2001年度秋学期小熊研究会T
第三回(10/22)「言語」まとめ
総合政策学部二年 小山田守忠
学籍番号:70002308
ログイン名:s00230mo
(2限の続きで)
T.「交換」の問題について
・記号:それ自体の内容はもっていない
ならば記号は何によって意味をもつのか?
→他の記号との差異において意味をもつ
どのような形として差異付けの場に出てくるのか?
→交換の場に出て他の記号と並べられたときに意味をもつ(市場としての交換)
・交換されるものに価値はない、交換されるから価値がある
例)オタク:交換を行う同等の他者が存在しないと価値が発生しない
その最たるものは貨幣(使用価値はほとんどない、純粋使用価値のみ)
→その交換コミュニケーションによって社会構造が形成される
逆に紙幣に使用価値があってもらってはこまる
下手に使用価値があると市場に出てこなくなり意味がなくなるというコミュニケーションメディア
何の意味もない4WD:その見せ合い似よって全体が構成される
・近親相姦、クラ交換
一般交換市場に出す女=姉・妹、出さない女=妻
交換可能な女とそうでない女を分けるところから社会の構造、コミュニケーションが始まる、「外に出してよい女性」は自分のところでは使ってはいけない
→インセスト・タブー、人間社会構成の第一歩
・資本主義に対するこの考え方の応用
人間の人間たるゆえん=交換行為
ポランニー『大転換』:沈黙貿易(人/言葉の接触がない交易、ものを介した交換)
ポトラッチ(自分の貴重なものをお互いに壊しあう)
→どう考えても交換が目的ではない
役に立つものを交換し合うというのは最近のことで、交換は基本的にはコミュニケ−ション手段
U.テキスト論の話
・構造言語の体系=テキスト(文技批評方面から)
ヨーロッパ社会は聖書というテキストを読む中で社会が発展
テキストの解釈によって社会が形作られる
→社会の構造は書かれている(「テキストにあらわれる」)
・人が発話行為を行うことの意味は?
構造に沿った発話行為を行うしかない→「人間」「主体」とは何ぞや?
→語るべき内容、個性などはないのでは?(「主体」を無効化する思想)
・「作者」の意味は?「作者の言いたかったこと(意図)」はあるのか?
書かれたものは記号の集合に過ぎなく内容などはない
→発話が構造を作り、構造が発話を規定する
→解釈によってテキストの意味合いが変わってくる
「誤読」はあり得なく、あるのは「多用な解釈」のみ
・聖書をどう解釈するかの問題(中世では血で血を洗う争いに)
→聖書=記号の体系、神(この世の絶対的な基準点)が消える
→「誤読」が消える、文字にどう書いてあるかが重要
・「筆者の意図」をめぐって争っていたのが「多用な解釈」へ
→政府の独善的な解釈を許さなくなる(「読みの独占」の正当性を討つ)
→「読みの多様性」へ(ボードレール、デリダなど)
・仏においてはプルーストなどの解釈が立派な政治的行為
Nationの基本形成の問題に絡むから
そうしたものの解釈が教員試験(国家の公式イデオロギー)に出る
「正しい解釈」を求められる(日本:秀吉の草履とり→「まじめに働け」)
そうしたものの違った解釈が出ると社会の行動様式に変容が出る
→社会的な影響力になりうる政治的な問題
・「脱構築」(deconstruction≠reconstruction)
「正当」な意味解釈からずらしていく行為、正しい解釈はあり得なく多様な読みの重視
意味が一義的に解釈、決定できない(散種、拡散)
→いつまでも決定できない(サエン)
多用な解釈がもともとテキストの中にある、本来多用な意味性が内在している
=ポリフォニー(多声性)
・テキストはどのようにして意味をもつのか?
読者がテキストをつくる=「意味生成」が行われる
例)法律の解釈:政府が作っても解釈するのは弁護士
・テキストの意味をその側面によって分けると
@クリステヴァ
フェノテキスト:ものそのもの、現象としてのテキスト(字面)
ジェノテキスト:社会的意味が生成されてくるテキスト
Aバルト
デノテーション:記号そのものがもっているもの
コノテーション:記号が含意して広がっていくもの(解釈によって分かれる)
→ものの考え方全てに応用可能(人種偏見、法律、言語体系)
・社会運動は新たな言葉を生み出さずにはいられない
構造から逃れる発話の生成→構造の変容
過労死:80年代にはなかったけどその現象自体はあった(言葉がなかったので
認知されない)が、運動の過程で言葉がつくられてくる
エスニック・ムーヴメント:「エスニック」はそもそも「国家を作らない民族」、日本
にはなかった観念だったが、在日などの存在がクローズアップされるなかで
使われ始める
セクハラ:漠然とした不満はあってもそれを統合した観念がなかった(需要はあった)、それが日本語になることで日本語の体系が変化
・言説(ディスクール、ディスコース)、定義は人によって違う
ディスクール(フーコー):当該社会を構成する言語体系そのもの(発話行為も含む?)
ディスコース(バンベシスト):ラングの構造+意味生成作用による変容、談話
・他者接触の問題
「アメリカ語(英語の体系とは異なる)⇔日本語」の異種混交→セクハラ
新たな意味生成がでてくる
・社会の基本テキストとしての歴史
一番栄光、汚辱になるようなところと古代神話が争点になる
→現在の国家を描く上で重要
それをどう解釈し、教えるかは非常に重要な問題
・歴史とは「事実の群れ」を解釈したもの(「事実の群れ」は歴史にはならない)
ナラティブ(物語):事実と物語の中間、ストーリー性をもったもの
つねに変容し続ける(新しい事実が出ると訂正しなくてはならない)ということで正
当性を獲得しているという点で正当性をもっている