円堂都司昭,2010,『ゼロ年代の論点 ウェブ・郊外・カルチャー』ソフトバンククリエイティブ.
ゼロ年代の、いわゆる論壇の議論と動向をコンパクトにまとめた良書。「ウェブ・郊外・カルチャー」というサブタイトルが端的に示すが、この3つを切り口に、議論を集約している。インターネットの普及と並行して、ゼロ年代にはウェブや、ウェブ関係のサービスやゲームが東浩紀や周辺の論者たちからさまざまな論点として急速に浮上した。郊外やショッピングモールも三浦展の一連の著作などを皮切りに、急速に注目されるようになった。さらに、それまで広く普及するコンテンツえありながらも、論壇であまり取り扱われてこなかった(ポピュラー)カルチャーも、宇野常寛の著作などをきっかけに擁護する議論も登場した。こうした議論とその展開を丁寧に紹介している。
終章が、「現実の時代」と締めくくられていることも興味深い。論壇が社会とどう距離をとっていくのかを問うているわけだが、既に社会に対する批評という機能を失いつつある論壇再生のひとつの方向性を示している。そのことを端的に突きつける終章である。
私事で恐縮だが、郊外論の文脈で、PLANETS増刊『ゼロ年代のすべて』に寄稿した「郊外と郊外論を問い直す」を、情報論×地域論の文脈で『思想地図』vol.2所収「<社会>における創造を考える」、およびproject.reviewについて言及いただいている。2010年代の終わりか、2020年代の初頭に行われる10年代総括の試みにおいても、議論の俎上に載せていただけるよう頑張りたい。

