難しいバス

環境情報学部470050607 t00069ki 石原和音

私はバスに乗るのが不得意だ。バスに乗ることは、高度な前提知識が要求されるとても難しい行為だと思っている。最近は私も乗り慣れた路線ならば困難を感じる機会も減ってきたが、今でも知らない路線に乗ると、戸惑ったり失敗をしたりすることがある。このレポートでは、まず、バスが(私にとって)難しい原因を分析し、またそれらに対する解決策を述べる。

バスの難しさ

バスの難しさの原因は、2つの段階に分類できる。一つは不親切・不適切な表示の問題である。もう一つは、乗客や乗務員に対して、過剰な認知(認知システムの酷使)を要求することである。ここで2種類ではなく2段階としたのは、前者(表示の不備)を補おうとして、人間の認知システムを酷使する結果になっていることも多いからだ。この2段階の不備がどのように発生しどのように伝播しているか、それを以下で論じたい。

(このレポートではワンマンバスを想定している。また、地域によってバスの事情に差異があるかも知れないが、それは時間の都合により無視し、自分の経験の範囲内で書くことにした。以下では、)

(1) どのバスに乗ればよい?

まず最初の、バスに乗る前の段階でユーザーが躓くのは、どのバスに乗れば目的地に着き得るのか自明ではない、ということである。バス停に掲げられている路線図を見れば良いらしい、ということまでは分かっても、路線が沢山ある地域では「乗るべき」すべての系統を把握することは難しい。系統は普通23桁の整数で表されるため、場合によっては56個の整数を暗記して、列に並ばなくてはならない。しかし、これはなかなか困難なことである。それだけを覚えておけばよいのならまだ良いが、外出中なのだから考えるべきことは他にも沢山あるだろう。では、バスが来た時点でバスの表示を見て判断すれば良いかと言うと、それも上手くいかない。バスの側面に表示されている停留所のリストは完全なものではない。実際は停車するにもかかわらず表示しきれない停留所がいくつもあるのだ。

(2) このバスに乗って良いか?

次に深刻な問題は、ようやくバスが来たときにやってくる。バス停に客が待っていても、バスが止まってくれないことがあるのだ。(1)の問題により、乗客はそのバスに乗っても良いのかだめなのか、確信がもてない状況である。そのため、乗客は「乗ろうとしている」という仕草を直ちに明確に示すことは難しい。一方、運転手はバス停を通過する一瞬の間に、その乗客が乗ろうとしているのか見過ごそうとしているのかを判断しなくてはならない。しかし、乗客の仕草が曖昧な状況において、そのような一瞬の判断が常に正しく行える訳がない。その結果、不幸にもバスに乗せてもらえない客が出てくるのだ。更にこの問題は、エラーが適切に報告されないことによって更に悪化している。すなわち、乗客を乗せなかった運転手は、自らの判断が過っていたことに気づくことが出来ないのだ。

(3) 運賃はいつ払う?

バスに無事乗れた場合を考えよう。そのとき瞬時に判断しなくてはならないことがある。運賃は先払いなのか、後払いなのか、ということだ。これは明確に決まっている場合は良いが、場合によっては条件分岐がなされていて、認知を要求されることもある。さらに、後払いの場合は整理券を受け取ることになる。しかし「整理券なし」という整理番号(逆説的であるが)を受け取る(つまり何も受け取らない)場合もある。整理券があるのか無いのかは曖昧で、乗客は整理券があるかそれとも無いのか、車内を瞬時に見回して判断することが求められる。

(4) どこで降りる?

バスに乗った後、目的の停留所で降りなければならない。降りるためには、その停留所の手前で(適切な余裕をもって)降車ボタンを押さなくてはならない。慣れた所で降りるのならそれほど苦労は無いだろうが、問題は初めての停留所で降りる場合だ。一般に車内の表示では「次の停留所」しか表示してくれず、路線図も近くにはない。路線図があっても、関係ない路線図や大量の広告の中に埋もれてしまっていて、どれを見たらよいかさっぱり分からない。その結果、乗客は現在位置を必死で把握し続け、ボタンを押すタイミングを常に見計らっていることを求められるのだ。しかも問題なのは、車内の表示が嘘である場合だ。その車内の表示を唯一の情報源として降りる場所を決める乗客にとっては大問題である。これは単純に運転手の責任ということではなく、ワンマンバスにおいて運転手に過剰な認知が求められているということの裏返しでもある。現状では、運転手は安全な運転に気を配りつつ、車内の表示の操作とその表示が現在位置と同期していることを保証しなくてはならない。

(5) いくら払う?

最後は料金を払う段階の問題である。はたしてこのバスではおつりは出るのか、それとも正確な金額を入れなくてはならないのか。二人分支払う場合にはどうしたらよいのか、等を瞬時に判断せねばならない。これに手間取ると、バスの運行が遅れたりする。

解決のアイディア

(1)(2) を解決するには

停留所にはいくつかの旗を置き、それぞれの旗には目的地となる停留所の名前を書く。乗客は降りたい停留所の名前の書かれた旗を挙げておく。運転手はその旗を見て、その乗客が乗るべきかどうかを判断する。等価な情報システムを整備することも検討できるだろう。




(3)(4)(5)を解決するには

まず乗客は、バスに乗った時点で目的地を申告する。あらかじめ目的地を申請することで、その路線に慣れていない乗客でも、確実に目的地で降りることができる。バスに乗った直後に料金を支払う。支払いをすると、目的地と関連づけられたtokenが発行される。tokenは降車時に確認・回収される。