茅ヶ崎市役所産業活性化研究会/発想支援ワークショップの最近のブログ記事

先日、第82回日本社会学会全国大会が立教大学で行われ、僕も「地域と政治(地域社会・地域問題(1)」という部会で、「KJ 法を用いた自治体職員の事業立案過程の分析 ── 2008 年度茅ヶ崎市役所産業活性化研究会を事例として──」という報告をしてきました。

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jss/research/conf82_p.html


自治体職員の方のインフォーマルな勉強会の効果を、獲得した人間関係のネットワークとその分析から評価するという研究です。インフォーマルな勉強会の重要性は、ソーシャル・キャピタルやネットワーク論でもしばしば指摘されていることですが、その効果はなかなか定量化しにくいのですが、獲得した人間関係網の観点から扱って見ました。いろいろと有益なアドバイスをいただいたので、今後、属性データや年次データもあわせて、論文に仕上げていきたいと思います。最近、ライターや実践の人間だと思われている節もありますが、大学に籍を置く人間の本職である地道な研究もコツコツ行っています(笑)

今書いているいくつかの原稿でも言及しているけれど、地方自治体は、地域社会のなかで情報、資金、権限が集中している相対的に大きな組織である。そして、ひとつの「地域」に対して、いくつもの行政単位が重複して存在していてそれらが有機的に関係していることも興味深い。つまり、例えば僕が住んでいる場所は、大和市であり、神奈川県であり、最終的には国であり3重の行政単位が存在していて、業務内容によってそれぞれが「複雑に」(そして、このこともメリットとデメリットがある。)組み合わさっているのである。余談だけれど、これが、問題をその規模に応じた単位で解決していく、いわゆる「補完性の原則」の制度的な背景になっている。

地域活性化には、いろいろな単位で同時多発的な展開を行っていく必要があることは間違いないのだが、国は規模が大きすぎるし動きが基本的に遅いし、一部のNPOや社会企業は局所的な問題には強いがプロジェクトの広域展開が難しい(繰り返すが、いずれかのアクターが重要ではない、と言っているわけではない。同時多発的展開が重要。そして、可能性がある、ということは、現時点では十分に活用されていないということの裏返しでもある)。このような視点にたつと、地方自治体は絶妙なサイズなのである。さらに、地方自治体の職員の方が重要だと思うのは、ある種の「地域の全体像」や暗黙知をもっていることである。

地方自治体の職員の方はおよそ3、4年で部署が変わる。これにはしばしば批判されるように事業の継続性などで確かに問題もあるのだが、そのことによって「地域の全体像」のようなものを必然的につかんでいくことになる。よく考えれば、職員の方を除くと、「地域の全体像」や地域の暗黙知を把握している人間は、今では住民の中でも少ないのではないだろうか。茅ヶ崎市役所産業活性化研究会や「神奈川の恊働を推進する県民会議」など、ここ1年程縁あって自治体の職員の方とご一緒する時間が長いのだけれど、みなさん驚く程その地域のことを知っている。地域活性化を考えるときに、この職員の方の情報や暗黙知を活用しない手はないだろう。

若い職員には民間からの転職者も多いし、制度的にも実はいろいろとおもしろいことができる仕組みが存在していることが分かってきた。このような次第で、最近の主要な関心のひとつが、これら(地方自治体職員の方の暗黙知と地方自治体に存在する制度)を、どのように結びつけて活用していくのか、ということなのである。

茅ヶ崎市役所産業活性化研究会が再始動した。

茅ヶ崎市役所産業活性化研究会は、昨年度、課を越えて、0ベースから「魅力的な茅ヶ崎」を発信、創造していくために作られた茅ヶ崎市のプロジェクトだ。昨年度、僕と井庭先生がお手伝いさせていただいた。本年度〜来年度にかけて、モデル事業の実施などテストや審議を行いつつ、来年度本格的稼働していく。

今日は朝の渋滞にハマって遅刻してしまったが、このプロジェクトの成果をとても楽しみにしている。

行政批判、NPO批判、企業批判、いろいろな批判が存在するが、ただ批判を行うのは簡単である。難しいのは、オルタナティブをきちんと出していくことだろう。

もちろん、いろいろなプロジェクトには、成功するもの、失敗するものが出るはずだ。しかし、プロジェクトのアウトプットが失敗したとしても、そのプロジェクトを介して新しい人間関係のネットワークが形成されたとすれば、プロジェクト自体が「本当に」失敗と呼べるのかは自明ではない。

その意味では、いろいろなセクター、アクターで、多様なプロジェクトを創意工夫、試行錯誤していくことが重要だと考えている。

昨日、慶應義塾大学学生支援GPの今年度の最終報告会が行われた。

学生支援GPとは正式名称を「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」という文部科学省の取り組みで、次のような目的のもと始められたプログラムだ。

学生の人間力を高め人間性豊かな社会人を育成するため、各大学・短期大学・高等専門学校における、入学から卒業までを通じた組織的かつ総合的な学生支援のプログラムのうち、学生の視点に立った独自の工夫や努力により特段の効果が期待される取組を含む優れたプログラムを選定し、広く社会に情報提供するとともに、財政支援を行うことで、各大学等における学生支援機能の充実を図るものです。


慶應義塾の場合は、「卒業生と連携した地域協働型政策研究支援-フィールドワークと地域協働型政策研究支援プログラム-」というテーマになっていて、今年度は岐阜県大垣市、神奈川県茅ヶ崎市、沖縄県宮古島の三カ所でスタディツアーが行われたようだ。

昨日は、その最終報告会。縁あって、僕も井庭先生と行ってきた茅ヶ崎市役所でのKJ法などを用いた発想支援ワークショップ、産業活性化研究会という2つのワークショップと政策の実装に関する取り組みを報告させていただいた。幸い、多くの方々にコメントをいただき、まずまず好評のうちに報告を終えることができたように思う。

最近ちょっと忙しくてpptは当日ぎりぎりに作ったシンプルなもので、どちらかというとしゃべったことに意味があったような気もするのだけれど、一応資料としてアップしておきます。

学生支援GP最終報告会.pdf

先週の金曜日に、茅ヶ崎市役所の産業活性化研究会に出席しました。これは、以前4回に渡って行われた発想支援ワークショップから生まれた3つのコンセプトを、実際の政策として実装する方法と手法を検討する研究会です。

これから来年にかけて複数回に渡って開かれる予定です。茅ヶ崎市産業活性化研究会は、現存する具体的な問題の解決が中心の自治体の取り組みとしては珍しい、0ベースで「魅力的なまちづくり」に取り組む研究会です。しかも、課を越えた若手・中堅の職員の方々が中心となってコンセプトを実装する方法と手法を、製品開発などに用いられる発送法やプロジェクト・マネジメントの手法で検討します。今後、ますます自律的政策形成能力が必要とされてくる地方自治体の取り組みとして、先駆的な事例と言えるでしょう。成果が楽しみです。

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昨日、井庭先生と第三回発想支援ワークショップ@茅ヶ崎を行ってきました。

収束思考もいよいよ架橋にさしかかってきて、いよいよ次回が最終回となります。

ところで、僕らは5時半から初めて、9時前くらいに退庁したのですが、その際に、ふと茅ヶ崎市庁舎を見上げると、まだたくさんの窓にあかりがこうこうと灯っていました。

市役所の方は5時になると一斉に帰宅する、というようなステレオタイプな固定観念があったのですが、全然そんなことはなく民間企業顔負けにお仕事をされている方がいらっしゃるようです。

大変恥ずかしながら、そのような実態をあまり把握しておりませんでした。


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(写真は発想支援ワークショップの一風景)

昨日、井庭先生と茅ヶ崎市の職員のみなさんに対する発想支援ワークショップの第2回を行ってきた。基本の業務が終わる5時半から随分おそくまで、前回同様、大変熱のこもったワークショップになった。

このワークショップのファシリテートは井庭先生がやっていて、僕は完全に事前の打ち合わせやログ、写真等々主に裏方の作業をやっている。先生はここ4,5年ほどSFCで「コラボレーション技法ワークショップ」の授業をやっていることもあり、いわばこの種のワークショップのスペシャリストでもある。毎回、準備し、実際に間近で体験することにより、だいぶ前にコラボ技法のSAをやったが、それでも学ぶべきある種の暗黙知は多い。

ところで、これから地域、というか地方自治体は、地方分権や地方自治の文脈、地方分権一括法等を鑑みれば、自律的に政策形成やソリューション・メイキングをやっていかなければならないことが決定的だ。だが、よく考えてみればこうした事態は未曾有である。ノウハウの蓄積や前例があるわけでもない。その観点で考えれば、今回の発想支援ワークショップなどはもっと実施される必要があるはずだ。

茅ヶ崎市の先駆的な取り組みは、多くの地方自治体にとっても参考になるのではないだろうか。


一昨日、(株)スペース・オブ・ファイブ(http://www.spaceof5.jp/index.html)の新しいラボ(スペース・デザイン・ラボ)のキックオフイベントで「「ヒト」の設計から教育環境の設計へ」と題して20分ほどしゃべってきました。

簡潔にまとめれば、特定の能力を持った個人を、詰め込み教育によって設計する時代は終了し、これからは、学習者のインタラクションを生かして、多様かつ偶有的なコミュニケーションに触れながら、主体的かつクリエイティブに学習していける環境や空間を設計することことが重要になる、という内容です。

これらの内容は、先日はできませんでしたが、背景にハイエクの自生的秩序論やルーマンの社会的システム理論を持っています。また、7年間塾講師や家庭教師、大手予備校スタッフとして、初等中等教育の現場に接している実感にも裏打ちされています。

ところで、スペース・オブ・ファイブ社は、「頭の良い子が育つ家」のライセンスビジネスを中心として、異なる市場のニーズの組み合わせ(これこそ、イノベーション="新結合"?)で非常に興味深いビジネスモデル群を展開している刺激的な会社です。先日のイベントにも、美大やSFCを含む複数の大学の大学生や社会人、アーティスト、そしてスペース・オブ・ファイブ社の社員の方が集まった楽しいイベントでした。こういう場を積極的に提供できるベンチャーは、短期的な利益のみならず、長期的な視野を持っていて素晴らしいと思います。

先日の発想支援ワ−クショップ(http://web.sfc.keio.ac.jp/~ryosuke/tippingpoint/2008/08/post-101.html)の詳細とバックグラウンドを井庭先生がblogで紹介していました。→

「地域行政にもっと創造性(クリエイティビティ)を!」
http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/sb/log/eid86.html

ところで、井庭先生のblogはびっくりするくらい練られているのだけど、これは先生が本を書くのと同じプロセスで、blogを書いているから(!)だ。これは、blogにも関わらず、先生は速報性より、ひとつひとつの記事のクオリティをとても重視しているからだ。いつも読み応えのあるコンテンツになっている。

昨日、井庭先生と茅ヶ崎市の職員の皆さんに発想支援ワークショップをおこなってきた。僕は、主に事前のワークショップのデザイン面でお手伝いして、当日のファシリテーションは井庭先生がおこなった。

堅苦しいワークショップではなく、いわゆるIDEO的な、クリエイティブな発想支援ワークショップだ。政策も、製品開発もこれからは創造的であることが重要なのだ、ということを理解してもらえただろうか。

今回のワークショップにはいろいろな狙いがあるのだけど、そのなかの一つには、現場のことを良く知る若手、中堅職員の方がもっと豊かで柔軟な発想をすれば、もっとクリエイティブで魅力的な政策が生み出せるのではないか、というミドル・アップダウン・マネジメント的な問題意識がある。

ミドル・アップダウン・マネジメントという概念は、経営学で有名な『知識創造企業』のなかで提唱されている。現場と若手、中堅クラスの意見交換や往復によって、アウトプットを生み出すスタイルを指す。いわゆるトップダウンでも、ボトムアップでもなく、その中間にあたるだろうか。

このワークショップは単発の企画ではなく、これから3回に渡って継続的に行われる。茅ヶ崎市は、例えばクールビズにアロハシャツを取り入れていたり、湘南らしい豊かな発想力を持っている。それをうまく政策形成に引き出すお手伝いができれば、と思っている。是非、柔軟な発想によって、行政、住民、企業、NPO、大学の政策連係を実現し、ポジティブなソリューションを産み出していっていただきたい。

近々、井庭先生のblog、Concept Walk(http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/sb/)でも、話題にあがるだろう。是非、そちらも参照してほしい。

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