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分子生物学者のエッセイ。『本』での連載をあつめたものらしい。それゆえ、テーマは、ES細胞、論文捏造など多岐に渡り、寄せ集め感は拭えない。

最近、筆者や茂木健一郎氏のような、自然科学をバックグラウンドに持つ書き手が増えたように感じる。二人とも、今や物書きとして雑誌に、テレビに引っ張りだこだ。

筆者の概念も、もしくは、茂木健一郎氏で有名になった「クオリア」も、乱暴に一言でまとめれば、物事の本質は要素還元主義では分からない、ということになる。筆者の対象は分子生物学で、茂木氏は脳というわけだ。

彼らの議論がウケるのは、これまで文学的想像力が扱ってきた「生の本質」や「思考の本質」という「純粋で、崇高なもの」が、結局一般的にはブラックボックス化してしまって実態は理解できない「最先端の」自然科学によっても解明できないという「事実」に喜んで、僕らが釣られているからではないか。

例えば、本書のシメにあたる1文。

「世界は分けないことにはわからない。しかし、世界は分けてもわからないのである。」(p.275)

確かに、文学的表現としてはすごくかっこいい言い回しだけど、実質的には何も言ってないに等しいと思えてならない。ちなみに、肩肘はらず、まったりエッセイとして読むと、自然科学の業界事情なんかも書いてあって普通に面白い。茂木氏の本もよく読みます、自分。


ソニーCSL(Computer Science Lab.)について書かれた本を読んだ。

昨年、設立20周年記念のシンポジウムに連れて行ってもらったことを思い出した。
クオリアの茂木さん、経済物理学の高安さん、システムバイオロジーの北野さん、など、CSLの研究者はみんなオリジナルの研究に取り組んでいる。

こうした本を手に取るのは、刺激を受けるためだ。社会科学の世界には、なぜか広く公開された「成功物語」が少ない。研究者の間でコンセンサスがとれた最先端が不明確な社会科学は、ある意味では、自然科学よりそうした物語が成立するのが難しいのかもしれない。

そろそろ、真剣に、どうやってこの業界で生き残っていくのか、を考えなければならない(直近では学位取得の方法もw)。どのようなコンセプトをつくって、どのような研究テーマを選び、具体的に何を対象とし、それを明らかにするためにどの手法を用い、さらにそれをどう評価し論文にしていくのかを考えなければならない。「普通の研究」は、最低どれか一つに新しいことがあればいいだろう。でも、「エクセレントな研究」はそれだけでは足りない。

もっと議論が必要だ。

マーク・ブキャナンの新刊が翻訳された。

マーク・ブキャナンは、『ネイチャー』誌等の編集も務めた、博士号を持つサイエンス・ライター。複雑ネットワークやベキ則についての一般書を数多く出している。

本書は、これまでの本と比べて特に新しい事例が増えたわけではないが、「社会物理学」にフィーチャーしている。本書では、「<社会>を物理学的手法でありのまま捉える」程度に使われているけれど、歴史的には社会物理学は、統計学者ケトレーらに遡ることができる、かなり長い知的伝統のある分野である。

また、以前のエントリーでも言及したことがあるけれども、「physics of society」や「social physics」は、欧米では比較的長い伝統をもっている。そして、僕の理解では、<社会>について考えていく方法として、今取り組むべき方向性のひとつだと思う。

そして、断絶しているように見えるかもしれないけれど、社会学を「社会的事実をもののように見る」(デュルケム)と捉えた社会学の始祖たちの取り組みの現代的理解のひとつとも言えるのではないだろうか。

以前に、『思想地図vol.2』(NHK出版)の中では、「人々が異なる動機を持ち、自由な振る舞いをしているにも関わらず、結果的に一定の秩序を持つ」事象に対する関心ということを書いたし、同書の座談会「ソシオフィジクスは可能か」でも同様のこと話した。「言うは易し、行うは難し」で、実際にどうすれば、研究として形にできるのか、という方法論的模索は今も続いている。そして分かったことのひとつは、ネットワークを可視化する、いくつかの指標を出す、程度を越えた高度な手法は、明らかに僕の手には余る。

地域活性化の分野では建築系の方とはいろいろご一緒させていただくことが増えたが、こちらの分野では、情報系の方とご一緒させてもらわないと厳しいだろう。情報系の人は、モデルを適用できる新しい対象(たとえば、社会的領域)を探しているはずだし、さらに言えば、可能ならば新しいモデルを作りたいと考えているはず。他方で、僕らは社会に対する「現場」の問題意識と知的伝統に対するストック、問題解決への志向がある。多分win-win関係を築くことができると思うのだけれど。






集合行動を対象に、文理双方の概念を紹介する著作。

昨年イギリスに行ったときに、同書の英国版(著者のPhilip Ballはイギリスのサイエンス・ライター)を手に取った。しかし、ホッブズのリバイアサン、理系では熱物理学の考え方から、コンピュータ・シミュレーション、ネットワーク、べき則まで論じる約600ページの分量に圧倒され、読み切るまでに随分時間がかかった。

知らない分野の話を、大量に英語で読むのはなかなか厳しい。歯ごたえがあるものを一冊一冊読破していくことが、院生という修行中の身にはふさわしいか。しかし、洋書にはときどきあるけど、日本の著作には、なかなか古典的な社会科学の議論から新しい科学の話までを対象とする著作は少ない(強いて著者をあげれば、松岡正剛とか茂木さんとかなのかな。)。

チキさんに収録してもらったインタビューでもちょっと話題にあがったけれど、日本では専門家は専門のことだけやってろという圧力が高いからだろうか。

ちなみに冒頭に比べて、結論が分量も少なく尻すぼみなことだけが残念。せっかく文理双方からいろんな概念を紹介したのだから、それらを総合して論じきってほしかった。だが、そこを差し引いても、最近流行ってる集合行動の前提の概念を知ることができるよい本だと思う。

今日は、イギリス行きに向けた打ち合わせで10:00にスタバに集合して2時間弱打ち合わせと議論を行った。昨日、家に着いたのは0:00前で、寝ている間にPCを回していた。大学を出る時点では、先生はまだ作業を行っていた。

今日、井庭研の3つの後輩のグループが予算獲得のための申請書を提出した。昨日の夜中に作業の指示とメールが飛び交っていた。時間ギリギリまで粘った模様。しかし、にもかかわらず、これで一服つけるメンバーはほとんどいない。

池上高志さんの『動きが生命をつくる』がある。

これに倣って言えば、各人の「動きが研究会をつくる」といったところでしょうか。
重ねて比喩的に言えば、自己創出の動きが止まった瞬間に生命=研究会はその機能を停止する。

引き続きクリエイティブに頑張っていきましょう。

同期現象と呼ばれる現象がある。正確な定義ではないけれど、簡潔に言えば、意図せずに行っているミクロの現象をマクロレベルで見ると、そこにある種の調和や秩序が存在するかのように見える物理現象だ。蛍の発光から人間の生態などに同期現象がある、と言われる。ノイズからの秩序形成という意味で、この概念は社会システムや現代の市場の在り方と相性がいいと思っている。具体的なところにまでは、全然到達していないのだけれど。

スティーブン・ストロガッツの以下の入門書は、蔵本由紀さんの新書(http://web.sfc.keio.ac.jp/~ryosuke/sociologs/2007/12/post-41.html)と並んで最も読みやすい本だと思う。以前から研究室にあって、読みたいと思っていたのをようやく手に入れて読了した。科学読み物としても魅力的な文体だと思う。ところで、同期現象を扱う本には、このレベルと次のレベルの本の間に大きな開きがあってなかなか厳しい。


昨日、研究室の同期とクリエイティビティについての話になった。僕らの先生は、思考のプロセスがいい意味で飛躍する。例えれば、1,10,50,100...のような感じだ。最近、自分の頭はそういう回転の仕方はしないので、何か別に生き残る方法を考えなければ、と思っているという話を彼にした(他の後輩にも何度かしたような気がする)。

だけれども、同期の指摘はポジティブに示唆的だった。僕らの先生は『複雑系入門』という複雑系の入門書の定番本を修士課程のときに書いている実に早熟な人だ(下)。

その執筆過程で大量のインプットを行ったという話を何度か聞いている。同期の指摘は、大量のインプットによって創発的に現在の思考プロセスが形成されたのかもしれない、というものだ。このことは先生の頭の回転が先天的なものではなく、後天的なものかもしれない、という意味で希望を与えてくれたw 

そういえば、長い間お世話になっている別の先生も20代は仕込みの時期だから、しっかり仕込め、というアドバイスを何度も下さっている。

結論はこうだ。アウトプット志向は重要である。だけど、アウトプットするためには、それに先立つものが必要なので、アウトプットしながら(もしくはアウトプットに向けて)しっかりインプットもしなければならない。

まだまだ修行中の身です。頑張ろう。

先日、バズ・マーケティングやニッチ関連の書籍を紹介した。http://web.sfc.keio.ac.jp/~ryosuke/tippingpoint/2008/05/post-5.html

ネットワーク科学の観点から、噂や口コミの広がり方を扱ったのがこちら。

ひさびさにぺらぺらめくってみたけど、分かりやすいけど、要所要所に数式を使ったなかなか奥の深い入門書。

最近、ボトムアップ=市民主導の地域活性を扱っていることもあり(というか、あまり関係なく、間宮陽介先生の議論が好きだからかもしれないけれども)、これを読んだ。

丸山眞男の議論を丹念に追うというよりも、実存的な問題意識を探るという形式を取る。それによってこれまで見落とされてきた丸山眞男の議論の本質が浮かび上がるというのが本著の問題提起。いつもの間宮節によって、生き生きとした丸山像が浮かびあがる。魅力的な一冊。

よく、本を読んでいるね、と言われる。よく考えるとそうかもしれない。もともと読書好きということもあり、専門分野だのなんだのに捕われず読む。いろいろ追われたりしていないときは、一日一冊ということはないように思う。仮に一日一冊読んだとしても、年間300冊でしかない。それを考えると、まだまだ読みたい本は無数にあるのに!と思うことが多々ある。

別に読書のコツというようなものはないけれど、いつの間にか本を読むのが早くなったし、読むジャンルの本が増えた。最近は、ビジネス書やコンセプト・デザインなどの本も良く手に取る。以前は、そういったものは、アカデミックと関係ないよね、という気がして敬遠していたけれど(実際、院生らの間では敬遠されているような気配もある)、井庭先生の影響で手に取るようになったのだけれど、これがなかなか面白い。よく考えれば当然で、ビジネス書は現場の話だし、コンセプト・デザインは研究と重なる点も多々ある。ノウハウ物も読む。例えば、今日読んだのは次の2冊。



前者は研究者としてのノウハウ本。あんまり期待しないで手に取ったが滅法役に立ちそう。昔ながらの研究だけする研究者ではなく、研究費を獲得し、キャリア形成を念頭におきつつ、研究をマネジメントできる研究者になるために、各ステージでのノウハウが記述されている。自分はおそらく理系ではないけれども、成果の作り方や報告書の作り方など十分参考にできる本だ。

後者は、Macユーザーとして使うと便利な基本的なソフトについて紹介している。Latexを便利に使う方法やプレゼンのコツなどMacを使う身としては役に立ちそう。

だいたい読書の速度は、新書や文庫サイズで0.5〜1.5時間、やさし目の専門書で2時間、古典で3時間といったところか。例えば、今日の横浜の帰り道からの電車(約1時間程度)で読んだ本が先の2冊。

今、読まなければならない本や論文は数えきれない。もっと早く、大量に読みたい。きっと世の中の大学生、大学院生全員が思っていることですね。

東京大学出版会が、こんな本を出していた。

最近、東大からこの手のものが良く出されている。
確か昨年にも東京大学案内のようなものが出てたような気がする。

ちなみに装丁はかっこいいのだけれど、
イマイチ「東京大学のコンセプトはこれ!」みたいなものは
伝わってこない感じ。

東大ではこういうことをやっています、みたいなのを、ただ
人文から物理学まで集めました的な感じと言えばいいのか。

ただし、見た目がかっこいいことと、いろんな分野が網羅的に載っていることは、
結構重要で、こんなのが高校の進路相談室に転がっていたら、
ちょっと東大に行って研究者になりたい、とか
思うかもしれない。

僕は長い間塾の講師をやっているので、この手の本もよく見るけれど、
いわゆる大学案内とか大学受験ガイドの多くは、
ほとんどこちらのモチベーションに結びつかない。
どれもほとんど一緒に見える。

だから、「偏差値じゃなくて、ほんとにやりたいことや学びたいことで
大学を選びなさい」とか言われても、多くの高校生は困惑してしまう。

この『ACADEMIC GROOVE』がベストだとは思わないけれども(そもそもGrooveって
...)脱偏差値とか言うなら、こんな感じでコンセプトとか
学問の魅力なんかもしっかり受験生にアピールしていかないと
いけないんじゃないでしょうか。

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