2001年度 春学期  小熊研究会T 

 

第一回講義ノート(4月9日)

 

総合政策学部二年 小山田守忠

学籍番号 70002308

ログイン名 s00230mo

 

1.ナショナリズムの問題への基本的アプローチ

@国家、民族、人種集団等が実在する(実在論)

A国家、民族、人種集団等は名目だけ存在(唯名論)

  例)「日本人」は実在するか? 

→個々人の集まりでしかないのでは?

→<境界>が不明確(混血、帰国子女、日本語ができない日本人等は?)

 

2.各アプローチの特徴

  @実在論:話がしやすい、ストーリーが立てやすい(境界事例等にはあまり触れない)

       政策的な議論がしやすい(例 アファーマティブアクション:「民族」の存在が前提)

  A唯名論:社会のミクロな部分が良く見える →逆に全体がわかる

   例)身分カードに見る「民族」の「自己申告」

     →民族集団は外部的要因(政策の変化)、自己のアイデンティティ規定によって

変化(「民族」の不確定性)

・この現象は「民族」の存在を所与のものとする実在論の立場からは理解できない。

 →現在は唯名論がトレンド

 

3.唯名論がトレンドになる背景

  @グローバリゼーション:急速な文化変容、人口移動、国際結婚

   →「民族集団」を固定的に考えることは現状に合わない

  A「現存」する「民族集団、民族対立、ナショナリズム」

   必ずしも太古の昔と同じ「対立」が存在しているわけではない

   両方ともTシャツを着てコーラを飲みながら「民族意識」をもって対立

 

→民族対立・ナショナリズムの強化という現状をとらえることは実在論では難しい