今西 祐行(いまにし すけゆき)氏

 

1923年(大正12年)大阪府に生まれる。第二早稲田高等学院に入学後、早大童話会に入会、早稲田大学に進学後も同会で創作活動を行う。学徒動員、戦後の復学、卒業後、出版社勤務を経て文筆生活に入る。処女出版『そらのひつじかい』(1956年 泰光社)所収の「一つの花」「ゆみこのりす」で児童文学者協会新人賞を受賞。初期には特に「ハコちゃん」「あるハンノキの話」「ヒロシマの歌」「太郎コオロギ」「はまひるがおの小さな海」「ねことオルガン」などの短編が多い。また、体験を生かした戦争にまつわる作品の書き手としても知られることになる。

 

長編では歴史小説を多く手がける。日本児童文学者協会賞ほかいくつもの賞を受賞した『肥後の石工』(1965年 実業之日本社)や野間児童文芸賞受賞の『浦上の旅人たち』(1969年 同)が代表作で、ほかに『遥かなりローマ』(1985年 岩崎書店)、『運河』(1986年 偕成社)などがある。

 

ほかにも『光と風と雲と樹と』(1980年 小学館)で小学館文学賞、「マタルペシュペ物語」第一部『名栗川少年記』、第二部『留辺蘂の春』(ともに1985年 偕成社)で路傍の石文学賞を受賞したほか、文業をまとめた『今西祐行全集』全15巻(1987〜90年 同)で芸術選奨文部大臣賞はじめ数々の栄誉に輝いた。92年には紫綬褒章を受章。

 

80年代後半から地元で農業小学校を発足させ、それに関係する著作も絵本『農業小学校のうた』(1991年 木魂社 長野ヒデ子絵)やエッセイと写真の本『土ってあったかいね』(1994年 岩崎書店 西村燎子写真)、一般向けの『生きること耕すこと』(1989年 家の光協会)などがある。

 

なお、98年に「今西祐行全集別巻」として三井喜美子編『今西祐行研究』(偕成社)が刊行され、作品世界を知る手がかりを提供している。

 

(教育出版・指導書より)

 

 

 

 

 

 

 

 

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