モンテスキュー『法の精神』
フランスの哲学者、法・政治学者、啓蒙思想家。『ペルシア人の手紙』によって、自由思想家として、時の絶対王制を批判、フランス革命の思想的基盤を形成。
『法の精神』。1748年ジュネーブで匿名出版。近代公法学の画期的著作。三権分立と立憲君主制を主張、法律制度については地理的・社会的条件を重視、のちの社会学的研究の先駆となった。
立法の原理を各国の政体、習俗、風土、宗教、商業などとの関係において考察し、各国にそれぞれ適切な政治形態の存在しうることを示唆した後、フランスのような文明国民には政治的自由が必要であるから、英国の制限君主制が望ましいとして三権分立論を説く。
三権分立とは、国家意思の決定と運用について、立法・行政・司法の3部門を定め、これをそれぞれ独立の機関たる議会・政府・裁判所にゆだねて、権力が一ヵ所に集中するのを防ごうという思想あるいは制度。
絶対主義国家の専制を打ち破った市民国家においては、国家構成の基本的原理として、ロックやモンテスキューらによって主張された。現代の具体的な型として、かなり厳格な三権分立を貫く米国型と、立法権と司法権が結合した議院内閣制の下で議会が最高機関であるとする英国型とがあり、日本は両者の混合型。
権力は腐敗する
人が生きる規範としての法律
人が生きる基準としての法律
警察
社会公共の秩序を維持し、その障害を除くために国の統治権に基づき国民に命令強制を加え、その自然の自由を制限する行政上の作用、組織。警察法上の警察の概念はこれと少し異なり、個人の生命・身体・財産の保護、犯罪の予防・鎮圧・捜査、被疑者の逮捕、交通取締り、公安の維持などに当たるものとする。
国家公安委員会の管理の下に警察法に定められた警察制度の企画・調査、国の公安に係る警察運営、緊急事態に対処する計画とその実施、幹線道路の規制、皇宮警察などの警察事務を主管する警察の中央機関。1954年設置。警察庁長官は国家公安委員会が内閣総理大臣の承認を得て任命。
東京都にだけ置かれる都警察の本部。都公安委員会の管理の下に都警察の事務を統括し、長を警視総監とする。1874年内務省の下部機構として設置されたのが起原。戦後内務省廃止で改編。1947〜54年旧警察法当時には大阪市の自治体警察本部も警視庁と呼ばれたことがあった。
検察官が行う事務(犯罪を捜査し、公訴を行い、刑の執行を監督する等)を統轄する役所。最高検察庁・高等検察庁・地方検察庁・区検察庁があり、最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所に対応して置かれる。
裁判
具体的な争訟を裁判権に基づいて解するために、裁判所または裁判官が行なう法的判断の表示。その形式の点で、判・定・命令の3種がある。しかし、訴訟そのものをさして裁判という使い方もする。裁判の対象となる争訟により、民事訴訟、行政訴訟、刑事訴訟に分かれる。
一国の裁判所が裁判のために人または事件に対して行使できる権限。対象となる事件の種類により、民事裁判権・刑事裁判権・行政裁判権などに分かれるが、内容的には、当事者を裁判へ拘束すること、証人・鑑定人の呼出・尋問、債務者への強制執行など、広い権限を含む。人的には、日本国内にいるすべての人に及ぶのが原則であるが、治外法権を有する者には及ばない。
具体的事件につき裁判権に基づいて裁判を行なう機関。日本には、憲法で設置された最高裁判所と裁判所法(1947)による下級裁判所とがあり、後者は、さらに高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所に分かれる。その他の特別裁判所は認められないが、憲法上の例外として、裁判官に対する弾劾裁判所が国会に設けられている。しかし、訴訟法で裁判所というときには、具体的事件を審理裁判するための1名または数名の裁判官で構成される裁判機関をさす場合が多い。なお、国際社会の裁判所としては国際司法裁判所がある。
裁判所において裁判事務を担当する特別職の国家公務員。最高裁判所長官・最高裁判所判事・高等裁判所長官・判事・判事補・簡易裁判所判事の6種があり、任命の資格・方法は、憲法、裁判所法(1947)などに定められている。裁判官は法と良心のみに従って裁判を行なう(憲76III)。この「司法権の独立」を保障するために、裁判官は強力な身分保障を与えられており、弾劾裁判所の罷免の裁判、最高裁判所裁判官の国民審査、心身の故障のために執務できないと裁判により定された場合を除いては、罷免されない(憲78、79)。
当事者などの依頼または官公署の委嘱によって、訴訟事件・非訟事件その他に関して法律事務を行なう者。弁護士法(1949)に定めがある。弁護士となるには、原則として司法試験合格後に司法修習生の修習を受け、日本弁護士連合会の弁護士名簿に登録されることが必要である。もと代言人と呼ばれた。
行政
国民全体の奉仕者として、政府の命じるところにしたがって政策の実現をすること
村松の「最大動員」論
最大動員:「規制による責任志向の管理」に対する「目標による能率志向の管理」。個人の権限と責任を明確にするよりも、全体としての能率を追求←組織内リソースの利用、行政周辺での支援組織の設置、支援体制(業界とのネットワークなど)の構築
官僚という人々
官僚は何を目指すか(威信と物理的報酬)。国作り?出世?天下り?権力?(政治家は再選?)
議院内閣制の国では内閣が予算原案を作成するため、法案や予算編成を国会や政党が直接行うのではなく、大蔵省や諸省庁が原案作りを行い、これが内閣を経由して国会に提出される。
組織内で異なる意見を持つ下位者をコントロールする主要な手段は、人事権が情報力(言いかえれば決定権)である。
『踊る大捜査線』:情報が流れないのは、上から下か、下から上か?
日本の行政の特徴
漸増主義(ぜんぞうしゅぎ):インクレメンタリズム
秘密主義→情報公開
大部屋主義
広い管轄に少ないリソース
護送船団行政
中央と地方の依存関係
財政と人材
地方分権と市町村合併
市民
歴史的には中世の貴族・僧侶の支配する封建社会を倒し、市民革命(ブルジョア革命)や市民社会のにない手となったブルジョアジーや商工業者をさす。今日では都市住民一般をいうほか、このような歴史的市民に似た自主的な政治参加の行動様式をもつ人間をさしていう場合もある。なお古代ギリシアやローマおよび中世西欧都市において市民と呼ばれるものは、自由民の身分でなんらかの政治関与権をもつ共同体の成員をいう。
日本国民と政治参加
投票率
お上意識
村松岐夫『日本の行政』(中公新書、1994年)