「課題研究3(日本とアメリカ)」

5. 政治(2)(5月21日)

  1. 政党制

    政党:市民革命後の近代国家において、国民の利益や意見と政府の定を結ぶ役割を果たす最も重要な政治集団。

    初めは、政権獲得のための私的な徒党と考えられたものが、次第に議会政治における正統的存在とみなされるようになり、E.バークは「公共の利益を促進するために、一致した原則により相協力する一群の人びと」と定義した。

    議会政治下における政党の機能は、争点や候補者を示すことによって国民を統合し、内閣を組織することによって政府の基盤となり、野党として批判することによって政治を公開することにあるとされる。

    政党政治:広義には政党を基礎にして行政部が組織されている政治をさすが、通常は議院内閣制の下での政治をいう。社会主義国家における一党独裁制を含まない。また、政党は存在しているが、行政部が政党を基礎としていない、いわゆる日本の超然内閣による政治なども含まれない。

    政党内閣:議会で多数を占めた政党または諸政党を基礎に成立した内閣。議院内閣制における内閣は、実質的に政党内閣である。日本では帝国議会開設以来、内閣は藩閥官僚の手中にあり、「超然内閣(憲法運用上内閣は政党に左右されず、不偏不党を堅持すると主張し政党内閣を否認)」といわれた。

    最初の政党内閣は1898年の第1次大隈重信内閣。本格的な政党内閣は憲政擁護運動(第1次)の後1918年成立の原敬内閣。加藤高明内閣から犬養毅内閣まで、衆議院の多数党が内閣を組織することが慣例となったが、五・一五事件以後第二次大戦後まで政党内閣は出現しなかった。

  2. 日本の政党

  3. アメリカの政党

    共和党:民主党と並ぶ米国の大政党。1854年カンザス・ネブラスカ法制定を機に奴隷制反対の地方政党が各州に成立、56年これらが統一して現在の党が成立した。60年リンカンが大統領に当選してから急激に発展、南北戦争中から産業資本主義を促進。19世紀後半〜20世紀初期にはほとんど政権の座にあったが、保守的傾向が強まり、1929年の世界恐慌以後はニューディール政策を採った民主党に主導権を奪われた。53〜61年アイゼンハワーが政権を握り、また最近はベトナム戦争や国内問題の深刻化により勢力を回復、68年にニクソンが大統領に当選、74年ニクソンがウォーターゲート事件で辞任に追い込まれ、代わって大統領に就任したフォードも、76年民主党のカーターに敗れ、共和党政権は8年で終わった。しかし80年にはレーガンがカーターを大差で破り、84年再選された。88年にはレーガンのもとで副大統領を務めたブッシュが当選したが、92年民主党のクリントンに敗れた。外交政策は孤立主義的、州権主義的で議会内でしばしば南部民主党と提携する。

    民主党:米国の政党。建国当初のジェファソン支持派が源流。1820年代にジャクソンを中心に形成され、29〜61年の間ほとんど政権を独占。共和党の出現と奴隷制をめぐる南北対立で党が分裂し、南北戦争後は沈滞。20世紀に入って勢力は復活。第一次大戦後のニューディール政策以来、都市勤労者と結びつき、1933〜53年にわたりF.ルーズベルトおよびトルーマンの大統領時代に、内政改革、第二次大戦指導、戦後処理で地位を確立。61〜63年ケネディ大統領がニューフロンティア政策を主唱。63〜68年ジョンソン、77〜80年カーター、92年からクリントンが民主党の大統領を務める。連邦主義的・中央集権的で、国際協調政策をとっている。

  4. 圧力団体政治

    議員:国家代表か、地域代表か。

    圧力団体:プレッシャーグループの訳。政府や政党に圧力をかけて自己の利益を擁護しようとする社会団体。労組、農民団体、婦人団体、財界など。今日の日本では地方公共団体もはいる。現代社会特有のもので、公共の利益の立場から、政党政治を危うくするものとして問題視されることもある。

    ロビイスト:議員が院外者と面会する控室lobbyをおもな舞台として、特定の圧力団体の利益のために議会に働きかけ、請願や陳情を仲介する院外運動団体の運動員。米国の議会用語として生まれ、各国でも用いられている。立法、法制、議会運営等に精通した者が多く、しばしば腐敗政治の源泉ともなるので、米国では1946年連邦ロビイング統制法が制定され、ロビイストは上下両院事務局に登録することが義務づけられた。

    族議員:特定の政策分野について、フォーマル、インフォーマルにかかわらず、強力な影響力を持つ議員。

    鉄の三角関係:共通の利害によって結びついた利益(圧力)団体、行政、議員の間の強固な関係。

    NRA(National Rifle Association:全米ライフル協会)

    会員350万人。憲法修正第2条「よく統制された民兵は、自由な州の安全に必要であるから、人々の武器所有・携帯の権利は侵されてはならない」

    アメリカには2億丁を超える銃器。キング、ケネディが暗殺された1968年に連邦銃規制法が発効。94年にはブレイディ法(短銃規制法)が発効。

  5. 政党と選挙
    1. ダウンズの説明

      有権者の分布と投票行動

    2. 選挙制度

      1. 大選挙区制

        一選挙区から複数の議員を選出する

      2. 中選挙区制

        大選挙区制の一種。一選挙区から3人ないし5人の議員を選出する。1925年から1994年以前の衆議院議員選挙(1946年を覗く)

      3. 小選挙区制

        一人一句制。国の全域を総定数に等しい数の選挙区に分割する。

        メリット
        1)二大政党制を実現しやすい
        2)候補者をよく知った上で投票できる
        3)候補者の乱立が防止される
        4)選挙費用が縮減できる

        デメリット
        1)政治に反映しない大量の死票が出る
        2)各地域の個別的利益が優先され、国全体の視野に立った意見が政治に反映されにくい
        3)選挙に買収などの不正行為が多くなる

      4. 比例代表制

      5. 小選挙区比例代表並立制

      6. 小選挙区比例代表併用性