大学院の最近のブログ記事

今期、デジタルハリウッド大学大学院で、「マネジメントのための調査分析手法」という科目を担当している。たった8回で、いわゆるリサーチ・デザイン論と演習、定量的分析のごくごく初歩に触れる、ぼくにとっては結構無茶な、でもおそらく盛りだくさんな内容になっている。

初年度の授業にありがちな時間配分にあくせくしているけれど、5回が終了しようやくゴールが見えてきた。毎回課題を出す、社会人院生が多いなかでは結構大変な科目と化している予感があるのだけれど、フィードバックを読んでいると、改善の余地はあるもののそこそこ活用していただけているようにも思える。

しかし、思えば社会人大学院生というのは、結構大変である。この科目は、金曜1限、すなわち、金曜19時からという時間帯に開講されており、一番飲みに行きたい時間ではないか。しかも一概に「遊び」に限らず、仕事絡みのお誘いもあるだろう。名簿上35名の履修者はすでに一定程度の決まった出席者で安定しているけれど、それでも結構な数の院生が毎週決まって出席している。会社からの出向というケースもあるようだけれど、やはり工学な学費を自腹負担しているという感覚が普通の大学の講義とは違うようだ。FBやメールでも質問がきたり、大変だったりはするけれど、やりがいがあるともいえる。

僕にとっても、ひさびさに『社会科学のリサーチ・デザイン』(SFCの大学院を出た人には馴染み深い、いわゆるKKVってやつですね)や、『政治学のリサーチ・メソッド』を引っ張り出してきたり、記憶のなかにある主査の土屋大洋先生や金子郁容先生、國領二郎先生らのリサーチ・デザイン等々SFC修士1年のときの科目を思い出すきっかけになった。いわば、足元を見直すというやつですね。やっぱり、リサーチ・デザインとケースメソッドと定量分析はわけたほうがいいとも思いつつ、いろいろなバックグラウンドを持っている院生の足並みを揃えるという意味では、こういう駆け足で基礎の足並みを揃える科目もあってもいいな、と思ったり。

来年も開講され、さらにぼくが担当するかは全く未知数なので残り3回をしっかり充実させた内容にしたい。

博士課程に入学しても、博士号を取得するまでの道のりはとても険しい。

例えば博士号を博士課程の3年野間で取得するためには、SFCの(正確には博士(政策・メディア)の)要件で言えば、実質2年余りで博士論文を書き上げる必要があり、博士論文を書くためには最低専門分野に関するジャーナル2本と国際学会発表が必要である。

加えて、教育体験や各種語学のスコアに新規授業計画等も取得しておかなければならない。ということは、なるべく早く(できれば3年で)博士号取得するためには、修士課程(最近では前期博士課程と呼ぶ?)のときから、連続で考えておかないと相当厳しいという当たり前の事実に、先日公聴会を見に行ったあと、井庭先生と話していて改めて気がついた。修士と博士が制度的に実質分離していて、さらに研究者というよりは学生の期間が大変長い日本のシステムはどうなんだろうか?

「ジャーナル2本+国際学会発表1」というのは、博士号の「最低」要件なのでよっぽどインパクトファクターの高い国際学会発表やジャーナルに載ったものでないと、これだけでは博士号は取れないらしい。それを補う論文や国際/国内での学会報告、その他のアウトプットが必要だ。

博士号は研究者としての一種のパスポートのようなものなので、今では研究者としてやってく上で必須だが、博士号を取ったとしても、それが仕事の有無とは直結しないという恐ろしい世界なのだ。

別に大学院生の全員が、社会的な人間関係から孤立しているなどということを言う気は毛頭ない。研究室、友人、彼氏/彼女、バイト先等々いろんな人間関係の網に組み込まれているだろう。

だけど、少なくとも大学院生同士は、かなり孤立していると言えるのじゃないだろうか。

例えば、SFCには修士で学年200人、博士で学年50人の大学院生がいることになっている。だけど、自分の個人的な院生の知り合いを数えれば20人弱ではないだろうか。プログラムを越えると、全然知り合いはいない。これがSFC外の院生となると、ますます少ない。まあ、これは僕の個人的事情なので、もちろん大学院生全員がそうだとはいわないけれども。

大学院生というのは、SFCは比較的にマシだけれど、一般的には「研究室付け」ということになっていたりするので、「個人」として表に出てくることは少ないのかもしれない。

一応、高度な専門知識を習得するということになっている課程の末席に身をおいていて、そして、何より自分も含めてまだまだ若いことを考えると、もっと広く大学院生同士が交流できれば、学問のみならず、広い意味で何か生産できそうな気がするのだけれども。

せめてよくある大学院生のウツ、引きこもり解消とかには何か役にたつんじゃないだろうか。

個人的なことを言えば、政策学、社会学、地域活性、ネットワーク・サイエンス、マーケティング、市場分析等々に関心のある院生、場合によっては学部生も含めて大学や大学院を越えて積極的にコラボレーションしたいと思っている。

今日は井庭先生に誘われて、博士号取得に向けた公聴会を見に行ってきた。

公聴会は、博士論文が書き上がって、最終審査直前のかなり最終段階に行われるイベントだそう。公聴会というだけあって、一応誰が聞きにいっても良いものらしい。うちでは、30分発表+質疑応答みたいな感じだった。

プロジェクトの先生中心に多くの先生が集まっていて、博士論文について多方面から指導をうける、という仕組みのよう。たまたま見に行ったのが、技術系で、しかも途中から参加だったので内容は良く分からなかったが、公聴会が、例えて言えば、多くの、なんとなく顔見知りの先生による、あまりフレンドリーではない学会報告のようなイベントだ、ということが分かったのでOK。各プロセスで、何をするか、ということが分かっていると対策を立てやすい。何事も「見える化」が重要だ。

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