近代社会研究
(Studying Modern Society)
担当者 小熊英二(総合政策学部)B型
1、主題と目標
この研究会は、履修者が自分の研究テーマについて発表し、それについて担当者のコメントと関連講義、そして全体の討論を行なうという、いわば通常の大学院などでよく行なわれるゼミ形式で進行させる。
ここSFCでは卒業論文を必修とはしていないが、大学4年間で一つのテーマを研究し完成させる経験をもつことは、その後にどんな分野に進んでも役にたつ。研究テーマについては各自の関心によるものでよいが、近代社会の問題点を問う社会科学的なテーマであることが望ましい。
担当者が受講者に求めるのは、どんな関心でも分野でもよいから、ほかに研究が行なわれていないオリジナルな論文を書いてもらうことである。そのためには、過去の先行研究の学習を行ない、自己の力量と与えられた時間で可能な研究テーマを定める必要がある。
過去の研究会でどのような研究発表がなされてきたかは、研究会ホームページを参照してもらいたい。また卒業製作として提出された論文も、ホームページに掲載してある。
なお自己の研究テーマを決め、それを本格的に展開させるためには、最低でも一年以上必要になる。したがって、二〇〇五年末に卒業予定の四年生の新規履修は、原則として遠慮してもらいたい(筆者の研究会1を二期以上履修した者は別個に考慮する)。
二年生や三年生は、必ずしも研究テーマが事前に固まりきっていなくとも、チャレンジのつもりで参加したほうがよい。一回か二回の発表の失敗と試行錯誤を経て、よい卒論を書くに至ったケースは過去に多い。
なお並行して開講される担当者の「テクニカルライティング」をまだ受講していない者は、研究のやり方や卒論作成をを講義するので、必ず受講すること。二年生や三年生で、「研究」というものがどういうものかよく理解していない者も、これを聞けばほぼ把握できると思う。
この研究会の長所は、あまり大人数でないメンバーで、その他の講義や研究会ではできないような、相互のコミュニケーションと討論が行なえる点である。ここでは具体的なテーマについての報告と討論によって、関連の社会科学の知識を増し、その応用の訓練を行なえる。また研究の進行のさせ方、論文の書き方についても指導も行なう。いわば総合学習と相互交流の場として、利用してもらいたい。
2、受講条件
原則として、過去に担当者小熊の研究会を一つ以上履修ないし聴講し、具体的な研究テーマについて報告を行なう意志のある者に限定する(優秀で熱意のある者なら例外はありうる)。希望者があまり多数の場合は面接などで選ぶ。
四年生の場合は、年末に卒論を提出することを前提とする。三年生以下は、可能なかぎり長期的な研究につなげて、受講者が卒論として研究成果を作成できるようなかたちにしてゆくこと。
3、日程・評価方法など
一回めは基礎知識について概説的な講義を行ない、二回めから報告を募る。とくに卒業制作などを行ないたい者は、早めに報告したほうがよい。