ブルデューについての第1説明:説明
用語の使い方と背景思想
I. キーワードの説明
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社会 = 人間による共同体の一員としての行動や習慣の蓄積してきた場所
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話す = 社会の成員として他者とのやり取りをする;自己呈示
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言葉 = 社会・上記の「話す」を分析する方法
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言説(論) = 社会の中で機能する物質として人間による表現行動を分析する道具
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言語市場 = 社会状況による人間の行動と発想が伝達される、強化される、交換される場。人間の身分を構成するやり取りの場。社会の価値観に従う自己呈示を通して自分たちを相互に受けてもらう場。
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力関係/権力関係 = 近代社会・民主社会にある上司的・代表的・主流の位置を占める者と上司的・代表的・主流ではない者との関係。家庭内、共同体内、国のレベルで「自然化」された関係。
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言葉による権力関係の象徴化:物質的に強いる権力ではなく、言葉の交換を通しての人々の間の相互位置づけの現れ方。
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パロール:ソシュールによる、言語の日常使用。現実世界の中の言葉交換。その交換行動の中からは、言葉の意味が出るはず。
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ラング:ソシュールによる、ある社会の中にある、言葉や言葉の使用を裏付ける考え方やそれによる意味の構築や生産。
言語使用を可能にする、社会で流行っている考え方。
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ハビトゥス:以上の「ラング」のようであるが、より社会のイデオロギーや社会の伝統を中心にする、社会にいる成員が共有する考え方、やり方、信念とこれらに基づいている日常習慣(言語交換の習慣も含む)。
II. 思想の背景
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構造主義
社会現象を構成するさまざまな人間活動と働きを考える論。それらの相互依存(絡み合い)、全体的状況としてとらえる社会体系と社会体系を構造化する要件に関する概念。個人の活動や表現を社会との関係でとらえる概念。方法の背景に、解剖学(生き物の体を支える隠された内面を調査するように、社会のあり方を支える隠された内面を調査する)、建築学(建物の支えという機能を持つ隠された構造を知る)、考古学(人間の歴史、文化、生活を支える隠されたレイヤ・層を発掘する)がある。
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機能主義
社会という人間ネットワークの中に複雑な構造があるという観点からこれらの諸構造とその社会的安定(イデオロギーの統一化)への貢献を分析する論。人間が行為主体としてその内面化(=社会化)と逸脱にたいする制裁とがその役割を演じるということを主張する。社会体系に安定をもたらすという一つの大きな機能の下に、安定に貢献する諸制度と人間の表現に表れる常識を生産する施設(教育、政治、マスメディアなど)の機能も分析する。こうした諸機能を論理的に、物質的に分析する。
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物質主義(唯物論)
人間の環境にある・環境をつくる生産物、日常必需品、医療、文化生産物などを通して社会史と社会現状を説明する論。日常生活を構築する物事と慣習とこれらの社会構造、社会的安定(イデオロギーの統一化)への貢献もみる。