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2006年03月16日

CC裁判

どうやらオランダで(おそらく世界最初の)クリエイティブ・コモンズに関連する裁判の判決が出たようだ(オランダ語の判決文はこちら。理解できないけどね)。

ある有名人がflickr.comで、クリエイティブ・コモンズのAttribution-Noncommercial-Sharealikeライセンス付きで家族の写真を公開したところ、ゴシップ誌が事前に許可を得ずに掲載してしまった。問題の写真には、「this photo is public」と書かれていたため、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが付いているのに、雑誌社はパブリック・ドメインと勘違いしたようだ。

この裁判の意義は大きい。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが有効であることを裁判所が認めた(おそらく初めての)判例となるからだ。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが安心して使えるものであることを示したといえるだろう。

【追記】
CCからプレスリリースが出た。

2005年06月26日

CCサミット

20050625icommons.jpg

ボストンでクリエイティブ・コモンズのサミットに出ている。15カ国の担当者が参加している。各国から複数来ていたり、スタッフが加わっていたりするのでけっこうな人数だ。

ステッカーをもらったので、パワーブックは写真のようになった。レッシグ教授の影響か、パワーブッカーがやたらと多い。

組織変更や新しいプロジェクトが発表されたので、CCJPのサイトで報告していくつもり。サイエンス・コモンズの本格化もおもしろそうだ。

アジア各国との連携も進みそうだ。アジアから来ているのは、韓国、中国、台湾、マレーシア、フィリピン。

初日の最後は、チャールズ・ネッソン教授の家でホーム・パーティー。いやあ、いい家だなあ。ハーバード教授の稼ぎはいいのかなあと下世話なことを考える。

レッシグ教授は最初の本(たぶん『CODE』のこと)をネッソン教授に捧げたと言ったところ、ネッソン教授は「私がそうしろと言ったんだ」と冗談を飛ばしていた。その辺のかけあいがおもしろい。それにしてもネッソン教授の講演は、ロースクールのソクラテス方式の授業みたいで、一番前に座っていた私は当てられるのではないかとビクビクしてしまった。

2005年04月03日

同人誌文化見学

ロージナ茶会のメンバー二人にガイドになっていただき、秋葉原の同人誌文化を見学してきた。いやはや、アナザー・ワールドに入った気分だった。

既存のクリエイティブ・コモンズのライセンスでは同人誌文化をサポートできないというのもよく理解できた。私にとって大きな発見だったのは、同人誌文化がやっているのはコピーではなく、エミュレーション(模倣+α)だということだ。薬師寺泰蔵『テクノヘゲモニー』で示されたエミュレーション・ダイナミクスは科学技術だけでなく、文化芸術にも適用可能な一般法則となる可能性がある。

重要な論点を教えてくださったロージナ茶会のお二人と、一緒に回ってくれたみんなに感謝。

2005年03月19日

reform + remix

lessigdoctrowsmall.jpg

O'ReillyのEmerging Technology Conferenceをのぞいてきた。最終日だけだったがとてもおもしろかった。ギークがうじゃうじゃいて、すぐに床に座り込んでラップトップをあけてしまう光景は、サンフランシスコの会議ではありえなかった。いいね。それにしてもPowerBook人口が多すぎる。きわめて特殊な集団だ。

いろいろおもしろい話が聞けた中で、メインはレッシグ教授。20分弱の短いプレゼンテーションだったけど楽しめた。法律のreformが1年前と比べると強く強調されている。文化はremixだというのも新しい言い回しのような気がする。写真は、プレゼンテーションの後で壇上でEFFのCory Doctorowと対話しているところ。CoryはCCライセンスをつけた小説を出版して成功している(Coryには2年前に会いにいったことがあるが覚えてもらっている自信は微塵もない)。

帰りがけにちょこっとレッシグ教授と話すことができたが、宿題が出たので、帰国してからがんばらなくては。しかし、レッシグ教授がTim O'Reillyを紹介してくれたのはいいのだが、いきなり紹介されても何を話していいのか分からないよ(だいぶ年くったなあというのが感想)。

2005年03月09日

『クリエイティブ・コモンズ』

cccover.jpgクリエイティブ・コモンズ・ジャパン編、ローレンス・レッシグ+林紘一郎+椙山敬士+若槻絵美+上村圭介+土屋大洋『クリエイティブ・コモンズーデジタル時代の知的財産権』(NTT出版、2005年)

【帯の口上】情報やコンテンツがインターネットの普及によって爆発的な広がりを持つことが可能となった現在、「コピー=悪」のままでよいのか? デジタル時代のあらたな情報共有の形を、世に問う。

1年以上かかったけどようやく出せた。目玉は2003年12月のGLOCOMフォーラム2003でのレッシグの講演録。

2005年01月16日

プログ

授業が一通り終わったものの、たまった仕事が終わらず、あちこちにごめんなさいメールを出しまくっている。締め切りを守るのだけが私の取り柄だったのに、最近は連戦連敗だ。本当に申し訳ない。

授業は一方で楽しみながらも、やはり負担といえば負担。つくづく向いてないと思う。苦手意識が抜けず、授業が迫ってくると準備で他の仕事ができなくなって締め切りを守れなくなっていく。来年度はましになるのだろうか。三つも新しい授業をやるから無理だろうな。

ところで、昨日、ある研究会で加藤文俊先生と隣り合わせになった。なんと加藤先生はパワー・ポイントを捨てたそうだ。パワー・ポイントはいくらスライドに情報を載せても相手には伝わっておらず、リンカーンの演説をパワー・ポイントを使ってやったらちっとも伝わらなかったとか。

それで、最近、加藤先生はプレゼンテーションをはがき大のカードでやっている。おまけにPOSTプロジェクトというのも始めていて、「プログ宣言」まで出している(「ブ」じゃなくて「プ」)。

これにクリエイティブ・コモンズが応用できそうな気配。コラボレーションができるといいなあ。

2005年01月08日

クロアチアでCC

クロアチアでもCCが導入され、イベントがあるようだ。

dear icommoners,

on Jan 14 we're launching Croatian licenses. To mark and publicise the launch, we're organizing "Freedom to Creativity!" - a free culture festival with a plethora of public domain and open content works and producers (mostly local, some international).

the announcement and programme can be found here:

http://www.slobodastvaralastvu.net/FrontPageEn

best,
tom

2004年12月30日

CCライセンス付き年賀状

年賀状書きは私にとってはけっこう重荷だ。毎年間に合わない。今年もまだ書いていない。誰かCCライセンス付きの美しい年賀状のデザインを公開してくれないだろうか。

2004年12月18日

ブルガリアのCC

ブルガリアもクリエイティブ・コモンズ採用の準備ができたそうだ。

Hi.

Just a brief note that Internet Society - Bulgaria has finished the work on the Bulgarian version of the CC license. The public comments period ended Dec. 10th, and we expect translation of the Bulgarian version before Christmas. It will be sent to Christiane immediately after that for a review.

We expect official launch to take place in the second half of January. As soon as we have details, I will let you know.

Best,
Veni Markovski
www.isoc.bg

2004年12月07日

オーストラリアのクリエイティブ・コモンズ

世界各国でクリエイティブ・コモンズが立ち上がっているのでレッシグ教授は忙しそうだ。来月18日と19日にはにはオーストラリアのイベントに参加するようだ。案内参加申込書が届いている。私も行きたいが、日程的には難しい。

2004年10月12日

政府機関がCCを使う

ショージさんが、この一つ前のエントリーにコメントしてくれたように、経済産業研究所が「e-Life」というブログを始めた。政府機関がブログを始めたというのはおもしろい。それにもまして、政府機関がクリエイティブ・コモンズのライセンスを使っているという点がおもしろい。考えてみれば、経済産業研究所はずっと前からクリエイティブ・コモンズのライセンスを使ってくれていた。実は、ここ数日、世界中のクリエイティブ・コモンズの国際化プロジェクトのリーダーたちの間で、「政府がクリエイティブ・コモンズを使っている例はある?」という質問が出ていた。ここにその例があったんだ。

2004年10月11日

政治とIT

Lessig Blog (JP)で紹介されていた政治批判の動画。今回の米国大統領選では、政治を風刺する歌や動画がたくさん出てきているのが特徴だろう。新聞の風刺漫画を見る人の方がまだ多いだろうが、インパクトは動画の方が大きいのではないか。

JibJabの「My Land」もおもしろかった(こちらはついにDVDを売り出したらしい)が、新作「Good to be in DC!」もおもしろそうだ。しかし、エラーが出て見られない。

レッシグ教授が昨年日本に来たときに紹介していた「Read My Lips」シリーズは、少なくともオリジナルのあったスウェーデンのサイトからは消えてしまったようだ。残念。

日本でもフラッシュを使った動画のコミュニティが出てきているが、政治風刺ものはあるのだろうか。

2004年10月07日

ケースブックにクリエイティブ・コモンズのライセンス

同僚の國領二郎先生が講義で使うケース・ブックにクリエイティブ・コモンズのライセンスをつけて配布を始めた。非営利利用についてはクリエイティブ・コモンズのライセンスが適用され、営利利用については指示に従って利用料を払うという仕組みだ。いいアイデアだ!

http://case.sfc.keio.ac.jp/cases/20040001kijo.pdf
http://case.sfc.keio.ac.jp/cases/20040002uservice.pdf

ネットワーク社会論の講義シラバスの第4回からリンクされている。ライセンスの詳細はこちら

2004年10月05日

Free Music Culture

HotWired Japanで「音楽を創り、共有する楽しみ──GarageBandとクリエイティブ・コモンズ」という特集をやっている。クリエイティブ・コモンズを使ったミュージシャンがどんどん出てくると楽しいなあ。

2004年09月25日

CC展開中

日本が先駆けたクリエイティブ・コモンズの国際版iCommonsはどんどん展開中。たまったメールを整理していたら、オーストラリア、スペイン、カタルニア(スペイン北東部)がライセンスをリリースするらしい。カタルニアのように国家の中の一地域がリリースするのは初めてではないかなあ。

2004年09月21日

CC-JP iSession Creative

charlieさんがccjpの下でCC-JP iSession Creativeを始めた。ここには日本発信の情報も載るし、アメリカのクリエイティブ・コモンズのブログを翻訳したものも載る(こっちは三山さんが多大な貢献をしてくれている)。クリエイティブ・コモンズ・ジャパンも次の段階に入った。是非ごらんあれ。

2004年09月17日

おいおい、FCCよ(3)

レッシグ教授にもたれ込んでしまった。すぐに返事が来た。内容は内緒。

2004年09月16日

おいおい、FCCよ(2)

某新聞社はFCCに取材をかけているそうだ。FCCのコメントが楽しみだ!

おいおい、FCCよ

ここここで話題になっているFCCのドラえもんもどき。そりゃないだろ、FCCよ。誰かレッシグ教授にたれ込んだほうがいい。私は某新聞社にたれ込んでおいた。

2004年07月06日

100万冊の本、出前します。

100万冊の本、出前します。「本とコンピュータ」

ここでインタビューされているブルースター・カールはすごい人で、もっと知られてもいい。CFP2004のトリで講演していたが、拍手大喝采だった。彼のインターネット・アーカイブはクリエイティブ・コモンズを活用している。

2004年07月03日

本の表紙の著作権

自分の本の表紙をホームページに載せることがある。しかし、自分の本といっても厳密に著作権を持っているのは文章の部分だけであって、表紙の部分は装幀家が作ったものだから彼らが著作権を持っている。だから、自分のホームページで本の表紙の画像を付けて、自分でマルCマークを付けると厳密にはアウト。

しかし、出版社の編集者に聞いてみると、「そんなの構わないからどんどん載せてよ」とのことだった。まあ、載せるのはいいけど、マルCマークやCCのライセンスを付けるのは難しいということかな。

2004年06月23日

コモンズ=共有地?

公文俊平『転換期の世界』(講談社学術文庫、1978年)を読んでいたら、コモンズの話が出てきた。

コモンズ(commons)ということばのもともとの意味は、中世の大学などのような共同生活者の集団において、共同の食卓に提供される食事のことである。各人は、それを好きなだけ食べることができる。だから”コモンズ”にはもともととくに”土地”という意味合いはなく、むしろ私が定義した意味での「共用財」に最も近い。ただし、[ガレット・]ハーディンは、共同放牧場や公道を、その典型例とみなしている。つまり、実質的には、「共用財」は”資本(個物)”よりは”土地(場所)”にあたるものの方が多いと思われる。なお、ハーディンは、全体としての”国土”あるいは”地球”をもコモンズの一例としてあげている。

なるほど。そういうことだったのか。

宣伝媒体としてのWinny

作者逮捕で話題になっているWinny。実は使ったことがないのでコメントできない。

昨日、あるベンチャー企業の社長に会ったら、Winnyは宣伝媒体として非常に優れていると力説していた。実際、大規模な宣伝を打てなかった音楽や動画をWinnyを使って流したことで、はっきりと宣伝効果が現われたそうだ(社長自ら流したらしい)。

Winnyで流れるコンテンツにクリエイティブ・コモンズのライセンスがついたものがたくさん出回ればいいのに。

2004年06月13日

レッシグ教授インタビュー

NTTインターコミュニケーション・センターの季刊誌『InterCommunication』でドミニク・チェンさんがレッシグ教授にインタービューしているのを発見。3月のシンポジウムの報告も少し出ている。

2004年06月01日

サン・マルコス大学

ペルーの東大にあたるサン・マルコス大学を訪問する機会があった。ここは国立大学で、授業料は完全無料だそうだ。入学はとても大変らしい。

ここのサイバーローの講義に招かれた。一緒に出張しているHさんが簡単に日本の情報通信政策を説明して、私は質疑応答に参加した。その中でクリエイティブ・コモンズについても説明したのだが、「何の話をしているの?」という顔をしていた。

パラパラと教室を出て行く学生もいたからつまらなかったのかと思ったが、終わった後に数十人に囲まれて質問攻めにされた。「ウェブからとった写真を使って訴えられるのはおかしいじゃないか」と講義する学生もいたけど、議論できておもしろかった。途上国(ペルーは途上国脱出中だけど)の学生は真摯だなと感動した。

2004年05月24日

ヨーロッパのクリエイティブ・コモンズ

ベルリンでクリエイティブ・コモンズのドイツ版を担当しているRoland HonekampとGerd Hansenに会った。彼らの話によると、今日(5月24日)フィンランドがライセンスをリリースし、来月にはイギリスとドイツがライセンスをリリースするそうだ。iコモンズの動きが加速してくる。

ドイツの話を聞いていると、隣接権や人格権、パブリック・ドメインなど共通の問題が浮かび上がってきている。日本法はドイツ法を参考にしたのだから当然か。

2004年04月27日

レッシグ教授とのオープン・ミーティング

http://www.hotwired.co.jp/matrix/0404/006/
http://www.hotwired.co.jp/matrix/0404/007/

レポートが掲載されました。

2004年04月24日

Internet Archive

Internet Archive、こいつはすごいプロジェクトだ。人類のすべての知識にユニバーサルにアクセスできるようにするという。(今のところアメリカ中心だけど)全世界の出版・公表された本、音楽、映像、ソフトウェア、ウェブページを収集して公開している。

クリエイティブ・コモンズのライセンスは使ってないけど、思想は知っているらしい。CFPのとりで講演したBrewster Kahle氏は、レッシグ教授に言及していた。

2004年04月16日

レッシグ教授がFSFの理事に

レッシグ教授がFSFの理事に

SYさんが教えてくれた。

もともとコラボレーションしていた二人だけど、レッシグ教授の新著『Free Culture』の前書きではFSFのストールマンのことをたくさん書いている。より関係が密接になったということかな。

2004年04月06日

設計図の著作権

知人から聞いたのだが、家を建てる時の設計図は著作権を無視して使われることがあるらしい。例えば、大手の住宅メーカーに行って相談に乗ってもらう。その過程で設計図を書いてもらう。しかし、そのメーカーに建築は依頼せず、別の工務店に設計図を持ち込んで家を建ててもらうということがよくあるらしい。

下記のリンクにもあるように、著作権上は明記されていないが、設計図にも、建築物にも著作権がある。

http://www.jia.or.jp/activity/s_committee/kensetu_jia/2003/05_cals.htm

建築業界では著作権に関してルーズな慣行があるのだろうか。

いい建築物や家具などいろいろなものの設計図にクリエイティブ・コモンズのライセンスを付けてくれればいいのにと思う。文章や絵の複製というのも重要だが、設計図に基づいて何か作ってみるということもまた、クリエイティビティを刺激する営みだと思う。

2004年04月02日

Linux-magazine

http://www.linux-magazine.com/issue/42/Linux_World_News.pdf(pdfファイル)

Linux-magazineにクリエイティブ・コモンズの日本での活動について紹介記事が出た。「日本ではブログに使われている例が多くて、大手が商用利用している例はあまりない」とやや否定的に書かれてしまったので少し反省。メディアへのコメントは難しい。