加藤貴昭研究プロジェクトシラバス
テーマ: スポーツサイエンスとモータービヘイビア
注意 :本研究プロジェクトはポリシーと研究手法を共有する福田忠彦、福田亮子、永野智久研究プロジェクトと合同で実施しますが、履修申告はプロジェクトごとに別々で行いますので履修申告の際は注意してください。
担当教員名: 加藤貴昭 (環境情報学部専任講師)
プロジェクト形態: C 型 (総合型研究プロジェクト)
曜日・時限: 木曜5限および金曜5限
目的・内容: 本研究プロジェクトは主にスポーツをはじめとする身体運動 における「ワザ」や「コツ」といった非言語的、包括的な身体の知の解明を目的とします。例えば「巧みな動きとはなんだろう?」とか、「ボールがよく見えるとはどういうことか?」といった、身近な問題にこそ人間の持つ優れた能力を見出すことができると考えられます。
このような人間の振る舞いはモーター・ビヘイビア( Motor Behavior: 運動行動)と呼ばれ、モーター・ビヘイビアに潜む人間の持つ「ワザ」や「コツ」について、科学的な手法により定性的および定量的に評価を行い、自らの意見をもとに考察を行うことを本研究プロジェクトの目的とします。
具体的には 眼球運動測定装置(通称アイカメラ) を用いて人間の視線の推移を計測することで、熟練競技者が用いる視覚探索ストラテジーを解明することが可能となります。
また、ハイビジョンカメラ、ハイスピードカメラ、モーションキャプチャシステムなどを用いた動作解析や3DCG映像の作成によりアスリートの動力学的特性を調べたり、各種生体信号計測やゲーム分析などにより様々な人間の行動を分析することができます。
このような人間の運動を計測する他覚的評価手法に加え、スポーツ心理テスト(DIPCAやPOMSなど)をはじめ、ME法やSD法などの主観的評価手法を学び、モーター・ビヘイビアに潜む問題を発見し解決するセンスを身につけましょう。
授業スケジュール: この研究プロジェクトでは、人間工学的手法に関する講義・演習を行います。この時間以外は、適宜、グループディスカッションや輪講などを行います。
授業スケジュールは、前半では新規履修者対象のコースと継続履修者対象の2つのコースを用意しました。継続履修者とは2006年度春学期までに福田忠彦、加藤貴昭、福田亮子、永野智久いずれかの研究プロジェクトを履修した人のことを指します。新規履修者対象のコースでは、まず本研究プロジェクトでこれまでに多くの履修者が用いてきたいわば基本ともいえる手法を中心に学んでいただきます。継続履修者に関しては、早い段階で実験・調査に着手できるよう、教員とのディスカッションならびにテーマごとのグループディスカッションや測定実習等を行います。
学期の中盤と終盤に行うグループディスカッションは新規・継続合同です。お互いの研究を知り、アドバイスし合える場として活用してください。それから後半のグループ別手法紹介では少人数のグループに分かれて各種手法の習得を目指します。モーションキャプチャ、PowerLab、FrameDIAS、評価グリッド法などを扱う予定です。
なお、シラバスの内容は予定であり、履修者数や希望に応じて変更となることがあります。
木曜日 | 金曜日 | ||
9月28日 | プロジェクト紹介 | 9月29日 | 研究テーマ紹介 自己紹介(1) |
10月5日 | 講義の詳細説明 自己紹介(2) |
10月6日 | 手法の実例紹介 |
10月12日 | 文献調査・発表方法 | 10月13日 | 新規:正規化順位法 継続:ディスカッション(1) |
10月19日 | 新規:眼球運動(測定) 継続:ディスカッション(2) |
10月20日 | 新規:眼球運動(分析) 継続:ディスカッション(3) |
10月26日 | 新規:SD法 継続:ディスカッション(4) |
10月27日 | 新規:SD法 継続:ディスカッション(5) |
11月2日 | テーマ別GD | 11月3日 | (文化の日) |
11月9日 | 中間GD(1) | 11月10日 | 中間GD(2) |
11月16日 | グループ別手法紹介 | 11月17日 | グループ別手法紹介 |
11月30日 | グループ別手法紹介 | 12月1日 | グループ別手法紹介 |
12月7日 | グループ別手法紹介 | 12月8日 | グループ別手法紹介 |
12月14日 | 手法別GD | 12月15日 | 手法別GD |
12月21日 | 実験 | 12月22日 | ゲストスピーカーによる講義 |
1月11日 | 最終発表(1) | 1月12日 | 最終発表(2) |
1月18日 | (補講日) | 1月19日 | 最終発表(3) |
評価方法: グループディスカッション、最終プレゼンテーション、最終研究成果報告書、成果論文を総合して評価します。研究に対する熱意、取り組む姿勢も重視します。また、自己評価も参考にします。
履修条件: スポーツサイエンスとモーター・ビヘイビアに関心のある学生を歓迎します。履修希望者は必ず事前にメールで連絡してください。
受け入れ予定人数: 受け入れ人数を超えた場合も、 できる限り希望に沿えるように考えます。
参考文献:
教科書として「人間工学ガイド」(サイエンティスト社、3150円)を用いますので、授業開始までに用意してください。
以下は参考文献です。
・Magill(2004) 「Motor Learning and Control. 7th ed.」 McGraw-Hill.
・日本スポーツ心理学会(2004)『最新スポーツ心理学:その軌跡と展望』 大修館書店
関連プロジェクト: 本プロジェクトは福田忠彦研究プロジェクト、福田亮子研究プロジェクト、永野智久研究プロジェクトとの合同開催とします。また、大学院のスポーツサイエンスとコグニティブエルゴノミクスプロジェクトとも関連しています。
各研究プロジェクトの違い:
福田忠彦研究プロジェクトは広い意味での環境と人間のかかわりを課題とするエルゴノミクス全般を扱います。ただし、原則として加藤貴昭研究プロジェクト・永野智久研究プロジェクトが扱うスポーツ科学を中心とする分野と福田亮子研究プロジェクトが扱う高齢者生活支援を中心とする分野を除きますが、継続履修者に関してはこの限りではありません。
福田亮子研究プロジェクトでは主として高齢者を対象にした生活支援法(Gerontechnologyという新しい学問分野です)、エルゴノミクスに関する国際データベースの構築を研究対象とします。ヨーロッパにおけるエルゴノミクスの現状についても学べます。
永野智久研究プロジェクトでは主としてスポーツ行動における運動スキルを、科学的に扱います。特に、サッカーに代表されるようなオープンスキルを要するスポーツ行動を研究対象とします。研究の成果をトレーニング現場にフィードバックすることを最終的な目標とします。
加藤貴昭研究プロジェクトでは主としてスポーツ科学を扱います。スポーツ科学に関連するスポーツ心理、スポーツ生理、イメージトレーニング、人間の動作・行動特性などが主な対象です。高次脳情報科学とも連動してスポーツにおける「ワザ」の解明を行います。
委託研究など: 当研究プロジェクトは伝統的に、社会のニーズに合うような研究を行なってきました。大学の研究室内の学習や訓練、練習問題としての研究に留まることなく、できるだけ「問題点」を実社会に求め、社会が要求しているレベルに達するような研究を続けてきました。今期もその方針に変りはありません。将来大学院修士課程(さらに博士課程)への進学を予定している場合は、大学院における研究も視野に入れて研究課題を企画し、内容やスケジュールを検討することを勧めます。只今進行中の研究には以下の課題があります。関心がある方はこれらにも参加してみませんか?これらに関連する研究も歓迎します。なお、個人研究とプロジェクト研究を2つ(あるいはそれ以上)同時に選んでも構いません。
化粧品の容器およびパッケージが人間に与える心理効果の研究
【共同研究機関】 | 株式会社カネボウ化粧品研究所 |
【研究目的】 | 化粧品の容器およびパッケージが消費者に与える心理的効果を官能検査、眼球運動を手がかりとした他覚的評価手法で明らかにする。 |
【研究内容】 | 各種化粧品を用意し、それぞれの容器あるいはパッケージを見てどのように感じるかをSD法、正規化順位法、量推定法などの手法を駆使して明らかにするとともに、 これらを手にしたときにどこを注目するかについてアイカメラを用いて明らかにする。 |
【SFC窓口】 | 岩松奈未(環境情報学部4年) |
連絡先:
研究室: ο207 (内線53327)
共同研究室: κ205 (内線53025)
メールアドレス: tiger@sfc.keio.ac.jp
TA氏名: 内藤潔 (政策・メディア研究科博士3年)
TAメールアドレス: k7110@sfc.keio.ac.jp
研究室HP: http://www.sfc.keio.ac.jp/~tiger/sports/ (履修者のみ閲覧可能)
合同研究プロジェクトHP: http://fukudat.sfc.keio.ac.jp/
その他・留意事項
国内外での学会発表(人間工学会またはスポーツ心理学会等)や、学会誌への論文投稿を目指して頑張りましょう!
本合同プロジェクトに関わる大学院生在籍数: 博士課程5名、修士課程3名
2006年度春学期の最終履修者数: 32名