記憶のメカニズム II
- 1.感覚記憶
- 2.短期記憶
- 3.長期記憶
1.感覚記憶
- (1)視覚記憶(iconic memory)と聴覚記憶
- 感覚記憶は、感覚器官において生じる記憶で、眼の場合
は、視覚記憶、耳の場合は、聴覚記憶とよぶ。
- (2)感覚記憶の発見(Sperling の実験)
- Sperlingは、一秒以内の保持能力しかない感覚記憶の
場合には、刺激提示語に通常の手続き(全体報告法)で刺激
を再生してもらうと、再生時間の方が保持時間よりも長くなってしまい、そのため
再生している最中に覚えていた単語を忘れてしまうので、感覚記憶の
存在を立証するのは難しいと考え、部分報告法という独自の
方法で、感覚記憶の存在を証明した。
- (3)全体報告法と部分報告法
- 上段、中段、下段の3段で提示されたアルファベットを再生する際に、
全体報告法では、思い出した順に定時された単語をできるだけ
たくさん思い出してもらうのに対し、部分報告法では、上段、
中断、下段の各段に順に高音、中音、低音を割り当て、刺激提示
語に3種類の音のうち、一種類の音が提示され、提示された音に対応する段の
単語を思い出してもらうという方法である。どの音が提示されるかは、ランダムで
あるので、ある音に対して2つの単語を思い出すことができれば、
他の2音の場合にもそれぞれ2つの単語を思い出すことが可能と
考えられ、計6単語が記憶されていると考えられる。
2.短期記憶
- (1)系列位置効果
- 単語を一つずつ、継時的に定時したあと、思い出した順に
単語を再生してもらうと、定時された順序(系列位置)によって
単語の再生率が異なることが知られている。これを系列位置効果
とよぶ。系列位置効果には、初頭効果と新近性効果があげられる。
- <系列位置曲線>
単語の系列位置を横軸にとり、単語の再生率を縦軸にとり、系列
位置と再生率の関係を表したものを系列位置曲線とよぶ。
- <初頭効果>
系列位置の初めの部分に提示された単語は、再生率が高い。
これを初頭効果とよぶ。
- <新近性効果>
系列位置の最後の部分で提示された単語は、再生率が高い。
これを新近性効果とよぶ。
- (2)短期記憶からの想起(Sternbergの実験)
- Sternberg(1966)は、一桁の数字を単時間提示した後、新たな
数字を提示し、それが前に提示されたものと同じかどうかを
再認してもらい、同じであれば、yのボタンを、異なればn
のボタンをおしてもらうことによって、反応時間を測定した。
その結果、短期記憶における想起では、並列走査、直列打ち切り
走査、直悉皆走査のうち、直列悉皆走査が行われていることを発見した。
3.長期記憶
- (1)宣言的記憶と非宣言的記憶(手続き記憶)
- 宣言的記憶には、意味記憶とエピソード記憶があり、前者は、地球は丸いといった
世界に関する知識であるのに対し、エピソード記憶は、個人の出来事に関する知識から
なる記憶である。それに対して、手続き記憶は、自転車の乗り方のような手続きに関する
記憶で、このような記憶構造をスクリプトとよぶ。例えば、レストランスクリプトは、レ
ストランで食事をする手続き記憶ということになる。
- (2)長期記憶の構造(意味ネットワークモデル)
- <Collins&Quillian (1969)のネットワークモデル>意味記憶の構造として、生物学で
使用する階層構造的な知識構造を仮定した。しかし、典型性効果の説明ができない。
- <Rips,Shoben & Smith(1973)の意味的特徴モデル>概念間の距離をもとに概念構造を
空間表現したもので、典型性効果が説明可能。
- (3)長期記憶からの想起
- <カテゴリー群化>想起される単語は、ランダムでなく、同じカテゴリに属する単語が
まとまって想起される傾向
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