著書について

2002年8月に初めての著書を出版しました。
メディア・リテラシー表紙
『情報がひらく新しい世界9 メディア・リテラシー』
斎藤俊則(単著)
共立出版株式会社
ISBN 4-320-02971-2
定価 本体3,000円+税
2002年8月30日・初版第1刷発行(全181ページ)

本書はメディア・リテラシーを学ぶ人、およびこれから教えなければならない人のために書かれた総合的な学習テキストです。内容の概略は以下の通りです。

【第1章】 メディア・リテラシーとは何か
 ・・・メディア・リテラシーの主旨、および本書における重要キーワードの解説
【第2章】 記号論の基本概念
 ・・・メディア・リテラシーの(特にメディアテクスト読解に際しての)学問的裏付けである記号論の基本概念の解説
【第3章】 記号論を踏まえたメディアの読解
 ・・・記号論の考え方に則ったメディアテクストの読解演習
【第4章】 社会とメディア(1) −視聴の場に作用する社会的コンテクスト−
 ・・・メディアの視聴に対する社会的現実の作用に関する具体例を通した解説
【第5章】 社会とメディア(2) −メディアの情報と社会の編成−
 ・・・メディア、視聴者、社会的現実の相互作用という観点からの、社会におけるメディアの機能についての理論的な解説
【第6章】 インターネット時代のメディア・リテラシー
 ・・・新しいメディアのポジティブな可能性を引き出すという観点からの、インターネットを題材としたメディア・リテラシーの演習と考察すべきポイントの解説

本書のセールスポイントは以下の3点です。

1)メディア・リテラシーを学ぶことの意味、学問的裏付けの解説に重点が置かれている
2)対象となるメディアとしてマスメディアに加えてインターネットが取り上げられている
3)個人が手軽に実践できる演習問題の例が示されている

 1)について:教育内容としてのメディア・リテラシーの前提には、記号論、メディア論、社会学といった学問的な裏付けがあります。メディア・リテラシーが話題にされる際には、しばしばメディア作品の制作や読解などの実践面が強調され、また出版されるテキストブックなども、主に実践例を中心に取り上げるものが多数を占めます。しかしこうした実践をしなければならない理由や適切な実践のあり方は、本来その学問的な裏付けの理解があってこそ理解されるものです。

 これまで、上記の学問的な裏付けについては、それぞれの分野において個別に出版される入門書などを当たる必要があり、それがメディア・リテラシーの学問的側面に関する学習のしづらさを生んでいました。本書ではそのような学問的裏付けを基本から解説し、さらにそれらの考え方と実践とのつながりを示すことで、メディア・リテラシーを学ぶことの意味の理解に重点を置きました。

 2)について:これまでのメディア・リテラシーの教育内容は、主にマスメディアを前提に編成されてきました。この場合、必然的に「強者としてのマスメディアv.s.弱者としての視聴者」という構図が生まれ、内容においてはマスメディアの批判的読解が中心となりました。

 本書においては、そうした伝統的なメディア・リテラシーの意義を認め、読解のカリキュラムを重視しつつも、近年新たに普及したインターネットの活用を前提とする、新しいメディア・リテラシーのあり方の提示を試みました。インターネットの活用を前提とする場合、単にメディアを読解の対象として見るばかりではなく、批判的な視点を生かしつつ個人がより積極的にメディアに関与していく姿勢が必要です。本書では、そうした姿勢から、個人がインターネットを「自分のためのメディア」として役立てていく意識をはぐくむことに主眼を置いた、実践を中心とするカリキュラムを示しました。

 3)について:本書では学校においてメディア・リテラシーを学ぶ(あるいは教える)人だけでなく、自発的な動機に基づいて学ぶ意欲を持つ多くの人を対象にしています。そのため、特に演習問題の設置に関しては、大掛かりな設備や機材を持たない多くの人が、手軽に学びを深めていけることに配慮しました。


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<情報の掲示責任者>
斎藤 俊則(tsaito《アットマーク》sfc.keio.ac.jp)
このページの最終更新日:2005年1月4日

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