今書いているいくつかの原稿でも言及しているけれど、地方自治体は、地域社会のなかで情報、資金、権限が集中している相対的に大きな組織である。そして、ひとつの「地域」に対して、いくつもの行政単位が重複して存在していてそれらが有機的に関係していることも興味深い。つまり、例えば僕が住んでいる場所は、大和市であり、神奈川県であり、最終的には国であり3重の行政単位が存在していて、業務内容によってそれぞれが「複雑に」(そして、このこともメリットとデメリットがある。)組み合わさっているのである。余談だけれど、これが、問題をその規模に応じた単位で解決していく、いわゆる「補完性の原則」の制度的な背景になっている。
地域活性化には、いろいろな単位で同時多発的な展開を行っていく必要があることは間違いないのだが、国は規模が大きすぎるし動きが基本的に遅いし、一部のNPOや社会企業は局所的な問題には強いがプロジェクトの広域展開が難しい(繰り返すが、いずれかのアクターが重要ではない、と言っているわけではない。同時多発的展開が重要。そして、可能性がある、ということは、現時点では十分に活用されていないということの裏返しでもある)。このような視点にたつと、地方自治体は絶妙なサイズなのである。さらに、地方自治体の職員の方が重要だと思うのは、ある種の「地域の全体像」や暗黙知をもっていることである。
地方自治体の職員の方はおよそ3、4年で部署が変わる。これにはしばしば批判されるように事業の継続性などで確かに問題もあるのだが、そのことによって「地域の全体像」のようなものを必然的につかんでいくことになる。よく考えれば、職員の方を除くと、「地域の全体像」や地域の暗黙知を把握している人間は、今では住民の中でも少ないのではないだろうか。茅ヶ崎市役所産業活性化研究会や「神奈川の恊働を推進する県民会議」など、ここ1年程縁あって自治体の職員の方とご一緒する時間が長いのだけれど、みなさん驚く程その地域のことを知っている。地域活性化を考えるときに、この職員の方の情報や暗黙知を活用しない手はないだろう。
若い職員には民間からの転職者も多いし、制度的にも実はいろいろとおもしろいことができる仕組みが存在していることが分かってきた。このような次第で、最近の主要な関心のひとつが、これら(地方自治体職員の方の暗黙知と地方自治体に存在する制度)を、どのように結びつけて活用していくのか、ということなのである。