2001年度春学期小熊研究会T
第10回(6/25)「世界システム」まとめ
総合政策学部二年 小山田守忠
学籍番号:7002308
ログイン名:s00230mo
1.社会システム論とは?
@世の中にあるものは一つの有機体と考える考え方
例)クラスは個人の集まりorいろんな役割をもった人の集合体(cf.臓器、人体)
→社会全体は一つのまとまり、諸集団(国家、民族集団など)はそのサブシステム
サブシステムは意見独立しているように見えても全体の中である役割を担っている
一見反社会的に見えるものでもある社会的役割を担っていることが多い
Aマルクス主義+システム論→ウォーラーステイン?
労使対立を基本的対立とみなすか、みなさないか(一つのサブシステムと見るか)
→史的システム論へ
2.資本主義の特徴と国家の役割
・資本主義は自然発生的なものではない、根付くのが難しい
「金儲け(資本蓄積の極大化)=資本主義」だが資本の極大化は難
(貯めても使うのが難しい、自由労働が少ない(家族労働)、市場経済が先に発達していなくてはいけないなどなど)
外部からの刺激でしか起こらないシステム
・国家の役割:強制的な権力による資本蓄積
→税金を金銭で払わせる(資本の原始的蓄積(原蓄))
人頭税などで金を稼がなければならない状況に追い込む
→法的に生産関係を決める(信用貨幣をつくる、銀行をつくる、インフラの整備など)
・資本主義はどういう時にうまく回転するか(儲かるか)
全体的に資本主義が浸透しているときではなく、食い込み始めたときが一番儲かる
「段差」が存在している状態がベスト、なくなると停止する
・15世紀ヨーロッパ:利益を求めて「中心」から「周辺」へ
プロレタリア化(完全に貨幣経済が浸透した状態)していない労働力を求めて進出
この状態が儲かる、完全に賃金に依存すると全て賃金で払う必要があるが、そうでな
ければ、反賃金でやっていける(第三世界など「現金六割」)
・労働力が全てプロレタリア化したところでこのシステムは崩壊する(高コスト)
お母さんのタダ働きが生活コストの上昇を抑えている
→お母さんが給料を求めだしたらシステム崩壊(お父さんの給料は母の分まで含む)
3.サブシステムの形成
・プロレタリア化が労働者に有利なら、皆「中心」に出てくるのではないのか?
→それを防ぐためにサブシステムが発生(労働力の移動を制限)
サブシステムとしての国家が貧富の格差を維持
(国家間の貧富の格差が広がるのはある意味当たり前)
・「家族」というサブシステム
「世帯」の発生:独立した家計を営む集団(←村単位の生活)
お母さんがタダ働きする(完全プロレタリア化しないように)ので有利
→男女差別の発生(「男女差別」サブシステムの発生)
それぞれの役割の発生
サブシステムの発生はプロレタリア化させないだけではなく、差別・区別を作るために自然的に行われる
・「民族集団」というサブシステム(資本主義の中で再編されたサブシステムの一種)
プロレタリア化した集団とそうでない集団を区別するために発生
国家の中での経済的役割分化:ある産業をもったエスニック集団が「そうであるもの」と再編されたもの
→「差別→偏見」の発生、「伝統文化」の発生(植民地化の影響)
→役割・ステレオタイプの再生産、内面化
→労働力の再配置が簡単になる、労働教育の定着(教育訓練装置)
階層が「伝統文化」として定着、男女差別も「文化」として定着
4.普遍主義と「伝統文化」の絡み
・共犯関係にあることが多い
普遍主義は中心諸国の基準(一番稼げる奴が偉い等)をとったものであることが多い
→どう頑張ってもエスニック集団は「競争」に勝てない
→差別が固定化していく
・「真理はアヘンである」:反システム運動ではなく、普遍主義の方へ行ってしまう
例)受験制度を疑わずにテストで高得点をとることを目指す
だからといって「伝統文化」を簡単に評価はできない(その中に閉じこもっても結局システムの一部に過ぎない)
・文化的ナショナリズムは近代化の変形形態
日本−「復古」(ルネッサンス):昔あったもので近代化
その国の文化の中から近代化に適したもの、近いものを抜き出していく
5.反システム運動
@ 啓蒙主義
A ナショナリズム
・この二つの表れ方は
@プロレタリア化が進んだところから(仏など)
A19世紀オーストリアハンガリア帝国(後進、集合国家)
この二つはあまり分かれていない?
仏:自由、平等、連帯(同朋愛、戦友愛)
それほど不変的なものではなく、ナショナリズムと結びつきやすい
6.他の分野に与えた影響
・第三世界論、ナショナリズム、エスニシティ、フェミニズム論に多大な影響
経済的構造から全体の中のサブシステムとして生まれる「男女差別」「エスニシティ」、「伝統文化」との絡み、近代化との共犯関係をうまく説明
・「普遍主義と伝統文化」「グローバリゼーションとナショナリズム」などを対立物と捉えず、全体のシステムの中の一つのサブシステムとして捉える