ふたたび台湾にて(11月3日)


(国立台湾大学正門にて)

 国立台湾大学で開かれた第4回東アジア日本研究者協議会で「近代日本のデモクラシーと開発政治」と題して報告しました。

 2016年に韓国・仁川で第1回が開かれてから、中国・天津、日本・京都とバトンが渡され、4回目は台湾・台北での開催となりました。ヨーロッパの日本研究者が集まるEAJS(European Association for Japanese Stuides、ヨーロッパ日本研究学会)をモデルとして、EACJS(East Asian Consortium of Japanese Stuides)と名付けた会も、400人の研究者と80近いセッションが出る盛況ぶりとなりました。
 
 私自身、4回目のパネル設置となった今回は「近代日本におけるデモクラシーと開発:政治と知識の作動から考える」をテーマに議論しました。私が「近代日本のデモクラシーと開発政治」、「蔡龍保さん(国立台北大学)が「植民地台湾の技術移転」、林佩欣さん(同)が「統計調査と植民地統治:台湾を例に」を報告し、台湾を専門とする林文凱さん(台湾・中央研究院)、植民地法制史を専門とする岡崎まゆみさん(立正大学)に討論をお願いしました。朝いちばんの枠で、並行するパネルが12もあったため心配しましたが、多くの方にお越しいただき、豊かな議論を行うことができました。


(蔡龍保先生の報告)

 
 とても活気に満ち溢れた大会で充実したのですが、一点残念だったのは、中国からの参加者がほぼなかったこと、それも出国許可が下りなかったことで、意に反して参加できなかったことでした。中国の研究機関によるパネルも多く予定されており、興味深いものもあっただけに残念な思いがしました。東アジアの日本研究者が一堂に会する場に中国の日本研究者がいないのは、大きな損失のように思います。
 
 台湾といえば、『日本史の論点』(中公新書、2018年)の繁体字中国語版『日本歴史千年之謎』が10月23日に遠足文化から刊行されました。台湾の書店に拙著が並んでいるのは、なんともうれしいことでした。幸い、売れ行き好調とのことでした。共著者の倉本一宏先生とともにインタビューも受けました。どんなかたちになるか楽しみです。


(蔦屋書店のモデルといわれる誠品書店の新巻コーナーにもありました)


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