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Mars 11, 2006

金曜

LOST IN TRANSLATIONを友達の家出見る。二回目かな?

なんだかこんな日々がずっと続いてゆくような気がして、そんなことを望んでしまうけど、きっと残りが少ないことを気づいているから、楽しめるんだろうな。もうこんな夜は来ないかも知れない。そんな不安があるから、全ては輝くのかな。

よく見る風景がある。夢にやぶれて、見慣れた街並みを車で遠ざかる。振り返る街の灯は、いつか憧れた景色に似ていた。欲しかったものは本当はもう手にしていて、それを捨てるときにはじめてその価値がわかる。いや、もっと正しく言えば、そこにいるときは決してそんな価値には気づけない。視点が現在にある限り未来と過去しか輝き得ない。そんな風景。

だから視点を未来か過去まで移動させてから、今の瞬間をつかまえなくちゃならないんだろうけど。

話は少し変わって、ノーベルピースセンターに行ってきた。今月の出し物はロバートキャパ(カタカナあってるかな)展。IMAGE OF WARというテーマ。だけどそこに飾られていた写真は、手足のない兵士や、殺された子どもや、家を焼かれた家族でもなかった。

ふつうの街の中で、ふつうの生活をいとなむ、ふつうの人々。少しだけ違うのは、そこに少しだけ戦争の影がうつっていることくらい。本当にささやかな影。街角で抱き合う兵士と女性、少し汚れた服で買い物をする親子。1942 ITALYなんていう表記がなかったら、きっと戦争中の写真なんて気づかなかっただろう。

どこまでが撮影者の意図で、どこまでが展示者の意図で、こんな風景が集められたのかはわからないけど、あらゆることは劇的に変わるわけじゃなくて、ある一部で急に変わった何かをあらゆる部分に伝えることで、あらゆる場所がなんだか違う場所になってしまったような、そんな気がするのかなあ。永井荷風の「断腸亭日乗」(となり町戦争でもいいんだけど)でも読んでみようかな。

投稿者 POE : Mars 11, 2006 01:11 FM

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