ワーックショップが終了し、昨日から本格的に学会のプログラムが始まりだした。
こちらに来て思うことは、優秀な研究者は皆プレゼンテーションがうまい。もちろん、プレゼンテーションが上手いからといって優秀な研究者になれるわけではない。だが、プレゼンテーションも研究者としての最低限のスキルになっている。日本では、「中身があれば、外見は...」的な発想が未だに色濃く残っているが、こちらでは人に上手く伝えられない研究は研究として成立しないということのようだ。おそらく資金も獲得できないし、人も集められずプロジェクトとしても成立しないのだろう。
ネットワークのみならず、分野を越えて複雑系全般で多産な研究を行っていることで知られているM.ニューマンもちょっと変人なのだけど、プレゼンはうまい。どうも、変な人ほどプレゼンも凝る傾向があるような気もする。
ポスター発表もそう。日本の学会ではpptをぺたぺた貼っただけのものもよく見るけど、この規模の学会になると、皆、イラストレーターなどでしっかり作り込んできている。国やその他さまざまな前提を共有しないので、知的コミュニケーションの重要性について、皆、認知しているということだろうか。
英語の話。英語圏以外から来ている研究者の多くは、とても親切にこちらの話を聞いてくれる(もちろん英語圏出身の研究者でも親切に聞いてくれる人は大勢いる)。語学で苦労したことがあるからだろうか。彼らの特徴は、皆、発音が下手でも、よくしゃべることだ。
僕らは、ともすれば、頭が白くなって話すのを止めてしまうことがある。だが、しゃべるのを止めてしまえばコミュニケーションは終了してしまうからだろうか。皆、手を変え品を変え話し続けるのだ。これは是非、学びたい。
興味深かったのは、「イタリアからの飛行機で見掛けた」と言って話しかけてきたイタリア人の老齢の研究者。毎日顔をあわせているうちに、よく話すようになったのだけど、イタリア語と英語の文法がかなり異なるらしく、苦労しているそうだ。確かにイタリア人の英語は総じて聞き取り辛いのだけど、ずっとイタリア語と英語の文法は似ているものだと思っていた。英語圏外の出身者にとって語学は常について回る問題だ。
チリ出身で、スペインに留学している博士課程の彼も、スペイン語で苦労しているらしく、とても親切にしてくれる。経歴が面白くて、生物学出身で今は、スペインの経済の先生のもとに留学して、通信網について、複雑ネットワークの観点からアプローチしている。面白いのは、マトゥラーナとバレラのオートポイエーシスに関心があるらしく、ルーマンも知っていた。マトゥラーナもバレラも地元チリではかなりマイナーらしく、ルーマンやオートポイエーシスに関心がある旨を伝えると喜んでいた。
そういえば、彼は僕の首のウェットスーツ焼けを見て、話しかけてきた。サーフィンをやるらしい。チリは水が冷たいものの、かなり良質な波があることで知られている。スペインはなかなか波がないらしく、地元が恋しいらしい。早く博士号を取って帰国したいと言っていた。こんな感じで、研究以外にも何か共通項があると、コミュニケーションが一気に進む。