凡河内躬恒
心あてに折らばや折らむ初霜の
おきまどわせる白菊の花
まずは、作者の名前である。百人一首の中では難読作者名の一つである。私の高校
時代の友人は「ぼんこうちしんきゅう」と読んだが、正確には「おおしこうちのみ
つね」である。これが難読No.1であろう。あとは難読といっても「家持」「宗
于」「興風」「列樹」「深養父」「能宣」「匡房」といったところであろうか?
それぞれ「やかもち」「むねゆき」「おきかぜ」「つらき」「ふかやぶ」「よしの
ぶ」「まさふさ」である。「大弐三位」「皇嘉門院別当」「殷富門院大輔」といっ
た女流歌人の名も難読であろう。これは「だいにのさんみ」「こうかもんいんのべ
っとう」「いんぷもんいんのたいふ」である。音楽好きの人は「大江千里」を読み
間違えるかもしれない。百人一首のほうは、決して「おおえせんり」ではない。
「おおえのちさと」と覚えよう。また、名前ネタでは長い名前というネタがあるが、
これは別の機会に紹介しよう。
さて、この札は、決まり字でいえば「こころあ」であるが、下の句のほうで 「おき
まど」と呼ぶこともある。チラシ取リ遊びは、この札にちなみ「おきまど」と呼び
慣わされている。「置き惑わせる」というわけである。
チラシ取リの場合、お手付きのペナルティは地域によって様々あるようだが、代表
的なものとしては、次のふたつくらいであろうか? 一つは、お手付きをした人が
それまでの自分の取り札の中から、一枚罰符を出す。その罰符の札は、その次ぎに
詠まれた札を取った人が受け取るという方法である。もう一つは、お手付きをした
札の下に罰符の札を裏返して置いておく方法であ る。間違えて2枚の札を触ってし
まったら、それぞれに一枚づつ置かねばならない。その罰符の置かれた札が詠まれ
た時に取った人が罰符札をもらえるのである。場合によっては、ある札の下に数枚
罰符札が溜まり、それを狙おうとまたお手付きが増えるといったこともあり、興趣
が増す。ぜひ、お試しを!
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