

人間工学とは人間と環境との整合を実現するための学問であ り、これを実現する上では人間の各種機能の把握が不可欠です。ところがそのようなデータは論文やデータベースなどの形で個別にまとめられており、横断的にデータを得ることはきわめて難しいのが現状です。
ミュンヘン工科大学人間工学研究室では15年前から人間工学の範疇に含まれるデータやノウハウを横断的に収録したデータベース”EKIDES (Ergonomic Knowledge and Intelligent Design System)”を継続的に構築しています。環境・製品設計への応用を視野に入れていることから、単にデータを提供するにとどまらず、データベースに収められているデータをもとにした評価・チェック機構も用意されている点はEKIDESならではの特徴です。目的に合ったデータの検索を容易に行えるのはもちろんのこと、関連する用語の定義、引用文献についても詳細なデータが提供されています。
従来このデータベースはドイツ語と英語で使用することが可能であり、すでにドイツ語圏を中心とする多くの研究機関やメーカーがこのシステムを利用しています。 このデータベースは日本でも大いに活用することができると考え、このたび日本語版を作成することとしました。
EKIDESはMicrosoft Accessで作成されたデータベースシステムであり、基本モジュール、生産システムへの応用モジュール、製品への応用モジュール、評価モジュール、データ検索機能、ライブラリの6つのモジュールから構成されています。以下に各モジュールの概要を示します。
基本モジュール
さまざまな人間工学的設計に共通して関係するデータが収録されています。
タスク分析:各種作業を構成する作業要素を扱っています。環境要因は作業の安全性や効率に大きく影響を与えるものであり、照明、雑音、気候(温度、風など)、振動、有害物質と放射線について留意すべき事項がまとめられています。
技術的要素:作業場へのアクセスから作業時に用いる作業台、椅子、ディスプレイ、制御装置などにいたるまで、作業を行うにあたって必要なものに関連するデータをまとめています。
取扱説明書と操作における指示の与え方:取扱説明書などにおいてどのように指示を与えるかは作業の安全性は効率に大きく影響します。わかりやすい指示を与えるための方策がまとめられています。
人体計測データ:人体の各部のサイズ、各種筋力、動作に関するデータが提供されています。
生産システムへの応用モジュール
以下のような個別の生産システムを設計するにあたって必要な要件がまとめられています。各作業場の設計要件や作業に用いられる各種機械の設計要件、環境要因、安全対策のみならず、作業者が満たすべき条件についても触れられています。
材料加工
プロセス操作
プロセス監視
VDT作業
組立作業
建設作業
製品への応用モジュール
具体的な製品の例としてソフトウェアおよび自動車を取り上げ、これらの設計に必要な要件を項目ごとにまとめています。さらに、検査モジュールで提供されているソフトウェアおよび自動車のチェックリストにここからアクセスすることも可能です。ソフトウェアについては各種ソフトウェアの主観的評価を行うツールや、人間工学的なソフトウェア設計のポイントについての解説も用意されています。
検査モジュール
人間工学的評価のためのツール:基本モジュール、生産システムへの応用モジュール、製品への応用モジュールで提供されている人間工学的設計の要件に関するデータから分析対象と関連するものを選択し 、オリジナルのチェックリストを作成することができます。これを用い、任意の環境または製品の評価を行うことが可能です。
各種作業における生理的負荷の分析:3種類の 手法が収録されています。それぞれ作業条件や作業者の条件を入力するとその際にかかる生理的な負荷が算出されるようになっています。
各種生産システムおよび製品に関するチェックリスト:現在、自家用車、バス、トラック、建設機械、ソフトウェア、E-ラーニング用ソフトウェア、ウェブに 関するものが用意されています。
データ検索機能
項目一覧からの検索、キーワード一覧からの検索、データの出典別の検索、データの意味づけによる検索(健康に関する項目、安全に関する項目、効率に関する項目、快適性に関する項目など)が可能です。
ライブラリ
EKIDESに収録されているデータの出典一覧と人間工学関連の用語集が用意されている。出典に関してはキーワード検索ができます。また、文献の種類(規格、法律、学術論文、研究報告書など)、著者名、題名、出版社、出版年をもとにソートして表示することも可能です。用語集はドイツ語のみ、英語のみ、日本語のみ、3ヶ国語同時の4種類の表示を選択することができ、3ヶ国語表示は独英・英独・独和・和独・英和・和英辞書としての機能も果たします。
基本モジュール・生産システムへの応用モジュール・製品への応用モジュールはそれぞれ上に述べたような幾つかのカテゴリーから成り立っています。各カテゴリーにはさらに領域が設定されており、各領域に対応するデータは「データフォルダ」としてまとめられています。このモジュール、カテゴリー、領域、データフォルダという階層構造はここで挙げた3つのモジュールに共通の構造です。
日本語も含めた3ヶ国語版Ver.1.0は2008年前半にリリースする予定です。Ver.1.0では
を収録予定です。そのほかの部分については順次アップデートにより加えていく予定です。
デモ版をご覧になりたい方は以下のリンクよりダウンロードしてご利用ください。
->デモ版ダウンロード(zip形式で1.8MB, ご覧になるにはMicrosoft Access XP / 2003 / 2007が必要です)ご購入のお問い合わせはryoko@sfc.keio.ac.jpまでお願いいたします。