平野義太郎「南進據點としての南洋群島」

平野義太郎「南進據點としての南洋群島—最近の南洋・フィリピッン情況を視察して—」『太平洋』第4巻8号、1941年、2〜17ページ。

 これも同じような趣旨のもの。

南洋群島の外南洋とは、セレベス以東の南太平洋である。パラオに南洋廳を置いた先覺は確かに明があった。濱田中將の「成長の尖端」がすなはちパラオである。

 平野義太郎はマルクス主義法学者だったそうな。

 濱田中將とは何者だろう。

平野義太郎「太平洋制覇戰におけるハワイ・グアム・比島攻撃の意義」

平野義太郎「太平洋制覇戰におけるハワイ・グアム・比島攻撃の意義—故加藤寛治大将を憶ふ—」『太平洋』第5巻1号、1942年、37〜49ページ。

 戦時中、日本が太平洋をどう考えていたかが分かる。

アメリカは支那・蘭印を支配せんがために、太平洋を制覇せんとする野望を懐き、ハワイ、ミッドウェー、ウェーク、グァムから比島に出る中央侵略路線、アラスカのダチハーバー、アリューシャン列島キスカよりする北方路線[、]ハワイ、パルミラ、フェニックス、サモア、ニューギニアよりする南方路線上に莫大な經費を使つて軍事根據地を構築し、われら大東亜共榮圏の建設を破壞せんとした。だから、この米國攻勢に對して、我が日本は自存自衞、そして大東亜共同防衞のために、決然、蹶起してこの米英の侵攻據點と軍事基地とを撃滅しつゝある。

 勇ましい。旧字体は面倒くさい。

鈴木經勳「明治十七年マーシャルに使して」

鈴木經勳「外交秘話 明治十七年マーシャルに使して—ヤルート三十二島占領の思ひ出—」『南洋群島』第2巻4号、1936年、32〜39ページ。

 後藤象二郎の息子である後藤猛太郎と一緒にマーシャル諸島に行った外務省翻訳官のインタビューを再構成したもの。なかなかおもしろい逸話が盛り込まれている。

佐賀健二「アジア太平洋地域における電気通信政策の現状と課題」

佐賀健二「アジア太平洋地域における電気通信政策の現状と課題」『亜細亜大学国際関係紀要』第1巻1号、1991年、117〜149ページ。

 まだインターネットが世の中に普及する前の論文なので、インターネットは一言も出てこない。また、「太平洋地域」とあるが、取り上げられているのはニュージーランドとオーストラリアで、太平洋島嶼国は出てこない。パラオはまだ独立もしていない。

 メイトランド委員会によるThe Missing Linkの背景が書いてあるのはありがたい。この報告書はもう一度読み直したい。

 また、結論部分で、BOT(Build, Operation and Transfer)方式を活用せよと提言してある。この論文後の20年間で実際にどうなったかは検証に値するだろう。

 「先進国の電気通信市場にますます民間資金が集中し、開発途上国に資金が回らないこと」が懸念されているが、この傾向はいまでも続いている。

佐賀健二「わが国のIT国際協力」

佐賀健二「わが国のIT国際協力—戦略の動向と展望—」『ITUジャーナル』第34巻3号、2004年3月、43〜47ページ。

 2000年の沖縄サミットの際に日本政府は150億ドルの支援を明言したが、実際にはそれほどの規模で行われることはなかった。

問題は、包括的協力策を発表して以来、わが国が具体的なIT国際協力戦略と行動計画を持っていないところにあるのではないか。

 これ以降もどんどん日本のIT国際協力は減少してしまっている。得意分野のはずなんだけどなあ。さらに、

わが国の伝統的なODAの枠組みは、ODAやOOFを活用したIT分野の国際協力の実施に適合しないものがある。

という指摘もされている。

Republic of Palau, 5-Year ICT Plan

Republic of Palau Communication Information Technical Advisory Group (CITAG), 5-Year ICT Plan, January 2003. (LOC Call Number: HC 79.I55 P35 2003 Copy 1)

 オンラインで見つからなかったので、TPRCの合間に米国議会図書館でコピーしてきた。閉架式なので出てくるのに2時間半もかかった。

 海底ケーブルについては

Review, make recommendation and identify potential funding sources for connecting the Republic of Palau to an appropriate international fiber optic cable (p. 2)

としか書いてない。私が考えすぎなのか、パラオの認識が甘いのか。国際回線を確保しないで国内の話をいくらしても意味ないんじゃないだろうか。これを書いた人にインタビューしてみたい。S先生はアドバイザーだったのだろうか。

廣瀬淳子「アメリカ連邦公務員の天下り規制」

廣瀬淳子「アメリカ連邦公務員の天下り規制―オバマ政権の倫理制約に関する大統領令―」国立国会図書館調査及び立法考査局編『外国の立法』第241号、2009年9月、3〜7ページ。

 これも大統領令に関する論文。オバマ大統領が就任初日に出した大統領令について。

廣瀬淳子「大統領記録の公開」

廣瀬淳子「大統領記録の公開―大統領記録法とオバマ政権の大統領記録に関する大統領令―」国立国会図書館調査及び立法考査局編『外国の立法』第240号、2009年6月、76〜79ページ。

 これも大統領令に関するもの。

紙野健二「アメリカにおける総合調整の法的検討」

紙野健二「アメリカにおける総合調整の法的検討—大統領命令12291号をめぐって・1—」『法律時報』第59巻3号、1987年、65〜70ページ。

紙野健二「アメリカにおける総合調整の法的検討—大統領命令12291号をめぐって・2—」『法律時報』第59巻5号、1987年、83〜92ページ。

紙野健二「アメリカにおける総合調整の法的検討—大統領命令12291号をめぐって・3完—」『法律時報』第59巻7号、1987年、60〜64ページ。

 アメリカの大統領令(大統領命令、行政命令)についての論文。レーガン大統領が出した12291号について検討。

 その1論文の67ページが大統領令の理解に役立つ。

 大統領は憲法または制定法にもとづいて一定の立法的作用を行う。通常これらは、大統領命令と大統領布告(Presidential Proclamation)とに大別されるが、要するに大統領命令とは、大統領がそのようなものとして制定公布するものをいうにすぎない。右のいずれも1935年の連邦公事録法により連邦公事録に記載される。大統領命令は、号数によって呼ばれるが、それは1907年以降のことにすぎず、またその数字すら右以降の正確な件数を示しているわけでもない。また、後者が大統領の政策表明の際の規範形式であるのに対して、前者は法的拘束力を有するものといわれることがあるが、実際には大統領命令の内容と法的性格は多岐にわたり、両者の区別は画然とはしていない。

 あの番号はいい加減だったのか。

 しかし、法律の論文というのは長いよなあ。

廣瀬淳子「オバマ政権の大統領行政府とホワイトハウスの機構」

廣瀬淳子「オバマ政権の大統領行政府とホワイトハウスの機構—アメリカにおける行政機関の再編—」国立国会図書館調査及び立法考査局編『外国の立法』第246号、2010年12月、3〜6ページ。

 アメリカ大統領は立法に頼らず大統領令によって勝手にいろいろなことをやってしまうのが不思議で、関連する論文をいくつか集めた。その最初。

 論文としては短いが、後ろに関連法規の訳文が載せられているので便利。

 大統領はかなりホワイトハウスの機構については裁量権を持っているようだ。

福島康仁「宇宙利用の拡大と米国の安全保障」

福島康仁「宇宙利用の拡大と米国の安全保障—宇宙コントロールをめぐる議論と政策—」戦略研究学会編『戦略研究』第9号、2011年3月、23〜38ページ。

 福島君は防衛研究所教官をしながら、政策・メディア研究科後期博士課程で博士論文を書いている。この論文は半年ぐらい前に抜き刷りでもらっていたけど、読む時間がなかった。宇宙は私の研究テリトリーではないけど、某学会で宇宙についても発表しなくてはいけなくなったので、出張の機内で読む。

 ブッシュ政権からオバマ政権に代わって、宇宙コントロールという言葉は使われなくなっているらしい。グローバル・コモンズとしての宇宙を重視する姿勢が見えてきている。注がたくさん付いているので、後からたどるのに便利だ。

 私に宇宙のことを学会で話せという依頼が来たのは、アウタースペース(宇宙)とサイバースペースという二つの空間(スペース)に米国が関心を示しているからで、それに共通する点があるのかないのか、これはちょっとした知的チャレンジだ。

Roger Thurow, ”The Fertile Continent”

Roger Thurow, “The Fertile Continent: Africa, Agriculture’s Final Frontier,” Foreign Affairs, November/December 2020.

 書類整理をしていたらたまたま出てきたので、今日は気分を変えてアフリカの食糧問題についての論文。

 といっても、今後の世界の人口増加と食糧不足を考えると気が重くなる。日本は人口が減るとしても、世界では90億人に達するかもしれない。それだけの人間を養うことができるのかは大きな挑戦だ。こうしたテーマは、ITのような「贅沢品」についての研究をしている身からすると、重大さの違いを感じる。

 しかし、マイクロソフトのビル・ゲイツが、3000万ドルものお金をGAFSP(Global Agriculture and Food Security Program)をつぎ込んでいるという論文の中の記述には少し救われる。大金を得た人が賢明にそれを使ってくれるのはありがたいことだ。

小菅他「北西太平洋情報通信調査報告II」

小菅敏夫、岡育生、田中正智、飯田尚志、江戸淳子、牧野康夫「北西太平洋情報通信調査報告II—ミクロネシアの新たな可能性—」『電気通信大学紀要』第4巻1号、1991年、45〜65ページ。

 この報告では、ミクロネシア連邦(FSM)とマーシャル諸島共和国(RMI)が中心。

 グアム〜パラオ〜チュウク〜ポンペイ〜コスラエ〜クワジュリン〜マジュロ〜ホノルル等を結ぶ、ミクロネシア海底ケーブル(仮称)の敷設という提言が書かれている。残念ながら現在でもまだ敷設されていない。

 政府開発援助(ODA)による通信インフラストラクチャの支援も書き込まれているが、現実には日本のODAによる支援はほとんど行われなくなっている。ODA白書によれば、二国間政府開発援助分野別配分の通信は0.26%である。

 通信事業は民間でできる商業性の高いものだからというのが、ODAを使わない理由とされている。しかし、太平洋島嶼国のようなところでは、少なくとも海底ケーブル敷設のような大規模な初期投資は、商業ベースではできない。日本のODA予算が減り続ける中、ここに日本の援助を期待するのは残念ながら難しくなっている。

牧野他「北西太平洋情報通信調査報告」

牧野康夫、小菅敏夫、潮田厳、田中正智「北西太平洋情報通信調査報告—ミクロネシアへの新たなアプローチ—」『電気通信大学紀要』第1巻1号、1988年、69〜82ページ。

 パラオを中心にミクロネシアの通信事情がよく分かる。しかし、いかんせん1988年と古い。パラオの独立は1994年だから、その前になる。

 当時としてはミクロネシアの通信事情に注目するのはとても先端的だっただろう。なにせ、インターネットすら普及していない時代である(当然、インターネットへの言及はない)。

小柏葉子「太平洋島嶼フォーラムと東アジア」

小柏葉子「太平洋島嶼フォーラムと東アジア」関根政美、山本信人編『海域アジア 現代東アジアと日本4』慶應義塾大学出版会、2004年、261〜280ページ。

 太平洋島嶼フォーラム(PIF)が日本、中国、台湾、ASEAN諸国との関係をどうやって発展しようとしてきたかが分析されている。その前提となるのは、旧宗主国であるヨーロッパとのロメ協定(第1次〜第4次)の終了が見えてきたことと、地域の大国であるオーストラリアとニュージーランドとの関係に変化が見えてきたこと。

 日本との関係でいえば、PIFからの強い働きかけで、国際機関である太平洋島嶼センター(PIC)が明治大学の中に開設されているらしい。知らなかった。ウェブを見る限りは、誰が所長なのか分からない。外務省はどれくらいかんでいるのだろう。

小柏葉子「南太平洋フォーラムの軌跡」

小柏葉子「南太平洋フォーラムの軌跡—多元化への道—」百瀬宏編『下位地域協力と転換期国際関係』有信堂高文社、1996年、176〜193ページ。

 南太平洋フォーラム(SPF)の発展過程を、形成期(1971〜70年代末)、変容期(80年代)、新たな展開期(90年代)に分けて論じてる。

 80年代のメラネシアン・スピアヘッド・グループの動きが詳しい。

 一連の小柏論文を読みながら、太平洋島嶼国は地域ガバナンスの事例としてけっこうおもしろいと思うようになる。

中国のインテリジェンス関連3本

高橋博「鬼が笑う十七大予想と中国情報機関の紹介」『東亜』第470号、2006年8月、78〜88ページ。

高橋博「中共軍高層と情報機関の変遷」『東亜』第471号、2006年9月、78〜86ページ。

高橋博「中国の情報機関」『東亜』第472号、2006年10月、74〜85ページ。

 中国のインテリジェンス(情報)機関についての数少ない論考。

 私はチャイナ・ウォッチャーではないので、やたらとたくさん出てくる人名とポストに閉口してしまう。話もあちこちに飛ぶ。

 昔の話がいろいろ書いてあるが、文革終了後のインテリジェンス機関については、総参謀部の第二部、第三部、第四部、連絡部(通信部?)などの軍関連のものの他、国家安全部、公安部、外交部、新華社、各企業があり、これに共産党の中のものが加わるらしい。それらがどう連携しているのかは読み取れない。