『日本立法資料全集53 労働基準法〔昭和22年〕(3)−上』(信山社、1997年)
「憲法第十四条は、政治的、経済的または社会的関係において差別することを禁止してゐるのであつて、女子の健康および母性としての機能を保護するための差別的取り扱いを禁止してゐる趣旨ではない。之等の保護の結果、仮令女子が男子と労働条件において差別されることになつても、それは憲法第十四条の規定に反するものではないと考へる。」(労働基準法案解説および質疑応答、p131)
「三、技能の等しい女子ならびに男子に対してはその労働に対し同額の賃金を支払ふこと。」(対日理事会におけるソ連代表勧告、p307、21.7.11)
「ソ連提案(七)同一技量の男女は同一の給与が支給されるべきこと―現在この点に関する法規はないが幾多の労働協約で尽くされてゐる。この問題は労働保護法草案に於ても含まれて居る。」(対日理事会におけるソ連代表の勧告に対する連合軍最高司令部談、p310)
「政府は能率給に依るのを原則とすべきであるが、現状においては、賃金で生活を賄ふことが出来ぬやうな異常な経済状態からして生活給の方式が採られることも亦已むをえない」(昭和二十二年三月十七日、第九十二回貴族院本会議、委員長報告、p507)
「あまり厚きに過ぎると勢ひ女は雇はなくなり、完全雇用の要請に逆行することになると思ふが、政府の所見如何との質問に対し、この法律は女子保護の目的であるから、賃金との関係においても、女子就業の機会が減少しないやう、国民の正しい理解が望ましいとのことでありました。」(同上、p508)
「男女の同権、女子の生理的特質に基づく特別の権利が保障されておるということは、まことに画期的な法文でございます。しかしながらこれは今日の状態、不完全なる社会設備の前においてこのことをなしても、実行をあげることはできないと思う。たとえば女子が男子と同様なる完全労働、ほんとうに熱意を込めた労働をせんといたしましても、かくのごとき規定があつたといたしましても、社会設備において託児所の設備もなければ、あるいは保険制度も完備しておらぬという状態であるならば、この法文はむしろ女子の労働者をして、この法文なるがゆえに、かえつて苦痛の生活を味わしめるがごとき状態が醸されぬとも限らぬ。すなわち使用者は、かくのごとき条件下における女子の雇用ということを回避するの傾向に出るでございましよう。(略)女子労働者に対するこのような特殊の社会設備の裏付けなくしては、労働能率を高揚することができないと私は思うのであります。」(第一読会、昭和22年3月7日衆議院議事速記録第13号、p592)
「さう云ふ点を皆差引いて価値が違ふと云ふことになりますと、一応女子に対する保護の点が欠くることになるまするので、其の点は難しいところではありますが女子に対する特別の保護の点を一応マイナスに考へると云ふことは出来るだけ避けたいやうに思ふのですが…」(吉武恵市、第一読会、貴族院議事速記録第19号、47年3月20日)
「実はさう云ふやうな問題の起きた時に、或相当規模の大きい会社で、組合の方の主張はよく分つたから、今後は女子はなるべく採用しないやうにすると云ふことを、ちよつと言うたやに聞いて居りますので」(種田虎雄貴族院議員、貴族院労働基準法案特別委員会議事速記録第2号、47年3月22日、p853)
「男子に付いても一定の限度を嵌めるべきぢやないかと云う意見も相当ありましたが、是は余り画一的に致しますれば、無理が出来ますから、男子に付いてはまあ組合の自治制に俟つと云ふことで時間の枠を嵌めていないのであります」(吉武恵市、同上、p885)
「勿論女子と男子は同等に待遇は致しますけれども、矢張り能力に応じてのことでありまするから、勢ひ女子なり年少者はまあ弱い所がある、従つてそれに付ては特別の保護が必要であらうかと云ふ趣旨でございます」(吉武恵市、同上、p888)
「此の法律は女子保護の目的であるから、賃金との関係に於ても女子就業の機会が減少しないやうに、国民の正しい理解が望ましいとの答えでありました」(p924)
第92回帝国議会衆議院労働基準法案委員会議録(速記)
「均等待遇、男女同一賃金の原則においては新憲法の揚ぐる平等の理想を労働法の分野において具現することを企図いたしまして」(河合良成厚生大臣、第2回、47年3月12日、p3)
「同じ時間労働して、男子の方がまず1の仕事をした場合、女子の方は体力の相違で8分の仕事しかできなかつた。こういう場合にでも、これは女であるからというような理由で、この賃金について男子と差別的取扱いをしてはいけないのかどうか。この同一価値に対する同一賃金という原則がこの中に含まれておるのかどうか。もしその点が含まれていないといたしますと、今後使用者はあらゆる口実を設けて、女子の労働者の雇用にあたりまして、これを拒否する態度に出で」(石田一松議員、国民共同党、p11)
「第4条は女子の同一価値労働に対して同一賃金を払うという原則を決めたものであります。従いましてご指摘になつたように、ある仕事をやるのに男子は100の仕事をやる、女子は80の仕事しかやれないというならば、それは同一価値ではございませんから、おのずからそこに差があるのはやむをえないと思います。ただ従来往々にして、男子であつても女子であつても同じ仕事をしておりながら、ただ女子であるというだけでその子に差を設けておりましたので(略)事実差があるにもかかわらず、男子と女子と同じということになれば、それは逆作用と言いますか、逆選択をいたしまして、それだつたら女子は雇はないということになつて、かえつて女子の保護にならないという場合も想像されるのであります。」(吉武恵市、厚生事務官、p11)
「御説の通りにだんだん基本給の面を大きくして、家族手当その他を減らすことはいいと思つております。思つておりまするけれども、御承知のこの物価騰貴の現勢からいたしまして、生活が非常な変動を受けて来たものですから、給与が能率給というよりも、生活給の面に非常に重点がかかつて来たというような実情でありまして、家族手当についても、何とかよい方法はないかということも考慮してみましたが、これも事実上困難で、実は当惑しておる次第であります。将来の方針といたしましては、今御説のような面に向かつて進むべきものだということは、御同感でございます。」(河合、第3回、3月13日、p20)
「労働基準法の公聴会等の状況を見まするに、使用者側はこの基準法が最高基準であると考え、労働者側はこれが最低基準であると考えておる向きがあるように思うのであります。」(野本品吉議員、国民共同党、p28)
「全労働賃金を通じまして、ほとんど男子の半分にも満たないような現状に放置されております。」(山崎道子、社会党、p29)
「同じ仕事を男と女がやつておれば、これは能率も表にすぐ出ますから、同一賃金の適用は簡単でありますが、今のように全然違う分野についての比較というものは、これはなかなかつきにくいと思います。」(吉武、p30)
「男子と女子が同じ仕事をしておればわかるけれども、今の男子専制の世の中では、女だという蔑視がありますので、はじめから女の仕事だということで軽く扱つておる。(略)男女同一賃金ということは、これは女はこういう点で劣つているじやないか、ああじやないか。と言つてさながら女を低い階級に追いやつておくことが、男の世界を守るのだというような観念がございますけれども、これは私は大きな間違いだと思います。もし男の人達がいつまでもそういう観念でおられましたならば、かえつて向上してまいりまする女子によつて、男の人の職場が奪われる結果になるとすら私は考えております。」(山崎、p30)
「(生理休暇)アメリカの状態と日本の状態とを比較してみましたときに、この論拠は成り立たないと存じますアメリカのように労働条件が完備しておりまして(略)日本のように衛生知識もない、労働条件は劣悪である。」(山崎、p32)
「ぜひ婦人が早く一人前になりまして、十分国家再建の一翼を担当することのできるまでにして行かなければならない。(略)婦人はお嫁に行くまでの腰掛けで働いておるのだからというようなことが、非常に労働条件を劣悪にしておるものの1つであろうと考えております」(山崎、p34)
「往時の工場監督官というものが、警察官のほとんど片手間の仕事であつたのが工場法をまつたく死文化してしまつた1つの大きな原因」(荒畑勝三、社会党、第4回、3月14日、p36)
「また今後女子の問題を考えまするならば、とにかく思い切つて改むべきものは改めなければならないと思うわけであります。(略)従つてこれを施行する際におきましては、相当困難が伴うと思いまするが、これはいわゆる業者の方に対する教育なり、あるいは宣伝と申しますか、指導という点も強くやらなければならぬと思います。」(吉武、p38)
「脱法行為は、法律の解釈で十分防げると思います。」(寺本広作厚生事務官、第5回、3月15日、p47)
「法律の内容から見ますると、敗戦後の現実の日本から見てすこぶる飛躍的であり、すこぶる実情に適さざるがごとき観を呈する点もなきにしもあらずでございまするけれども」(椎熊三郎、進歩党、第6回、p63)
同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約(第100号)
「客観的な評価において、性別と関係のない報酬率の差異が生じても、これは同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬の原則に反するものでない」(第54回国会衆議院会議録第32号(2)p911、1967年7月4日)
「最近の日本の雇用労働事情、特に女子の雇用労働者の数の増大あるいは社会的な比重の増大というようなこともありまして、今日の社会の現状から見て、これを取り上げるという意義が積極的にもあることだし、法律的にも我が国が批准することが可能である」(辻英雄労働大臣官房長、第54回国会衆議院外務委員会会議録16号p2、1967年6月30日)
「民間のほうでは実際においては内容的にまだ男女同一労働同一賃金はやってもいない。何とか行政指導でやれるという見通しをお立てになったのでおやりになったのかどうか。(戸叶里子、p2)
「婦人少年局のほうではしばしば婦人週間等の機会をとらえまして、男女同一労働同一賃金の問題を取り上げまして、これに対する講習会、講演会あるいはパンフレット、リーフレットの作成その他PRに努めるというようなことをやってまいっております。(略)この法律の規定の趣旨は十分徹底もいたし、(略)おおむねは適正に施行される段階に来ておる」(辻、p2)
「同じ会社で同じ仕事の場合に、男女、高等学校で、中学校出を差別いたしますと、現在の労働基準法第4条の違反になります」(早川崇労働大臣、p3)
「日本では男に比べて女子の地位というものは男尊女卑という封建的な残滓が残っております。(略)総評の例を取りましても、組合員の3分の1は女子労働者でございます。ところが総評の副議長にも婦人がなれない。(略)雇用主はそういう基準法第4条を知らなかった、同じ高校出で初任給の差をつけまして、いや、そんなことが基準法にあったんかということで、善意の差別待遇。(略)要するに悪意とはとれない。いわゆる社会慣習による差別というものがたいへん多いわけでございます。」(早川、p3)
「特に労働力不足でございますので、そういう社会的有利な背景もございますから(略)御指摘のように直ちに即効的に先生のご期待のようになるというよりも、ひとつこういう機会に粘り強く社会全般の風潮として盛り上げてまいりたい」(早川、p4)
「同じ高校卒を取りましても、女子のほうにある程度職種の差をつけておいて、それを固定化させていってしまう。(略)職種が違うのだから、これは同一賃金はあげられませんよと言って」(戸叶、p4)
「最近は、大企業は、単に年とったから賃金が上がるということを是正して、職能給、能力給に移行しつつあるのでございまするが、そもそもILO100号条約というものは、そういうものを背景にして、それを前提とした条約でございまするので、そこに若干の日本の賃金体系とのアダプトといいますか、適用という問題に今後の問題があろうかと存じます。(略)いわゆる腰かけ的気分の婦人雇用者も非常に多い(略)婦人でなければできない職種というものがございます。たとえばパンチャーだとか、あるいは繊維の労働者だとか、あるいは看護婦さんとか」(早川、p4)
「労働基準法第3条には男女の雇用条件の差別待遇禁止の項目は入れておりません。これは別に悪意で入れていないのではないのでありまして、第4条で十分だという考え方であったわけであります。そうすると111号を批准する場合には労働基準法第3条を見直した方がいいじゃないかという問題がございます。(略)たいして支障はないと思いますけれども、さればといってそういういろいろな解釈上の問題を残しながら批准するほどいまさしあたって必要な国内的、社会的な意義があるかと考えますと、これはむしろ100号条約という男女平等というはっきりした問題を批准するとか、そのほうでひとつ検討しよう、こういう考えでおるわけでございます。」(早川、p5)
「この条約の第3条に「職務の客観的な評価を促進する措置」という言葉がございますけれども、国内法にそういうような規定があるのでしょうか」(戸叶、p5)
「ただいまご指摘になりました条約の第3条に揚げてありまするようなことを規定したものは国内法上はございません。私どもの理解を申し上げまするならば、条文にも書いてございまするように、仕上げるべき仕事に基づく職務の客観的評価がこの条約の規定を実施するのに役立つ場合にはこの客観的評価を促進する措置をとらなければならないと書いてございまして、法律的にそういうことを強制的にやれ、こういう趣旨ではないものと理解をいたしております。なお、先ほど来お話も出ましたが、日本の賃金体系が、学歴でございますとか、年齢でございますとか、勤続年数でございますとか、そういう職務の質、量そのものではない要素できめられておる場合が多かったわけでございます。」(辻、p6)
「今後とも労働力不足に進みまするので、職場に入る婦人が安心して、しかも男女の差別なく賃金をもらうという、そういう希望を持って勤労戦線に入っていく、こういう2つの大きい意味で100号条約の批准をお願いしておるわけでございます。(略)中高年、帰人という方が働いてもらわなければ、どうしても外国労働力を大量に入れなければ日本の経済は伸びないという時代が来る。(略)日本で生産した果実を日本国民の中で分け合っていく」(早川、p6)
「単に意識を高めた、賃金が高いから、高賃金を誘い水として婦人を労働につける、こういうことでなくて、遊休労働力というものは、各家庭の中にまだ相当あるわけです。そういうものを引き出すための具体的な方策というものがこの際なければ、この条約を通すということによって、今の労働事情に対応する政策としては、はなはだしく欠陥がある」(穂積七郎、p6)
「労働省としては、大きい方向、婦人にもっと働いてもらわなければならないという方向に沿いまして、いま局長がお答えしましたように、託児所の設備も増強していく」(早川、p7)
「この100号条約批准に伴いまして改正する必要は国内法ではございませんが、この精神を引き伸ばしていきますると、いろんな問題が発生してくるのじゃないでしょうか。これを契機として、産前産後の有給休暇の問題も出てきましょうし、託児所の増設問題も出てきましょうし、その他予測しない広がりを持って、この婦人勤労者の福祉向上に、法律の面もあるいは行政の面も前向きの影響を、ちょうど池へ石を投げたように波紋が広がっていくことを心から期待いたしておるという次第でございます。」(早川、p8)
「労働基準法違反で、違反件数として指摘したのは(略)40年までの集計では1868件基準法違反として扱われております。ところが、違反として扱いましても、その賃金の差を支払うという段階になりますと、そうたいした金額でないものですから、支払ってしまいますので、送検するという段階になりますものはきわめてまれでございまして、わずかに5件でございます。」(村上茂利、労働基準局長、p9)
「日本の場合は、労働不足の時代でなかったですから、婦人の職場というものは欧米諸国に比べたら非常に少なかったです。」(三木武夫外務大臣、参議院外務委員会会議録第17号、7月11日、p5)
「女子の職業訓練につきましては、従来から一般の職業訓練計画以外に、女子のための特別な訓練といたしまして、家事サービス訓練等を行ってまいっておりますが、今後はさらに、先ほど先生のご指摘のありましたような、中高年の婦人の再就職ということのために、より、適当な訓練計画を進めてまいりたいと、ただいま立案中でございます。」(高橋展子、婦人少年局長、p6)
「いまの法律は、現実にある賃金格差をなくすというためには何の役にも立っていないのでしょう。」(岡田宗司、p7)
「法律によってその格差を是正するような努力は、行政指導その他で行なっておるわけでありますし、これからもやっていけると考えております。」(海部俊樹、労働政務次官、p7)
「いま男女同一賃金の本来の理想とするところにしたがえば、先ほど申し上げましたように、女子の職業訓練をする、その他女子の実質的な労働の内容を高めることによって、結果的にも同じようなものになるように持っていくことがこの条約の本来の理想とする方向である。」(辻、p8)
「客観的な職務分析、職務評価というものは、民間の労使の間でもいろいろ論議になっておりまするけれども、労働省としても、そういうことはそれ自体として逐次やってまいるべきことだと考えておるわけでございます。」(辻、p8)
勤労婦人福祉法
「婦人はわれわれと違って家庭を守らなければいけない。同時に、先ほど申しましたような趣旨からも見られるように、お子さんも育てなければならない。育児と家事という2つの大きな責任と義務を負っておるわけでございまして、こういう働く御婦人のためのそのよりどころを与え、そして、この社会において大きな貢献をしていただくためにはこういう立法措置が必要であろう」(塚原俊郎労働大臣、衆議院社会労働委員会議録第23号p8、72年5月9日)
「審議会におきまして強調されました点は、この法案の立案は、そのねらいといたしまして、あくまでも勤労婦人の福祉の増進と地位の向上を図るという、その婦人の側に立った見地から進められるべきものであって、いわゆる家庭婦人のかり出しであるとか、そのような立場から進められるべきではないというようなことが非常に協調されました。」(高橋展子、婦人少年局長、p8)
「多少展望的なことを申し上げますと、施策を展開していくにあたりましては、まず第一に私どもは、これからの働く婦人の姿といたしまして、婦人が広い職業分野でそのそれぞれの能力を生かして、生きがいといいますか働きがいといいますか、そういうものを持ちつつ職業生活を送る、こういう姿の実現に近づけたい、このように思います。そのためにはいろいろな施策が総合的に進められなくてはならないわけでございますが、特に職業指導あるいは職業訓練あるいは職業講習等を広範に、またきめこまかく展開してまいりまして、婦人の能力を高めてまいるとともに、婦人の職業分野の拡大ということをはかっていかなければならないと思っております。(略)婦人がその育児という役割を喜びをもって果たしつつ、しかも長期にわたって職業生活を続けていくことができるというような姿を実現してまいりたいと思います。」(高橋、p9)
「勤労婦人にたいして将来こういうことをやります、こういうことをしたいんだ、こういうアドバルーンを上げて、そして勤労婦人の士気を鼓舞していく、将来に夢を与えていくというふうな施策こそ、私はほんとうにあるべき政治の姿であるというふうに考えます。」(別川悠紀夫、p10)
「勤労婦人は男子にくらべましてまだまだ能力を十分に発揮できるチャンスが少ないというふうに思われる」(別川、p11)
「言うまでもなく、育児は勤労婦人の家庭生活の中でもっとも負担の大きいものでございまして、次代の国民の育成という観点から国家、社会にとりましてもきわめて重要なことだと考えます。」(別川、11)
「事業主の負担のもとに有給というふうに規定いたしますることは、育児休業が事業主の責任に帰さない事由によるものであり」(塚原、p12)
「いまの基準法のそれら女子に関する規定は、実情に必ずしも沿わない面もあるのではないかというような点が、各方面からいろいろの立場でご意見も出ておる」(渡邊健二労働基準局長、p13)
「勤労婦人という用語は、これはその内容といたしましては婦人労働者と異なるものではないと考えます。ただ、若干のことばのニュアンスといたしまして、たとえば婦人労働者対策と申します場合には、労働条件であるとかその他職場内における事項が主たる対象となって考えられてまいるようでございます。それに反しまして、勤労婦人対策あるいは勤労婦人問題と言いますときには、働くという役割りをもっている婦人というわけでございまして、職場外の問題も含めた、つまり家庭生活であるとか市民生活等も含めた生活者というようなニュアンスが多少加わってくるのではないか」(高橋、p13)
「ヤマブキの花がなれるごとくにして実は1つだになきぞ悲しい」(島本虎三、p14)
「「充実した職業生活」ということが第一のお尋ねでございますが、私どもはこれは婦人自身が主体的に自分の働いている生活に生きがいを感じ、意欲を持って生活を営む、そういう状態と考えております。/それから「調和」の点でございますが、調和といいます場合には、これは職業生活と家庭生活、その双方を同時あるいは長期的に見て両立的に果たす、そういう状態というように考えておりまして、両方を半分ずつというような意味の調和ではございませんで、両方にそれぞれ十全の力を発揮できる状態というように考えております。」(高橋、p15)
「勤労婦人の能力を発揮するための立法であるならば、地域保育所の大量増設であるとか、内容の充実であるとか、労働時間の短縮であるとか、社会保障制度の充実であるとか、こういうようなものがいま不足であるがために婦人に負担が過重になっております」(島本、p17)
「国の意思として要請するところの事業所の努力義務、それに対する違反とは言えると思いますので、行政指導を通じてこれは指導してまいるということに相なるかと思います。」(高橋、p18)
「育児休業を採用しておりますものの割合が3%程度でございます」(高橋、p18)
「進んで、積極的にという積極姿勢が本案にはないのじゃないですか。答弁の中からも引き出せない。」(島本、p22)
「厳格な要件を付して明記するということは、むしろその要件に欠けるというような問題も出てくる可能性もございます(略)骨抜きになるのではないかというご心配でございますが、もちろんその点につきましては行政指導を通じまして、この必要な配慮というものが確保されるように強力に指導してまいる」(高橋、第26号、72年5月16日、p9)
「総合的な施策を進めようという法案は、今回のこの法案が初めてでございます。」(高橋、第30号、5月25日、p3)
「今日勤労婦人が職場においてその能力を十分に発揮できないというように考えられますところの問題といたしましては、やはり基本的には婦人の労働というものに対する評価、あるいは婦人が働くということに対する認識というものが一般的に十分でないということ、また、従来、長いこと女子が職場においては少数であり、一時の間に合わせ的労働力としての働き方ということが長いこと続いてきたわけでございますので、そのようなイメージというものが今日においてもなお残っておりまして(略)その点を是正してまいるというためには、これはやはり根気よく啓発活動と申しますか、それを続けることによりまして、人々の理解、認識を深めるということが先決ではないか。」(高橋、p4)
「勤労婦人が男子と違うところの特質を持っているということにかんがみまして、職業生活と家庭生活との調和をはかる、そしてまたその能力を有効に発揮して充実した職業生活を送る、そのような配慮がなされるべきであるということを、この法律で初めて宣言をいたしたわけでございます。」(高橋、p5)
「予算面につきましても、現在の予算の範囲内で、あるいはまた今後できることにつきまして努力しております。」(山口政治職業訓練局訓練政策課長、p8)
「当初は戦後の混乱した時代でありまするし、労使間の関係も必ずしも円滑にいっておりません。むしろ大きな対立のあった時代も相当あったと私は考えております。今日はかなりその点では批判は少ないとは思いまするが、やはり一般になじまない面もあったと思うのであります。ことに婦人の問題については基準法ではかなりのものが含まれている(略)この勤労婦人福祉法というものはこれなりに、決して労働基準法を形骸化するものでもなんでもございません。」(塚原、p10)
「女性労働力というものが産業の高度化によって非常に貴重になってきたわけであります(略)その反面、そうした婦人の職業進出に伴って、家庭におけるところの婦人の責任と言うといささか語弊がありますけれども、婦人の役割と言うものがどうもおろそかになりはしないか、そうした両面から、これを調和させることによってさらによりよい婦人の職場を拡大しよう」(西田八郎、p10)
「男性にも家事の責任はあるし育児の責任があると私は思います。しかし、これは生物のすべてがそうであるように、やはりこの母親に対する心情というものは、理屈やそんなものでは解決できないものである。」(西田、p10)
「母性は一番大事なものであります。母性の保護がなければ、日本の前進も、快適な職場も、われわれ人間生活の幸福もありえないわけでありますから、これは最重点を置かなければなりません。そのために男性の果たすべき役割というものも十分考えられなければならない。」(塚原、p10)
「目玉商品は何かと言われれば、政府委員からも答弁いたしておりまするように、たとえば育児休業についてと―先ほどあなた保育所のお話をなさいましたけれども、そういうものはございません。」(塚原、第31号、5月30日、p2)
「たとえば保育所の問題というのは、いま勤労婦人にとっては一番大きな問題なんですよ。」(寺前巖、p3)
「特に昭和30年代以降、わが国におきまして、働く婦人の姿と申しましょうか、婦人の働き方と申しましょうか、あるいは婦人の雇用パターンと申しましょうか、そのようなものが非常に大きく変わってまいりました。」(高橋、第34号、6月6日、p1)
「この法案はあくまでも男女平等、同権の立場に立って、性別は問わないで立案されたものであります。」(塚原、p2)
「母性を尊重することによりまして両性の実質的平等をはかるということが可能でございますし、また「能力を有効に発揮して充実した生活を営む」というような表現によりまして、現在ときどき見受けられる婦人に対する偏見であるとか、不合理な差別的取り扱いを解消していくことを目指しているつもりでございます。」(高橋、p2)
「この法律が制定を見ましたうえは、これを根拠に行政指導につきましても十分に力を入れることができますし、また、これを根拠に各関係者の理解あるいは責任というものを要請してまいることが、従来とは比べものにならなく強く行なわれると考えております。」(高橋、p4)
「同一賃金というのをうたっているのは、同じ仕事についたらどんな人でも賃金は同じだよということなんです。ところが、同じ仕事につけないわけでしょう。」(川俣健二郎、p5)
「時間給の制度は日本では正式な統計に堪えるようなものはございませんが、かりにそのような時間あたり幾らであろうかというように計算をしなおしてみますと、賃金の差というものはかなり近づいてまいる、こういう現象がございます。」(高橋、p5)
「この法律案の成立に際しまして特に予算化を伴うというものではないわけでございます。」(高橋、p7)
「お尋ねの点は家事サービスの点であるかと思いますが、この経費につきましては、昨年度も本年度も訓練人員は約3000人でございまして、変わりはございません。」(高橋、p7)
雇用機会均等法
「近年、我が国における女子労働社は着実に増加し、約千五百万人と全労働者の三分の一を超え、また、あらゆる産業、職場に進出し、我が国の経済、社会の発展は今や女子労働者を抜きにしては考えられなくなってきております。(略)先進国の一員として、早期に関係国内法を整備し、条約の批准に備えることが要請されております。」(坂本三十次労働大臣、衆院本会議)
「均等な機会及び待遇の確保を図ることは、やはり女子労働者の福祉であるとも理解しております。(略)私は、天の半分は婦人が支えている、また、よき妻であると同時によき母親であってくれというのが私の念願であります。」(中曽根康弘首相、衆院本会議)
「まあ総じて申し上げれば、そこに山があるから一緒に登ろうではありませんか。まず、歴史的な一歩をスタートしましょう。そして、スローバットステディーでやっていきましょう。」(坂本三十次労働大臣、衆院本会議)
「民主党においても共和党においても家庭の回復が選挙スローガンとして掲げられていることも注目すべきであります。アメリカでは、平等の推進を男性に敵対した女性運動という形をとって進める時代は終わり、男女ともそれぞれのよさを再認識して新しい家庭を創造することとあわせて行うという第二期に突入していると言われております。」(愛知和男衆院議員、衆院本会議)
「私は個人的には女性を尊敬する一人でありまして、特に私ども、ここにいらっしゃる議員の先生方は大体ほとんど同じような経験をもっていらっしゃると思いますが、例えば選挙に当選をするとなりますと、奥さんの力はまことに大きいわけですし、また女性票も大事でございます。そういう点で、私も選挙をやるようになりましてから女性に対する尊敬の念を殊さら深めたわけでございます。/しかし、それだけではなくて、家庭における女性の役割、これも極めて大なるものがあります。」(愛知和男、第101回国会衆議院、社会労働委員会議録第20号、84年7月3日、p2)
「なかなかいいお話を聞かしていただきまして、私も愛知さんと同感でございます。」(坂本三十次労働大臣、p2)
「日本国内で男女の平等を促進するということと、外に対しては、この問題に対する日本政府の基本的な姿勢を示す、こういう内外双方の観点から、この条約を批准することは政府としましても非常に意義深い」(遠藤哲也、外務大臣官房審議官、p3)
「私どもはそういう日本固有の伝統とか慣習とかを排除するというつもりはございません。ただ、婦人の余り合理的でない差別が現実に存在をしておるということに対しましては、これはこの条約の趣旨に照らしてここまで改めることがよかろう、そういう趣旨(略)今まで日本は男性主導型社会でございましたが、意欲があり能力のある女性が雇用の場において差別的な扱いをされるということは、やはり本人にとってもいいことではありませんし、国連の人権宣言その他、この条約に照らしてもやはりこれは考え直さなければならぬ(略)婦人の地位の向上のためにも、またわが国の民族の活力を引き出すためにも非常に結構なことであろう」(坂本、p3)
「ずっと明治以来、わが国の伝統というものは男は外で働く、そしてその御主人に対して奥さんは、家庭で、後顧の憂いのないに家庭を守り子どもを育てていく、それが主流のパターンであったことだけは間違いはないと思っておりますが、それは今までの純風美俗的な要素もございました。(略)雇用労働者の3分の1以上を超えるというこの現実は無視するというよりもこれを活用いたしまして、そして家庭を守りながらあるいは子供の教育もよく考えながら、女性の自覚と決断によって社会的な分野でも働くということは私は結構なことではなかろうか(略)日本の明治以来の男性の能力開発という点つきましては、私は世界的に非常にすぐれた成果をあげてきたと思います。その成果の陰で女性が支えてくれたということも否定できない潮流であったとも思いますけれども(略)人的資源でありますから、女性の能力を正しく活用するということはお国のためにとっても大切なことである」(坂本、p4)
「こういうことによりまして、女性の職場進出によって男性の就業の場が取ってかわられ、そのために男性失業者が増える、こういうような事態は全体としてはないだろう」(加藤孝、職業安定局長、p5)
「女性に対する特別な保護は、婦人の差別撤廃条約の趣旨にかんがみますと、究極的にはなくしていくべきものであると考えております。」(赤松良子、婦人局長、p5)
「我が国の国民というのは、歴史的に、伝統的に家庭を大切にする良風美俗を有しておりますし、よき調和なくして真の平等はありえない、こういう思想が根底にございますし、そういう点からいいましても、現実をむしした理想論だけ掲げてもこれは仕方がないのではないか」(愛知、p5)
「本来の目的であるはずの、婦人差別撤廃条約の批准のため求められている雇用に関する基本的権利を保障する平等な労働権の確立ということは、非常に希薄になってほとんどなくなったような感じがいたします。」(金子みつ、p7)
「女性が差別されているというのは、一方で保護規定があるからじゃない、女性だけに家庭責任があることを前提にして、男性と区別して、女性には補助的な業務だけしか与えないで、その補助的な業務に言葉をかえれば固定してきた企業の労務政策が原因なんじゃないですか。」(金子、p8)
「保護か平等化という古い考え方が今でも残っているのですが」(金子、p8)
「企業が差別しているというは、それは今の現実の姿にありますわね。(略)企業が制限したから差別が出たというのはそれは表面の話でありまして、現時点の結果論でありまして、もともとはと言えば、やはり男性主導であって女性の進出を歓迎しなかった(略)社会の現実は非常に厳しいわけでありますから、その平等の成果の前に、まずスタート台が、スタートラインが男性と同じであるということが先に来ると私は思いますね。そういう意味で、やはり男性と同じ機会均等を与えて、そして意欲と能力のある方は結果として平等を与えなければならぬ、私はそういう風に思っております。」(坂本、p9)
「男女の機会均等ということを実質的に進めるためには、現在の社会においてはまだ女性が家事、育児等の負担を男性よりも重く負っているという事実、また就業年限が男性よりも短く、育児のために中断しなければならないというような方たちが多く、その方たちが職場に再復帰をする場合には特別な配慮をする方がよいというような現実があるわけでございます。」(赤松、p9)
「現行の勤労婦人福祉法は、確かに、123号勧告の採決されました比較的すぐ後につくられた法律でございまして、その当時考えておりました基本的理念が、123号勧告の内容を受け継いでいるということは否定できないと存じます。」(赤松、p11)
「これ(努力義務)が婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に違反するかという点になりますと、これは私どもはそのように考えていないわけでございます。(略)すべての場合に制裁を含まなければならないという風には理解できない」(赤松、p13)
「何の根拠だということをお尋ねしてみたらば、タクシーの運転手だということを聞きました。女性のタクシーの運転手さんたちの希望があるからということ。たった1つの職種なんですね。」(金子、p17)
「そういう国際的な条約を批准するというのは国際国家日本の責任でもありますし、またいいことがあったら、外圧を利用したっていいと私は思っております。」(坂本、p19)
「やっと男女雇用機会均等法案が国会に上程されてきたわけでございますけれども、(略)結論から申し上げますと、きわめて評判が悪い(略)こういう内容では均等法ではなくて平等を禁ずる法律、禁等法だ、こういう声も聞いております」(沼川洋一、p19)
「憲法では「平等」という言葉が使われております。ところが労働関係の法律では「均等」という言葉が多く使われているわけでございます。」(赤松、p20)
「男と女というのはもともと特質が異なるわけでございますから、特に産む性を持った女性と持たない男性とでは生き方や体力も異なるわけでございますし、したがって、労働の場の平等もこの点を無視しての平等はありえないと思うわけでございます。母性保護はこれは当然のこととして、まだまだ家庭責任が大きく女に負わされている日本の社会では、やはりこの平等ということを考える場合は、スタートラインは女性に手厚く底上げしておかねばならぬ」(沼川、p20)
「勤労婦人福祉法の「目的」をよく読みますと、多少時代錯誤的なものもあり」(赤松、p21)
「罰則があるために、構成要件の厳格さが非常に要請されます」(赤松、p23)
「これまで公序良俗で争えたようなものは、この法律ができたからといって争えないというようなことにはならない」(赤松、p23)
「実際の場合、日本の長い歴史的伝統の中では、男に比べて女性の能力開発はおくれてきたという現実は残っておるわけです。これをなくさなきゃいかぬ。それを直すために今の法律を出しておるわけなんです。だから、それを活用するということが女性の勤労権を、大いにひとつここで自覚をしていただければ非常に立派に伸びていくと思うし、社会もそれを法律の名においてバックアップすれば、女性の能力開発のみならず社会に対する貢献にもなる」(坂本、p24)
「ただ、日本の場合には余りにも一番大事なこの男女平等、女性の基本的人権という問題が確立していない日本において、これを(欧米と)同次元で考えるというのはやはりどこかがおかしいんじゃないか」(沼川、p26)
「(102号条約の積み残しに関し)関係省庁とは何回もの会議を開いて検討を続けておるのでございますけれども、かなり難しい問題もありまして、協議は必ずしもうまく進んでおりませんで、まだ結論に至っていない」(遠藤、p27)
「(日本リクルートセンター調べ)79%が女性を募集しない(略)特にその中でも、四年制の大学を卒業した女子学生はわずか13%しか募集をしない」(田中美智子、共産党、p32)
「男女雇用平等法案」(23号、7月10日、p2)
「高橋展子首席代表(略)法制上その他多くの分野において少なからぬ進歩が達成されましたが、現実にはなお、伝統的男女の役割分担意識が社会に根強く残っており、これに基づく社会慣行があります。この意識および慣行の改変という困難な問題にどのように対処していくかが今後のわが国の主要な課題です。」とはっきり言っておられます。」(竹村泰子、p4)
「この考え方は女性を一段低く見て、劣った性、第二の性と見て、男性が誘導していかなければ能力を引き出せないという男性の優位がありありと見えるのですね。」(竹村、p11)
「女性保護と平等の追求、この2つを1つにした方がタイムリーであり、車の両輪として作用するのではないか、こういうふうな考え方から提出をしたわけであります。」(坂本、p21)
「女子保護規定は、母性保護規定を除きまして、基本的には同条約に抵触するわけでございまして、究極的にはこれを改廃することが求められている」(望月三郎、労働基準局長、p23)
「要するに今の日本の経済、社会の中では、職務の内容が男子の特性を多とするような職務とか、女子の持っておられる特性を中心にしてやらなければならぬような職務とか、そういうのがいろいろたくさんあるわけです。」(小渕正義、民社党、p28)
「野党御提案の案でございますが、これは現状では、私どもの目から見ますると非常に理想に走り過ぎておるのではないか(略)男女平等というのは、我々の長い間、一種のスローガン的に言われてきたわけでありまして、差別そのものの解消に反対するものではありませんけれども、具体的に見て、男女の別扱いのうち何が差別と言われるものであるかということについては、実ははっきりわかっておりません。(略)男子が足らないからそのかわりに女子を使うということもございました(略)平等なのだから(転勤)やったらいいじゃないかと言うのですけれども、そんなことをやったらあの企業はなんというひどい会社だと言われかねない。」(喜多村浩、日本経営者団体連盟労務管理部長、第25号、7月17日、p5)
「この「地位の向上」というのは事業主あるいは国の責務ともされておりませんで、女子自身のみずからの自覚によって向上すべきという基本理念の3条に掲げられているだけでございます。」(中島通子、日本弁護士連合会女性の権利に関する委員会副委員長、p12)
「男性と女性を比較する場合、いろんな比較の仕方があると思いますね。(略)そういうものを総合した形が平均年齢、平均寿命という形になるわけですので、私はそういう点で女性は弱いんだから保護しなければならないという発想に立ちますと、その議論というものがいささかバランスを欠くんではないかという気がしてならないわけであります。」(愛知、p13)
「原則とおっしゃいましても、現実離れしているとあまり意味がないわけで、我々の政治家の仕事は、理想を追うと同時に現実を踏まえて改革をしていくということが大変大事な点でございます」(愛知、p14)
「労働基準法がもう終戦直後につくられて、罰則つきの強行規定で賃金の男女差別を禁止しているのですけれども、それが実際に動き始めたのは、30年もたった1975年4月10日の秋田相互銀行の判決が初めてなんです。それまでは労基署でもほとんど動かなかったのです。」(中島、p14)
「諸外国は禁止しているだけではなくて、そのうえに、いかにこの法律の実効性を確保するかということでこれだけのことをやっている。」(中島、p16)
「女性だけの保護、それが女性に対する差別の理由とされないためにも、男性に適用を拡大して、男女ともに健康で安全に働けるような労働条件を確保すべきであるというのが条約の明確な趣旨でございます。」(中島、p16)
「中身がほとんど変わっていない」(中島、p17)
「日本の労働条件というのが御存じのように低いのですから」(田辺照子、明治大学教授、p17)
「外国がどういう批准の方法をとるかを見ていれば、必ず留保をしてそして批准をするという国が増えてくるのではないか」(田辺、p17)
「日本の歴史を見ていただければわかるのですけれども、女は働かない、これは外でとは言いません、生産活動に従事しないで、家事、育児だけをやっていたでしょうか。男の人だけが生産労働をして、女は全部家事と育児だけをやっていたという時代が日本にあるでしょうか。これはつい最近の、しかもそれでもまだ一部の」(中島、p18)
「不況になったからといって解雇できませんから、人の頭で、つまり雇用によって景気変動を調整するということよりも、労働時間によって景気変動に対応しよう、時間調整をやるという体制にならざるを得ないということがございます。」(喜多村、p19)
「平等を進める、均等を進めるという以上は男女全く同じ条件で、同じ土俵の上に立って扱っていただかなければ困る。一面においてこれは雇用の問題でありますから、労使関係の問題には違いないのですけれども、事の本質は男対女であります。女性の地位が向上する、あるいは量が拡大してくれば、その分だけ男性は割を食わざるを得ない。(略)私どもの感じとしましては、とにかくいまだかつて経験したことのない未曾有の事態が来るわけです。(略)現在の段階ではどういう事態が起こるか、どんなようになるか分からない、具体的に何が差別であるかということも本当を言うとわからないわけですから。(略)簡単に言えば時間稼ぎですな、時間稼ぎのために努力義務規定にしておいていただきたいということを前々からお願い申し上げてきたわけでありまして」(喜多村、p20)
「差別があるとは思っていないというのは現状の話でありまして、この条約なりこの法律なりがねらっているところに照らすならば、明らかに今まで差別でないと思っていたことが差別ということになるわけです。」(喜多村、p22)
「(早稲田)女性のみ、あるいは男女募集というところで女性が募集されているのは残りのわずか20%しかない。(略)そして女性の募集の欄を見ますと、まず条件として自宅通勤というのが1つの条件。(略)結局その生年月日を見ますと、浪人をした女子学生は就職に行くことができない。」(網岡雄、p24)
「男性も女性も意欲と能力のあるものはチャンスを同じようにできるだけ与えて、そして努力と実績を積んだ人は待遇の平等ということは当然ですよということを、差別をなくするように国民の名において法律を決めよう。(略)今までのような、この差別を公序良俗に照らして裁判所に持っていったのでは、それはおっしゃるとおりなかなか簡単なわけにはいきません」(坂本、p25)
「調査についての具体的な根拠法令はございません」(赤松、p28)
「昇進機会については「女子には法制上の制約があるので無理」であるという指数は最も低いですよ。」(土井たか子、p32)
「本当を言ったら、男まで広げたらこれは大変なことになってしまうから、そこまではできないでしょうということで多少広げた。男なら深夜であろうと休日の時間外であろうと、やろうと思えば無制限、そんなことを女の人に一緒にというわけにはいきませんから、ある程度男に近づくという姿勢をひとつ期待をしたということで、現実にそれが行なわれるような労働行政は私どもは決して望んではおらぬし」(坂本、p36)
「自民党は21人いるはずでしょう。4人しかいない。電話をかけて呼びなさい」(田中、p37)
「この間、竹村健一さんが私のところへやってきて、賛成の立場かどうかはそうでもなさそうだったけれども、こんなことをやったら日本の男性はかわいい女房、子どものために今まで命がけでやってきたという意欲がなくなるのではないか、生態系が破壊されるというようない感じのことも言われておりまして、この問題は君、一番大きな問題だよ、あと30年、50年たって大失敗したといったら労働大臣、一体どうしてくれるのだ、そういう意見もありましたよ。」(坂本、p39)
「一般論といたしまして、条約はある部分については留保をつけて批准するということは不可能なことではないと存じますが、日本政府は、これまでこの条約に関して、批准する場合にはできる限り留保なく批准するということを何回か申してきたところ」(赤松、p41)
「しかし、それ(家庭的要因への配慮)があまりにそういうことをしなければならないということになりますと、これは均等な機会という面からは矛盾を起こすのではないか」(赤松、p42)
「女性のそういう家庭的ないろいろお持ちの方については、男性と同じような職務にはなかなかつきがたいという面も出てくるのじゃないか」(小渕、p43)
「女性が家庭、家族を持っている、とりわけ小さい子どもを持っておるということが配置の際に余りに配慮されますと、そのことがかえって機会の均等の妨げになる、こういうことは昇進の場合にも言えると思います。」(赤松、p43)
「勤められなくなるようなことをねらって転勤をさせるというようなことは、極端な場合には権利濫用というような問題も生ずるのではないかと思いますので、一概に今ここで申し上げることはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。」(赤松、p43)
「なぜ時期尚早かということでございますが、育児休業につきましては、まだ現実にそれほど多くの普及がされているわけではございませんで、1割強という実態でございます。」(赤松、44)
「保護がなくなるということと就業機会が増えるということとは、それほど直接的な関係にはないのではないかというふうに思っているわけでございます。(略)その研究の中でも、(イギリス)工場法と女子の就業機会とは直接関係なく、工場法ができても就業機会は狭くならずに、女子労働者はかえってふえているというその当時の研究がございます。」(赤松、p47)
「先ほどの私の答弁は、保護法の改正と女子労働者の就業機会との関係は必ずしも明らかでないと、ふえるともふえないとも申し上げたつもりはないわけでございます。」(赤松、p47)
「直接、今の企業経営の状態の中で女子保護規定をどうこうしなければ困るという事例を言った方はいなかったわけですね。」(菅直人、p49)
「女子保護規定があったって企業経営は別にそう痛痒を感じていないとおっしゃったが、それはそうでしょう。ということは、つまり男性主体の今までの終身雇用制度で私どもはそれでもいいんだというつもりがあるのでしょう。(略)企業に対しても均等な、差別のない扱いを要望すると同時に、女性の側についても、待遇の平等を目指すならば、男性と同じぐらいの労働条件でも、私の選んだ職業についてはそれぐらいはやりますということでないと、これはバランスはとれない。」(坂本、p49)
「例えば今までの学校の先生だとか看護婦さんだとか、ここに労働省の女性の職員もおりますが、男と一緒にやっておりますね。それくらいの気持ちを持ってもらわないと、企業の方でも均等な機会と待遇の平等はなかなか難しい」(坂本、p50)
「将来の問題としてこれは別個に切り離して考えていいではないか、これは理論的にはそのとおりかと存じますけれども、来年じゅうにこの婦人差別撤廃条約を批准したいという国際的、国内的な要請がございますので、それを満たすためには将来の問題としてではなく、現段階である程度の女子保護規定の見直しが必要であると考えているわけでございます。」(斉藤邦彦、外務大臣官房審議官、p51)
「本来厚生省が面倒を見るのは、社会的ないろいろな弱者とかあるいは社会的な必要性があってみるわけでありまして、一般的に、労働をするから厚生省が子供の面倒を見るという認識は、これはいささかこの条約の徹底した論理一貫性とは無縁のものであるというふうに感ずるわけであります。」(浜田卓二郎、p52)
「しかし、そういう前提をとったとしても、女子のほうの保護規定の水準に男子の労働条件を一方的に近づけていくというのは暴論だと思うわけであります。深夜業はないにこしたことはない。」(浜田、p53)
「ただ、我が国の、男は外で働き、女性が家庭を守る、そして育児の終わった人あるいは育児、家事に余裕のある人は、その条件に合った職業を選択していける、そういう状態というのが悪しき状態であって必ず是正されなければならないものであるとは、私は必ずしも思わないわけであります。それは日本の長い伝統に培われてきた男と女が幸せになる一つの形であると私は思うわけでありまして」(浜田、p53)
「やはり長い歴史と伝統の中で民族の営みがあるわけでありまして、(略)ペリーが来て、黒船が来て、文明開化をやって近代化をやったときも、これは直訳でやったわけではない。日本は日本なりにやはり立派な道をたどる。戦争に負けたのはこれはまことに大失敗でありましたけれども、しかしその後だって、やはり日本的な民主主義、自由主義というものを日本的な風土に昇華さして、そして立派に世界第二のここまでやってきた。これは事実でありますから、何としたって、やはり自分たちの伝統を離れて理想はない、私はそう思いますね。(発言するものあり)」(坂本、p54)
「差別であるかどうかの判断というのは非常に難しいと私は思うのです。(略)推察で申し上げるわけでありますが、アメリカがなぜクォーター制をとったか。それは結局個々の判断には限界があるということではないかと思うわけであります。したがって一定の割合を採用しなければ差別である、そういう認定に持っていったんじゃないか、これは推察でありますけれども。」(浜田、p54)
「枠の問題は、形式論からいいますとこれは男女平等に反するのです。平等にしなければならないのに女性だけ枠がある。女性の枠が少ない場合がある。しかし、事実上枠を設けないと女性の雇用の確保につながらないというから枠を設けたのです。」(多賀谷眞稔、p55)
「現実の問題として、今御説明が苦しかったように、この採用あるいは昇進という問題を一定の基準で(略)私は何か罰則によって実行を担保したような錯覚になりますけれども、現実にはそう事は簡単でないんだということを申し上げたいわけでございます。」(浜田、p55)
「(日本リクルートセンター調べ)男女差をなくす方策は、企業の努力に任せるのがよいと答えているのが63%から81%」(浜田、p55)
「現在はタクシー業しか考えておりません。」(望月、第27回、7月24日、p9)
「現在の状態では原則は男性に近づけていくという方が現実的であり、実効が上がるのではないかと私は思っております。」(坂本、p10)
「平均値だけを持ち出して男女違う取り扱いをするということはよくないということが多いわけでございます。(略)ただその例外として、平均的な勤続年数ということだけは必ずしも排除できないという主張が非常に強かったわけでございまして」(赤松、p13)
「あなた方が禁止条項といっているのは、もう裁判で確定しているのですよ。この法律ができて、新しく禁止になるのじゃないのですよ、これは。」(多賀谷、p13)
「平均勤続年数の重さというものは、採用、募集のときに限らず、まず配置をするとき、あるいはその中で昇進をさせたりあるいはさせなかったりという判断をするときにも極めて重要なファクターになるということでございますので、私どもといたしまして、公益委員の御見解にもかかわらず、それをもまた努力義務とした次第でございます。」(赤松、p14)
「これまではいろいろな差別が、先ほどまかり通っているというふうな表現をいたしましたけれども、結局は、それほど疑いの目を持って企業の側では見ていなかったということでございます。それはなくすべきであるということを(努力義務規定で)明らかにしたという点では、大きな進歩ではないかと思うわけでございます。」(赤松、p15)
「男子の悪いところに合わせるということではなくて、男子のほうも含めて労働時間の短縮を進めますので、それとある程度歩み寄るという形において制度的に緩和したということ」(望月、p17)
「男子の労働時間の短縮とかあるいは深夜業の規制を厳しくする、こういう態度をとって初めて男女を平等にするという話ができるのです。」(多賀谷、p17)
「この条約の署名に際しましては、事前に労使双方の意見を聞くということは行なっておりません。」(遠藤、p19)
「日本の国民全体が過去の男女差別というような考え方、哲学というものを一回きちっとクリアをするような重要な時期ではないだろうか。」(草川昭三、p20)
「その後既に4年たっているわけでございまして、きのうやきょうのことではございませんので、何回か条約についてお話をするチャンスがあり、そしてまた、条約を批准することの効果ということにつきましてもお考えをいただいたというふうに考えております。」(赤松、p20)
「それは生態系破壊などというような、非常に日本独特の男女間に基づくものでありまして、イスラムほどではありませんけれども、非常に根強いものがあるということはこれもまた事実でありまして、しかし、そこをしばらくの時間はかけてもあるべき姿のほうに徐々にでも持っていく方がいいのではなかろうか」(坂本、p29)
「政府案は逆に差別を拡大し、女性をパート労働に追い込む役割を果たすことになりかねない」(村山富市、p39)
「本来、雇用における男女の平等とは、国の民主主義の問題として、母性の保護を当然の前提とし、雇用機会、賃金、昇進昇格等職業生活のすべての面で男子と同等の機会、権利を保障するものでなければなりません。」(浦井洋、共産党、p39)
「雇用の分野における男女の均等な機会および待遇を実質的に確保するために、出産や育児等で一時家庭に入り、子育てが一段落してから再び働くという女子が多くいることを踏まえて、政府案では、再雇用特別措置の普及等を図るとともに、生児を有する女子の就業の継続が可能となるような育児休業の一層の普及促進のための援助措置を新設することとしているのは、まことに時宜を得たものであります。(略)女子に対する特別の保護措置は、女子の能力発揮や職業選択の幅を狭める結果をもたらす場合があり、母性保護措置は別として、男女の均等取り扱いとは相入れないものであり、婦人の差別撤廃条約の趣旨に照らせば本来廃止すべきものと考えますが(略)最近、アメリカでは、機械的に男女を同一にするのではなく、それぞれのよさを再認識しつつ、実質的に男女の均等な取り扱いを推進するというセカンドステージに入ったと言われております。(略)したがって、西欧文化の直訳という形でこれを推進するのではなく、我が国の歴史、文化、社会意識等の国情を踏まえた日本的な味つけを行なうことが何より肝要かと存じます。この点を踏まえて男女の均等な取り扱いを推進するよう強く要望して、私の討論を終わります。」(浜田、賛成演説、p40)
「2条と3条をあわせて読むと、この法案が、女子労働者をどのように見ているかが浮かび上がってきます。あくまで女子労働者を男子労働者に劣後するものと見て、それでも世間や世界がうるさいから、男性と同じように特に取り扱ってあげるよ、これが「配慮」という言葉だと言うと言いすぎでしょうか。さらに加えて、配慮されているということを自覚して、大いに働きなさいとお説教まで加わると、これはもう男女平等とは無縁です。」(江田五月、社会民主連合、反対演説、p43)
「婦人差別撤廃条約の趣旨に照らせば、女子に対する特別の保護規定は、妊娠、出産に直接関わる保護規定を除き、究極的には廃止すべきであると考えられております。」(中曽根康弘首相、参院本会議)
「私どもは共働きではございませんけれども、女房が盛んに選挙運動を専念していただいておりますので、家庭においては私の世話はむしろ自分のことは自分でやる」(山口敏夫労働大臣、参院社労委)
「女の子が生まれるとああ女かと、こういうのは偏った情報でございまして、やっぱり被害者意識のゆえではないか、私ごとでございますけど、3人男でございまして、全部これ病院に見舞いに行かなかった、女の子であれば早速お祝いに駆けつける」(山口敏夫労働大臣、参院社労委)
「今の生涯雇用、年功序列というような非常に広く普及しております日本的な慣行がなくなったということになれば、先ほど申し上げました根拠も崩れるということが言えようかと思いますが」(赤松良子労働省婦人局長、参院社労委)
「二千年来男と女の社会的な力関係や引っ張り合い、いろいろあったわけですけれども、日本にとってはまさにこういう法案が初めて世の中に登場」(山口敏夫労働大臣、参院社労委)
「例えば公務員試験なんかでも、上級であってもこれは試験だけで採用すれば、現在の局長の半分ぐらいは女子になっちゃうということだってあると思うんです。(略)やっぱり現実は半分以上の方が結婚と同時に職場を離れられるという場面も」(山口敏夫労働大臣、参院社労委)
「上古の時代には女性のほうが男よりもはるかに地位が上だったんですよ。それがいつのまにか時代の変遷でこうなった。それで今日こんな法案が出てきているわけだ」(下村泰参院議員、参院社労委)
改正雇用機会均等法
「男女雇用機会均等法が施行されて十年が経過いたしました。この間、女性の雇用者数の大幅な増加、勤続年数の伸び、職域の拡大が見られ、女性の就業に関する国民一般の意識や企業の取り組みも大きく変化いたしております。(略)働く女性が性により差別されることなく、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するとともに、働きながら安心して子供を産む事のできる環境をつくることは、働く女性のためだけでなく、少子・高齢化の一層の進展の中で、今後、引き続き我が国経済社会の活力を維持していくためにも、極めて重要な課題であります。」(岡野裕労働大臣、衆院本会議)
「ポジティブアクションというポジティブは、義務だからしょうがない、受け身でやるというものではなくて、みずから積極的に自主的にということでポジティブアクションということに相なっておりますので、義務とするのはポジティブアクションと違うのではないかな、こう思っております。」(岡野裕労働大臣、衆院本会議)
「私は常々、男と女の違いは、子どもを産むことができるのとできないの違いだけであって、あとは男だから、女だからという違いはないはずでございます。」(能勢和子、第140回国会衆議院、労働委員会議録第9号、1997年5月7日、p6)
「女性は母性の保護という一点を除いて男子と全く平等の立場に立つ、差別はいささかも存在をしないということをめがけて努力をしてまいるつもりであります。」(岡野裕、労働大臣、p6)
「このごろは、機会均等法ができたおかげかどうかわかりませんが、どうも大みそかと言われておるようでございまして、カウントダウンという形で、二十九、三十、三十一は当たり前、その後はないというふうな。やはり法律というようなものが、徐々にではありますが、この十年間で社会というものを大きく変えたという認識も私は持っております。」(吉田治、新進党、35歳、p7)
「女性労働者の福祉の増進および地位の向上を目的規定から削除いたしますのは、法律の中心的内容が雇用の分野における男女の均等な機会および待遇の確保を図ることとなることに伴うものでございます。(略)また、女性労働者につきまして職業生活と家庭生活の調和を図ることにつきまして、法の目的から削除いたしましたのは、やはり家族的責任というのは男女がともに担うものでございますから、女性労働者についてのみ職業生活と家庭生活の調和を図るということを法律の基本的理念に残すことは、かえって男女の役割分担を固定化する弊害が生ずるおそれもあるというような考え方に基づくものでございます。(略)職業生活と家庭生活の両立という課題につきましては、育児・介護休業法に基づき各般の対策を総合的に推進している」(太田芳枝、婦人局長、p7)
「古いタイプの人間といたしましては、そういう形でかみさんが外へ出て行って、自分も家事をするのかと思うと、正直いってぞっとする部分はもちろんあるのですけれども(略)片面性を残したという理由は、先ほどの局長の答弁からしますとちょっと矛盾をするのではないか」(吉田、p7)
「現行法、施行されまして10年、この経緯をいろいろ分析してみますと、やはり女性の皆さんが男性にくらべて差別を受けているというような事例が圧倒的に多い、こういう現状にかんがみまして、本法は女性を引き上げて男性と差別がないようにというような内容の法律案を提出申し上げている次第であります。」(岡野、p7)
「女性が例えば受付とか細かい手作業に向いているとか、女性には特有の感性とか特性があるというような先入観に基づきまして、補助的、定型的業務など一定の職種、職務につきまして女性のみを募集・採用することは、やはり女性の職域を限定したり、女性と男性の仕事の分離、いわゆる職務分離という弊害をもたらすものでございまして、女性全体の地位の向上を阻害するということになると考えておるわけでございます。」(太田、p8)
「単に女性であることを理由として女性についてのみ転勤の対象から外すことは、やはり配置に関しまして女性が排除されていることになりますので、配置に関する差別的取り扱いの禁止に違反するものでございます。(略)コース別の雇用管理制度につきましては、それぞれ、各コースの職務内容とか処遇等が明確に定められまして、各コースが男女ともに開かれているということ、そしてまた、各コース内における配置・昇進の雇用管理も男女公平に実施されている限り、均等法上の問題はないものでございます。」(太田、p8)
「現在の省令を前提といたしますれば、制服の貸与については均等法上の問題にはならないわけでございますが、一般的に、今回の改正法案の趣旨に照らして考えれば、女性に対してのみ制服を貸与するということは、合理的な理由は認められないのではないかというふうに考えます。」(太田、p9)
「(合理的な理由と言うのは誰が判断するのですか)裁判所による判断でございます。」(太田、p12)
「今、十数年たって、女性の営業マンが、営業マンとは言わないんだな、女性の営業、セールス担当が回っても何も違和感を持たない、そういうふうになってきた」(吉田、p12)
「個々の労働者の意欲、能力を適正に評価した結果、男性が多く採用されるということは均等法に違反するものではないというものでございます。」(太田、p16)
「女性の応募者数、最終面接受験者数が毎年相当数いるにもかかわらず採用実績がゼロとか極端に少ない場合は、男女の採用試験の成績を問い、選考基準をチェックするなどいたしまして、法違反の有無がないかどうかを判断しているところでございます。」(太田、p16)
「私は、婦人少年室に参りまして最初に感じましたのは、ドアを開けまして、きれいな女性の方が全員並んでいまして、なかなか入りづらい感じがいたしました」(桝屋啓悟、新進党、p16)
「ポジティブアクションとは何なのかということをひもときますと、どうも事業主に積極的にやってもらいたいということでありまして(略)国の責任といいますか、国は何をするのかということがどうも見えてこない。」(桝屋、p18)
「固定的な男女の役割分担意識を解消するための啓発活動を行なうことも、国自身の行なうポジティブアクションであると考えております。」(太田、p18)
「ポジティブアクションについては、外国の例ではいろいろございます。(略)ポジティブアクションの定義は、ポジティブアクションは簡単に言うとポジティブアクションで、(略)まあ20年前だったらパソコンなどというのはわからぬと思うのです。(略)今日、パソコン、ワープロ、あああれだな、マルチメディア、これだなとだんだんわかってまいりました。そういう意味合いで、ポジティブアクションはほかにも、中小企業あたりで労働者諸君をより多く採用する、そのために省力化装置を設けるというようなのも、いわば積極的に雇用者をふやそうという意味でのポジティブアクションに当たるのだ。」(岡野、p19)
「同様なといいますか、身障者雇用促進法におきましては、やはりペナルティーを払うという制度がありますし、また企業名の公表という制度もとられておるわけでございます。」(塩田晋、p19)
「違反行為がありますものにつきましては、新聞記者会見をやりまして、そこで全部企業名を配付いたしまして、それで言いますならば公表制度というものの実行に移してまいりたい」(岡野、p20)
「女性労働者に対します時間外・休日労働、深夜業の規制に解消によりまして男女が同一の労働条件の基盤に立って働くことが可能になるわけでございますので」(太田、p22)
「今回の改正法案の中身は、言いますならば大改革だ、ルビコンを一歩渡るものだ、私はこう心得ております。」(岡野、p23)
「採用の自由との関係にかんがみれば、事業主に求めることができるのは「均等は機会を与える」ことであって、採用することまでは求められないことから、改正法案におきましても「均等な機会を与えなければならない。」としたわけでございます。」(太田、p24)
「世界の流れは、形式的な平等から実質的な平等へ、つまり法律に書かれていることだけではなくて、それが現実にどう生かされているかということに向かって進んでいると思うのですね。」(松本惟子、p24)
「現行の均等法以前には、基準法ができましたのが昭和22年でしたでしょうか、そのころの女性労働者の実態というのは、結婚し子供を産み育てながら働くという人がまだ少なかった。それで、高度成長のなかで出産と仕事の両立ということが課題になるなかで、昭和47年、勤労婦人福祉法において、企業の努力義務ということで母性健康管理の指針がつくられた。」(松本、p24)
「規制の解消によって少子化が加速されるのではないかというような意見は(婦少審で)出されなかったものと承知しております」(太田、p28)
「国民やマスコミが、女子保護規定の撤廃が少子化を加速させるのではないか、こう懸念しているときに」(藤木洋子、日本共産党、p28)
「男女雇用機会均等法というものの精神は、女性であるがゆえの差別というものをやめようということででき上がっている案であります。したがいまして、女性であるがゆえに深夜業を今お話したような規定以外の理由を持って断わるというわけにはまいらない、これが均等だということであると存じます。」(岡野、p29)
「女性労働者だけに(深夜労働をしなくてもよいと)決めた場合でも、特別に均等法等々には違反しないと思いますが」(太田、p29)
「今の社会的な現状をお踏まえになっていらっしゃらないのでしょうか。」(藤木、p30)
「ポジティブアクションは、企業は女性労働者が男性労働者と比べてどのような現状にあるかということを分析していただきまして、そして男女労働者の間に事実上生じている差に着目して、その差を解消するためにいろいろな措置、計画をつくっていただくものでございます。」(太田、p31)
「企業活動のグローバル化が進む中で、国際的に見た公正な競争の確保という観点から、雇用・労働の分野においてもグローバルスタンダードという考え方が重要であります。我が国の法制が企業活動を阻害するものでないかどうか、改めて検討していく必要があると考えます。しかし、一方で、(略)男女雇用機会均等法の強化は、その意味では時代の要請であると思われます。」(飯島忠義、自由民主党、第10号、5月9日、p1)
「公表された企業というものは、経営が苦しくて、やむにやまれず内定というものを取り消した。つまり、悪意のない企業が多かったと思うわけでございます。また、それについての、マスコミも含めた批判というものが大変多かったという話を聞いております。」(飯島、p2)
「均等法上の差別禁止規定を遵守するだけでは解消できない男女労働者間に事実上生じている格差の解消は、実質的な男女均等の実現のためには欠かせないものであります。」(飯島、p2)
「少子化への対応という観点からも母性保護の充実というものは大事な点でございます。」(飯島、p3)
「女子保護規定の解消もまたグローバルスタンダードであると思います。」(飯島、p4)
「(女性が負担しているので解消に慎重)そういったものを前提にして法による規制を行なうということは、むしろ法律をもってそういった固定観念的な状況というものを、枠をはめるといいますか、さらに固定をさせてしまうような心配があると考えるわけでございます。」(大石秀政、自民党、p5)
「第三の波的なものがこれから着々実現をされていくであろう。(略)力を必要としないという意味合いでは、女性の働く皆さんが幅広くそういった産業分野にも進出していくことができるのではないか。」(岡野、p8)
「突然、まあ2年先ということにはなるのでしょうけれども、しかし、深夜業が行なわれるということにつきましては、やはりなかなか女性の立場から見ると受け入れがたいというふうに言ってもいいのではないか。」(鍵田節哉、新進党、p10)
「ポリテク短大などにつきまして、女性のこれに対しての入学率がまだ非常に低いという実体があります。」(鍵田、p12)
「私は今回の女子保護規定の撤廃には賛成です。やはり機会の均等ということでチャンスが男女平等になったわけですから、女子だけ保護するのはよくないと私は思って降ります。」(武山百合子、新進党、p18)
「今までのように女性労働者を、言うならば保護していかなければならない、あるいは特別な規定を設けて男性と差別の内容にしていかなければならないというふうな考えから、性というものにおける区別、差別、そういうものはもう絶対にだめなんですよということを高らかにうたっていくような法律案であると私どもは考えておりますし」(西田猛、新進党、p18)
「例えて言いますならば子供のころ、おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯にというような、物語の中でもやはり洗濯、つまり家庭におばあちゃんはとどまるのだな、おじいちゃんは外へ出てしば刈りをしたりなんかするのだなと。あるいは古事記だとか日本書紀を考えましても、アマテラスオオミカミという人物が神話として出てきます。スサノオノミコトという男の神様も出てきます。そうして、アマテラスオオミカミは機織りを家でやっていたところが、スサノオノミコトが生きた馬の皮をはいでそれをアマテラスオオミカミにぶん投げた。それでスサノオノミコトは出雲の国に追放されたというような、もう、二、三千年前の話からそういった差ができている中で我々の民族というのは今日に至ったというようなことからも、我々が男女雇用の面において均等扱いをしようというのは、私は革命的な大仕事」(岡野、p18)
「アメリカの性による差別の歴史そしてそれとの闘いの歴史を若干お話させていただきましたのは、我が国でも決して不可能ではないということであります。(略)ところが、我が国における問題点というのは、法律には書いていない、制度的にはないかもしれない、だけれどもいろいろな形で実質的な差別的取り扱いがある、いろいろな形で実質上の取り扱いの差異があるというところが、我が日本の非常に難しくかつ根本的な問題なのではないかなというふうに私どもは考えております。」(西田、p19)
「先生がおっしゃいますように、一片の法律で、先ほどお話をした、2000年だか3000年だか知りませんけれども、そういった土壌、風土が変わるものではないわけで(略)ほかに育児休業法、介護休業法等々もありますし、時短というようなものもこの間、御可決をいただいたというような客観情勢も有利に作用してきて、家庭生活と職業生活が両立をしていけるような環境になってまいったというような、あれやこれやの要素を考えまして、この機会均等法をつくろう、その中で超過勤務労働等の規制も緩和をするということに踏み切った、こんな次第であります。」(岡野、p19)
「社会の現実、世の中の現実がもうこういう事態にまで行ったぞということをようやく認識、認知した上で、そうしたらこの現実に合うように制度を変えていかなければいけないなという変え方をしていくのが、普通のいわば行政官庁のやり方であると思われるわけですね。」(西田、p20)
「私は、本当にあらゆる点において男女の差というものがなくなる世の中になればいいなと思っております。私などは、どちらかと言えば、私の配偶者である妻に働いていただいて、私は家にいて家事をした方が楽しいなというふうに思っているぐらいでございますけれども、ただ一点、女房が政治家になりたいと言ったら、私は反対したいなというふうにだけ思っております。」(西田、p24)
「男女共通に性差別の問題をとりあげるという形の問題についてはまだ時期が尚早である、早過ぎるという政府の回答であったと思うのですね、この間の質疑に対して。ところが、女性の保護については撤廃する(という矛盾)。」(中桐伸五、民主党、p25)
「労働省は、上級職等につきましても非常に女性の数が多うございます。というのは、ポジティブアクションを過去においてやってきた積み重ねが今の現状になっているのだなと」(岡野、p30)
「これまで調停がされましたのは1社7件でございます。調停不開始になっておりますものが11社97件でございますが」(太田、p31)
「(障害者)その後は、指導を積み重ね、公表を前提として指導をし、かつ、結果としては公表されるに至らないということで現在まで至っているわけでございます。(法定雇用率未達成企業49.4%)」(征矢紀臣、職業安定局長、p31)
「採用につきましては、調停申請者を実際に採用させるということが、企業がすでに採用、配置を行った人員に対し及ぼす影響等々にかんがみますと、事実上困難でございます。」(太田、p32)
「1994年3月11日付の労働省の基準局長と婦人局長の連名の通達があります。「その廃止ないし緩和を一定の範囲(弁理士、社労士の追加)にとどめたのは、わが国においては家事、育児というの家庭責任が女子労働者により重くかかっているという現実を考慮したものであること。」」(金子満広、共産党、p33)
「私ども、そういった事実が多分にある側面は自分自身経験からも否定はできないかと存じております。ただ、今回の均等法の改正で、そういった女性の活躍の場がそういうものを通じてさらに広がっていく。」(伊藤庄平、労働基準局長、p34)
「誰が保護規定をやめてくれと言ったのです(略)。「たとえば日経連であるとか経済同友会であるとか、あるいは日本自動車工業会であるとか、あるいは日本鉄鋼連盟であるとか、どちらかというと産業団体が中心であったと私は聞いております。」(武藤嘉文総務庁長官、衆院予算委、2月27日)連合の中の女性労働者が一番いるところのゼンセン同盟が反対を表明しているのじゃないですか。全国の労働組合もたくさん反対をしているのです。(略)確かに、平等だとか均等だとか同権だとか、何か言えば、差別をなくしてこうだと言うのです。反対する人、誰もいないのですよ。」(金子、p34)
「「したがって、長時間・深夜にわたる労働のため、仕事と家庭とを両立させることが困難な現在の男性の労働条件に女性の労働条件を合わせることは不適当というほかない。」(東京第二弁護士会会長鈴木誠)」(金子、p36)
「経営側がまず第一義に主張してまいりましたことは、一層の雇用機会均等を推進し、女性の職域を拡大し、活躍の場を広げるためには、労働基準法の労働時間、時間外・休日労働、深夜労働の部分でありますが、これに関する女子保護規定を解消することであります。これは現行法が成立した昭和60年以前から一貫して要請、主張しているところであります。/この女子保護規定の解消は、仮にこれを男女均等の家づくりというふうに例えたとしますと、いわばその土台となるものが女子保護規定の解消ということではないかと思います。(略)女子保護規定の解消により問題の点があるとするならば、それは育児や介護のいわゆる家庭責任を有する労働者の深夜労働における配慮ではないかと存じます。このことにつきましたは新たな改正(36協定)に取り組んだところでございます。(略)意欲のある女性に対し、法がそれを不可能としてはいけないということであろうと思います。/男女雇用機会均等法の改定につきましては、経営側は、現行法の趣旨を一層徹底させることを新たな出発点としながら、さらに、女性労働者の置かれている現状をいま一層改善していくには、現行法の枠組みの中でもっとも重点を置くべき諸点として、募集・採用、配置・昇進について新たな取り組みかたを模索しようとしたのが基本的な考え方であります。」(荒川春、日本経営者団体連盟労務法制部長、第11号、5月14日、p1)
「連合の組合員の要求も、女子保護を存続するということよりも、男女共通の規制など新たな規制を望む声が多くなっておるわけで(略)新たな時間外・休日労働および深夜労働の男女共通の規制については、空白期間を置かないように、均等法改正の施行日となっております99年4月1日までにするように明らかにすべきではないかと思っております。この点については先食いをするということがないように、ぜひお願いをしたいと思います。」(鷲尾悦也、日本労働組合総連合会事務局長、p3)
「私は、女子保護規定の撤廃に反対でございます。女性が働きつづけることを困難にし、男女平等どころか、実質的には均等法改悪に等しい結果を女性労働者にもたらすからです。(略)職域が広がってはいません。女性の正規社員の採用は10年間でたった3%しか増加せずに(略)保護規定の撤廃は、また社会全体に深刻な影響を及ぼすということで心配されております。(シンデレラ・ベビー、学校での荒れ)(略)いま、働く女性の出生率0.6。そのうち事務労働者は何と0.47。さらに少子化に拍車がかかるということになろうかと思います。」(笹沼熙子、全国労働組合総連合女性部長、p5)
「キーワードといたしましては、男女を問わず、あるいはさまざまな雇用の形態を問わず、まず持って個人を尊重する。」(荒川、p6)
「男女雇用機会均等を推進するという基本理念につきましては、経営側であろうとなんであろうとこれは変わらないものでございまして(略)家族の中で役割分担という意識がまだまだあるといったようなこと(略)ここを企業としては、それはあってはならない、あるいは改善する、推進する、こういう立場に立たなければならない。大変その意味で難しい点があるという点が一点。」(荒川、p6)
「ポジティブアクションにつきましては、企業が法に基づきまして対応する以上に、女性の能力発揮を促進し、その活用を図る積極的な施策と私ども理解しているところでございますが、法を超えましてさまざまに対応することにつきましては、やはり企業各社の状況、さまざまあると思います。あくまでも自主的に取り組む性質のものであろうと思います。」(荒川、p7)
「あくまでも、男性が優先であって、その足りない分を女性の能力で活用するということであれば、本当の意味のポジティブアクションということにはならない、このように考えているところでございまして、それぞれが、男女問わず、個々人が持っている能力を最大限に発揮する、その中で、現状を見た場合に、女性の能力が有効に活用されていないのではないか、このような認識のもとに企業が強い政策をとるということがポジティブアクションの本来の考え方ではないか、このように考えているところでございます。/そうした意味合いで、男女全く同じ能力と同じ資質を持っているということを前提にしてそのような政策をとられることが企業においても大変重要なのじゃないか、このように考えているところでございます。(略)現在の組合の役員の構成は5.25%ということで(略)私どももプログラムをつくって段階的にこれを引き上げていきたい」(鷲尾、p7)
「女子保護規定の撤廃については、既に確保できている既得権益という意味合いもございまして、こうしたものがかえって今回の均等法の改正によって退歩するのではないか、こういう懸念があるわけでございます。/それに対しまして、私どもは、婦人少年審議会やあるいは中基審、中央労働基準審議会の議論において、ぜひとも男女共通の時間外規制というものを、空白期間の間に十分議論ができるわけでありますから」(鷲尾、p8)
「深夜労働というものにつきまして、期待する以上になかなかなり手がいない、やっていただけないというのが現状であるといったようなご指摘のところが多いということでございます。」(荒川、p9)
「大勢として、女子保護の解消につきまして望んでいらっしゃる方が多いという傾向はあり、私どももそれを受けまして主張をしているということでございます。(女子労働者調査、平成7年版)」(荒川、p10)
「(深夜業・時間外)新たな法規制ということについては、私どもは反対しているところでございます。」(荒川、p10)
「男女平等法の方向性につきましてでございますが、将来的にはどういうふうになるか、私もわかりません。(略)将来的な平等法につきましては、私は現行の状況を見ながらまた判断していくべきものではないかなと思います。」(荒川、p11)
「今回の均等法が男女平等方に向けて一歩前進(略)その意味からいいますと、空白期間の間にはぜひ男女共通の労働時間等に関する規制というものをお願いしたい」(鷲尾、p11)
「女子保護規定の解消というのは同時に実施することが必要であると私は考えております。これについて、イエス・オア・ノーという聞き方は非常に失礼ですけれども」(吉田、p11)
「イエス」(鷲尾、p11)
「私ももちろんイエスでございます。(略)先ほど荒川参考人から、労働省の調査によっても女子保護を廃止すべきであるという女性の声が多いというお話がありましたけれども、これは昨年12月に発表された調査だと思います。しかし、これは正しくないと思います。一番多かったのは、家庭責任は男女がともに担うべきであるから女子のみの保護は解消して男女ともに規制すべきであるという意見が一番多かったのです。」(中島通子、弁護士、p11)
「この10年を振り返ってみて、効果が全くなかったとはもちろん思っておりません。何よりも啓発的効果があった(略)しかしながら、全体を見ると、これは必ずしも男女差別がなくなっていない、雇用における平等は実現していないと言わざるを得ません。/それのもっとも重要なメルクマールは賃金です。」(中島、p12)
「日弁連の意見書では、男女ともに規制のない中で女子保護の撤廃には反対であるというふうに言われております。」(笹沼、p15)
「企業が従業員を雇うということにつきましては(略)市場原理で」(荒川、p16)
「保護規定のもとで職域が拡大してきたのだから、こういう点を大事にしていくことが、私たちは非常に大きい問題だと思うのです。」(金子、p17)
「日経連で(時間外労働をさせる正当な理由の)ガイドラインをつくるかどうかということにつきましては、これはいまのところ白紙の状態でございます。」(荒川、p19)
「(女性の評価)女性だということだけで保護されているというのは、逆に、今の時代、差別的だというふうな評価、あるいは法律がようやく時代の流れに追いついた、あるいは労働現場の実態にようやく時代が追いついただけだ。」(河合克行、自民党、第12号、5月16日、p1)
「いつまでたっても、女性だというだけで何か安全地帯に逃げ込んでいくというふうな事柄が一部まだ日本の女性の皆さん方の中に、意識といいましょうか認識にも、率直に申し上げましてまだ色濃く残っているわけでありますので、私は、今回のこの法の改正というのは、そういう意味で女性の甘えも取り払ういいチャンスじゃないかなというふうに考えております。」(河合、p2)
「日本はあくまでもいわゆる機会の均等ということですけれども、結果の均等にまで踏み込んでいる場合もこのアファーマティブとかポジティブアクションという言葉を使う、現に使っているわけですから、その辺で誤解ということも生まれかねないな、そんなふうに思っております。」(河合、p3)
「ポジティブアクションというのは、例えばイギリスの場合には、事前に差別がある場合に、女性のみにあるいは男性のみに対して職業訓練の施設の利用を可能にするとか、あるいは女性または男性のみに対して仕事を行なう機会を利用することを奨励するとか、そういうふうに法律にはっきり書いてございます。」(山中Y子、新進党、p7)
「女子差別撤廃条約の考え方は、女性に対する差別を撤廃することによって男女の平等を推進していくという観点に立っているというふうに理解をしております。」(太田、p8)
「男性と女性が同じ状況になれば平等かというふうな考え方、先ほどの保護規定の問題もございますけれども、果たしてそういう考え方で差別を撤廃していけば平等になるのだろうかということではない、それよりももっと実質的に、それぞれが自分の置かれた立場の中で少しでもクオリティー・オブ・ライフを享受できるというような、そういうためにどういう制度が必要かということ(略)母性保護を含む実質的な平等というのは決して差別でない」(山中、p8)
「(現行の均等法では、女子のみの募集は適法、こう解釈をされてまいりました。今回の改正によりましてこれが違法と解釈されるわけでありますが)現行法は女性福祉法の色彩が強いわけでございますが」(太田、p10)
「(パート労働者の賃金が同一の職務についております正規の社員よりも低い場合)これは賃金差別の問題でありまして、均等法上の問題ではないわけでございますそれから、女性パート労働者と女性の正社員との間の問題でありますので、男女差別の問題ではなくて女性の問題でもありますので、これは調停対象には該当しないということになります。」(太田、p12)
「均等法の差別禁止規定違反の行為によって損害を受けた場合には、均等法の規定は損害賠償を請求する根拠となるものと考えております。」(太田、p12)
「育児休業の普及率が、平成5年では50.8%、介護休業制度は、同じく平成5年時点では16.3%でございます」(太田、p13)
「育児休業の取得率は、男性が0.2%、女性が99.8%でございます。そしてまた、介護休業の取得率の男女比は、男性が23.1%、女性が76.9%になっております。」(太田、p13)
「深夜労働は、やはり先ほど大臣申されましたように、グローバルな市場への対応等で不可欠な分野がございますので規制の解消に伴いまして、このような深夜業を必要とする事業、業務における女性の職域の拡大が予想されるわけでございます」(太田、p15)
「長い習慣的、文化的な背景の中で、やはり性別とかなり結びついていた側面があって、この規定が罰則を伴う規定であるだけに、何が差別であり何が差別でないか、(略)罪刑法定主義の建前の中では、なかなかこの罰則つきの条項の中で、1条の条文で性別による差別禁止というものを実現していくわけにはいかない状況にある」(伊藤、p17)
「昭和59年建議に示された法のあるべき姿や諸外国の法制度に照らせば、男女双方に対する差別を禁止する性差別禁止法が究極の姿であると考えております。」(岡野、p19)
「既に100号条約というのは随分前に批准をされておりまして、男女の賃金格差がなかなか平均的に縮まっていないということがILOの総会のたびに指摘されているところでございます」(松本、p21)
「従来からの、家庭を妻に任せ、あるいは出産という機能を持たない、企業にとっては非常に効率のよい労働者としての元気な男性をベースにして日本のシステムというのはつくられています。」(松本、p22)
「男女共通の法的規制ということを今考えてはおりませんことを答弁といたします。」(岡野、p23)
「戦後、我が労働基準法は、やはり36条協定というものを根拠にして休日、超過勤務を決めた。(略)労働基準法等はアメリカ法制を入れたというような意味合いで首尾が一貫をしている。」(岡野、p26)
「(時間外労働の)正当な理由というのは、これは客観的に合理的な理由をいうものだと思いますから、結局のところ、使用者にとりましても労働者にとりましても納得できるような理由をいうものであるというふうに考えます。」(太田、p27)
「中基審に7月の末までかかって時間外労働、休日労働等、ひとつご審議賜りたい」(岡野、p28)
「(附帯決議)男女双方に対する差別を禁止するいわゆる「性差別禁止法」の実現を目指すこと。また、いわゆる「間接差別」については、何が差別的取り扱いであるかについて引き続き検討すること。」(p31)
「男女雇用均等法というものの精神は、女性であるがゆえの差別というものをやめようということででき上がっている案であります。したがいまして、女性であるがゆえに深夜業を今お話をしたような規定以外の理由をもって断るというわけにはまいらない、これが均等だということであると存じます。」(岡野裕労働大臣、衆院社労委)
「同時に、ポジティブアクション、これは立派なことだと表彰をするというようなことで、今度はエンヤコラということで前から引っ張るというような(略)」(岡野裕労働大臣、参院本会議)