義システムはそうではない

   ・そうした流動性をどのように含みこんで考えるか?

    システムはシステムとして安定するためにそのシステムでありつづけることはできない(安定するためには変わらなくてはならない)

→「脱構築」の流れへ

    例 先進国が先進国でありつづけるためには外国人労働者を入れなくてはならない先進国の音楽産業が成り立つためにはワールドミュージックを持ってこないといけない

これを「ワールドミュージックが取り込まれてシステムの安定に役に立っている」と見るのか、「それがはいって来た事によって音楽流通システムや音楽の作り方のシステムが変わり始めている」と見るのか、多分両面正しい

    →そこの理論展開の仕方が単なる構造主義で留まらなかった大きな理由に

   ・先進国においては社会の安定化、成熟化が進む一方で流動化も激しくなるという両面あるためこうした理論が流行るようになってきたが、発展途上国にとっては流動化が激しくなったとしか見えない

       →現在の理論展開に影響

   ・60年代くらいは先進国の学者を中心とした「どのように安定した<構造>をどのように考えるか」という理論の立て方が主流だったが、80年代からは移民系や第三世界の学者が<構造>のゆらぎを扱うという形で理論展開が進んだ

   ・<構造>がどのように出来ているかということは早めに理論的に完成してしまい、それ以上あまり進まなかったが、8090年代はそれらのゆらぎをどう扱うか、といことで展開→それが今までもっている理由

 

  Q.そんなことが分かってどうするのか?

    分かったほうが、世の中がよく見えて色々考えられる

    (一歩間違えると現代思想オタクに)