ジェンダー/フェミニズム研究の基礎


(Learning the Base of Gender Studies)


1、主題と目標
 フェミニズムという言葉は、誰でも一度くらいは聞いたことがあると思う。しかし、ジェンダー関係学というのは、あまり耳馴染みがないかもしれない。また、フェミニズムといえば女性のもので、男はあまり関係ないと考える人も多いだろう。
 ジェンダーというのは、生物学的な性別とはべつの、いわば社会的な性別のことである。とりあえずは、俗にいう「女らしさ」「男らしさ」のことだと考えてもよい。こうした社会的内別は、いわば社会がつくっている秩序の枠組みである。「なぜ男がスカートをはいてはいけないのか?」とか、「なぜ女が家事をするものと決まっているのか」、あるいは「なぜ男は簡単に仕事を辞められないことになっているのか?」といった問題が、このジェンダーにかかわる問いだということになる。したがって、ジェンダー研究には「女性学」もあるが「男らしさ」を研究する「男性学」もあるのであり、必ずしも女性だけの学問ではない。
 担当者自身も男性なのだが、ジェンダー研究に興味があるのは、必ずしも女性の権利問題にたいする関心だけからではない。性別は人間の社会の作り方全てにかかわるものであるため、社会の全ての領域の学問研究が関係するからである。じっさい、ジェンダー関係の研究は、経済学、社会学、歴史学、文学、哲学など多くの分野にまたがっている。人文/社会科学を学ぶには、「社会学癶経済学w問分野から学ぶアプローチと、特定の問題を考えてゆく中で関係する諸学問を学んでいくアプローチがあるが、ジェンダー研究は後者のアプローチに適した題材である。
 したがってこの研究会の意図は、たんにフェミニズム関係の勉強をするというより、ジェンダーを切り口にして、人文/社会科学に総合的なアプローチをしてみたいというものである。春学期には社会学という学問分野から人文/社会科学にアプローチしたのにたいし、今回はジェンダーという問題からアプローチしてと思っていただいてよい。具体的な問題に即しながらのほうが、社会科学の勉強も身につこうというもの。そこで学んだ思考方法や学問上の枠組みは、他の問題にも応用可能なものである。

2.予定