イギリスでは久々にまとまった時間が取れたので結構本を読む時間があった。以下はその本達。London University近くの本屋が魅力的でイギリスでも本を買い込んでしまった。
日本の犯罪と権力についての芹沢一也さんの著書。日本の犯罪史と権力の関係を巡るフーコー的議論が魅力的。
日本の犯罪統計の変化と思想的背景、警察の権力について概説されている。おもしろい。凶悪犯罪に該当する犯罪の範囲を増やせば、グラフが右肩上がりになって犯罪が増加しているように誤解してしまうのは当然だ。警察統計の杜撰さの問題は権力の問題と直結しているだけに由々しき問題であるように思う。
複数の小説批評の理論的方法を、小説『フランケンシュタイン』を例題としつつ料理している。徹底して「批評の方法」を追求する英文学者の筆者の姿勢が好印象。批評や人文系では方法論を巡る議論は賛否が別れるところだが、新規参入や分野の存続のためにも方法論は不可欠だと思う。
おそらく日本社会学史学会のジャーナルだと思う。ジャーナルなのだが、一般に流通している珍しい形態を取っている。バウマン特集。バウマンの問題圏の概論が分かる。特にルーマンの翻訳でも有名な馬場靖雄先生のル−マンとバウマンをつなぐ論文が印象的。
マルクス主義の流れを汲む理論家ルカーチの著作。特に物象化論に焦点を充てるところがルカーチの特徴か。よく考えれば、マルクス主義は一種のネットワーク理論として読めないこともない。人間関係が存在し、人間は生産活動を行う。生産した商品は独自の商品間関係を形成する、と。
クリエイティブシティに関する最近の議論を、理論的視点と実践的視点からまとめてある。事例も豊富でいい。インターリアリティの土屋先生が執筆に参加していて驚いた。クリエイティブシティも研究されていたとは。
創造的都市の理論と特に関西の事例を集めている。本の見た目は地味だが、前半の理論編はなかなか興味深い。ただ、筆者が多く、話し言葉がまざるなど、決して「いい本」とは言い難い。
久々に小説も読んだ。結婚を前にした三人の女性の選択の物語。なかなかいい。

