日本政治外交研究(JPD)

SEMINAR

日本政治外交研究(JPD)

慶應義塾大学総合政策学部・大学院政策メディア研究科にて、日本政治外交研究(通称:JPD)のゼミを開いています。ゼミのウェブサイトはコチラ

(恒例となった台湾・国立政治大学日本研究プログラムでの研究交流)

研究会の目的

 本研究会は、日本政治(近代~現代)、日本外交(近代~現代)のアプローチを用いて、近代・現代日本の政治外交に関する理解を獲得することを目的とします。
日本の政治外交を考える際、必要となる基礎的な知識と理解があります。では、日本の大学を見回してみて、さらにはSFCを眺めてみて、いったいどれだけ共有されているでしょうか。実はそうした基礎は存外、看過されているのではないでしょうか。それでは折角の創造も根無しになってしまいかねません。
そこで、この研究会では日本の政治外交に関する基礎的な知識(歴史的経緯・制度・運用・発展・人物・結果)と理解を獲得することを目指し、その分野の良書を題材として議論を深め、それを通じて、体系的かつ現実的な創造を生み出す知的基盤を獲得していきます。
その際、この研究会では対象事項が有する歴史的経緯、制度、運用、発展、人物、結果を統合的に把握することで理解を深める手法を用います。現状や「自分の視野」だけではない、経験と知識と歴史に立脚した創造の準備を行うためです。
政治を学ぶこと、歴史を知ることはそれ自体、面白く、興味の湧くことです。もちろん、政治・歴史を学ぶことの意味、むしろ面白さは、本研究会を通じて共有していきたいことの一つです。しかし、冒頭で述べたように、日本政治外交史は本研究会の「題材」と考えています。極言すれば、それは題材に過ぎず、目的ではありません。研究会での調査、分析、議論を通じて、自らの住む国がどのように形成され、いかなる長所と短所を有し、それをどうマネジメントしていくことができたのか、できるのか。そのための理解と見識、理解のための自らのスタンスを確立していくことが本研究会の本質的な目的です。
ですから、履修に際して政治学・日本史・世界史の知識の有無は問いません。むしろ、本プロジェクトにおいてメンバーと共に学んでいくものと考えてください。また、詳細に記すように、本研究会は1年をパッケージとして設計してあります。分析視角の確立という本研究会の目的に鑑みても、通年での履修を強く推奨します。つまみ食いではない、継続による実力養成を重んじます。不明な点については、担当者まで問い合わせて下さい。

参考:SFC CLIPさんによる研究会取材記事 2012.6.29
http://sfcclip.net/column2012062904

研究会の概要

 春学期は、まず日本政治・日本外交の基盤的な理解を得るために、最新のすぐれたテキストをもちいて議論を進めます。そののち、現代の構造を理解し分析する力を身につけるため、実態と理論からアプローチする演習を重ねていきます。
秋学期はその基盤を踏まえ、自らの問題関心にあわせた研究に取り組んでいきます。
研究会メンバーの成果のうち、卒業制作と優秀論文については、『日本政治外交研究』(既刊13号)に収録しています。同誌は国会図書館、SFCメディアセンターに所蔵されています。

研究会でのステップアップ

基本的な研究会でのステップアップのケースは以下のようにデザインされています。
1年目前期:基礎知識の獲得
1年目後期:ケースリサーチの実施(タームペーパー執筆)
2年目:ケーススタディの実施(タームペーパー執筆)or卒業制作
3年目:卒業制作(長期的な視野を持った研究)

 なお、本研究会は1年を最低単位としてデザインされています。腰を据えて研究することで、地に足のついた、深い理解を得てもらいたいと考えるからです。よって、履修者は通年での履修を前提と理解してください。メンバーによる研究成果のうち、優秀と認められるものは『日本政治外交研究』に掲載されます。

参考文献

現在考えているものは以下の通りです。メンバーと議論する中でアレンジしていきます。

<政治学のテキスト>
羅芝賢・前田健太郎『権力を読み解く政治学』有斐閣、2024年
砂原庸介・稗田健志・多胡淳『政治学の第一歩』有斐閣、2015年
上神貴佳・三浦まり編『日本政治の第一歩』新版、有斐閣、2023年
坂本治也ほか『ポリティカル・サイエンス入門』法律文化社、2020年
岩崎正洋編『政策過程の理論分析』三和書籍、2012年

<現代からよみとく>
待鳥聡史『政治改革再考』新潮社、2020年
山本圭『現代民主主義』中央公論新社(中公新書)、2021年
曽我謙悟『現代日本の官僚制』東京大学出版会、2016年
濱本真輔『日本の国会議員』中央公論新社(中公新書)、2022年
川人貞史『議院内閣制』東京大学出版会、2015年
待鳥聡史『代議制民主主義』中央公論新社(中公新書)、2015年
坂井豊貴『多数決を疑う―社会的選択理論とは何か』岩波新書、2015年
前田健太郎『女性のいない民主主義』岩波書店(岩波新書)、2019年
吉川洋『高度成長』中公公論新社(中公文庫)、2012年
曽我謙悟『日本の地方政府』中央公論新社(中公新書)、2019年
駒崎弘樹『政策起業家』筑摩書房(ちくま新書)、2022年
谷口正紀『政治とメディア』東京大学出版会、2015年
宮島喬『多文化共生の社会の条件』東京大学出版会、2021年
井手英策『日本財政 転換の指針』岩波新書、2015年
大矢根聡編『国際関係理論と日本外交史』勁草書房、2020年
宮城大蔵『戦後日本外交史』中公新書、2016年
桜澤誠『沖縄現代史』中央公論新社(中公新書)、2015年
園田茂人『アジアの国民感情』中央公論新社(中公新書)、2020年
辻大介『ネット社会と民主主義』有斐閣、2021年

<歴史からよみとく>
清水唯一朗・瀧井一博・村井良太『日本政治史』有斐閣、2020年
境家史郎『戦後日本政治史』中央公論新社(中公新書)、2023年
三谷太一郎『日本の近代とは何であったか』岩波書店、2017年
アーネスト・メイ『歴史の教訓』岩波書店(現代文庫)、2004年
北岡伸一『日本政治史』有斐閣、2011年
小西徳応ほか『戦後日本政治の変遷』北樹出版、2020年
清水真人『平成デモクラシ―史』筑摩書房(ちくま新書)、2018年
Andrew Gordon”A Modern History of Japan: From Tokugawa Times to the Present”, Oxford Univ Press, 2013
ケネス・パイル『欧化と国粋』講談社学術文庫、2013年
清水唯一朗『近代日本の官僚』中央公論新社(中公新書)、2013年
清水唯一朗『政党と官僚の近代』藤原書店、2007年
清水唯一朗「近代」『日本史の論点』中央公論新社(中公新書)、2018年
戸部良一『外務省革新派』中央公論新社(中公新書)、2014年
福永文夫『日本占領史』中央公論新社(中公新書)、2014年
村井良太『政党内閣制の展開と崩壊』有斐閣、2014年
福永文夫・河野康子編『戦後とは何か』上・下、丸善出版、2014年
山本正身『日本教育史』慶應義塾大学出版会、2013年

<人物からよみとく>
清水唯一朗『原敬』中央公論新社(中公新書)、2021年
村井良太『佐藤栄作』中央公論新社(中公新書)、2019年
服部龍二『中曽根康弘』中央公論新社(中公新書)、2015年
早野透『田中角栄』中央公論新社(中公新書)、2013年
福永文夫『大平正芳』中央公論新社(中公新書)、2008年
古川隆久『昭和天皇』中央公論新社(中公新書)、2011年
小林道彦『山県有朋』中央公論新社(中公新書)、2023年
瀧井一博『明治国家をつくった人々』講談社(現代新書)、2013年
瀧井一博『伊藤博文』中央公論新社(中公新書)、2010年
北岡伸一『後藤新平』中央公論新社(中公新書)、2014年
御厨貴編『増補版 歴代首相物語』新書館、2013年

<研究の方法を学ぶ>
秋吉貴雄ほか『公共政策学の基礎[第三版]』有斐閣、2020年
秋吉貴雄『入門 公共政策学』中央公論新社(中公新書)、2017年
保城広至『歴史から理論を想像する方法』勁草書房、2014年
P. ピアソン『ポリティクス・イン・タイム』勁草書房、2010年
久米郁男『原因を推論する−政治分析方法論のすすめ』有斐閣、2013年
岩崎正洋編『政策過程の理論分析』三和書房、2012年
伊藤修一郎『政策リサーチ入門 増補版』東京大学出版会、2022年

その他

希望者による以下のイベントを予定しています。
霞ヶ関~永田町トリップツアー(春ごろ)
インゼミ(台湾・国立政治大学日本研究プログラム、立命館大学政策科学部上久保ゼミなど。夏ごろ)
社会人セッション(官僚、メディア、企業人などによる特別講義)
吉野作造記念館人材育成研修会(9月、宮城県。東大、東北大、京大などのインカレ)
神田神保町ブックトリップツアー(10月頃)
横浜開港資料館トリップツアー(12月)

関連講義:詳細は講義ページを参照してください

日本の近現代(旧:近代史、慶應義塾大学SFC、春学期)
Japan in the World History(GIGA)(慶應義塾大学SFC、偶数年度秋学期)
政策デザインワークショップ(慶應義塾大学SFC、偶数年度秋学期)
古典と現在(慶應義塾大学SFC、奇数年度秋学期)
日本研究概論1(慶應義塾大学SFC、秋学期)
日本研究概論2(慶應義塾大学SFC、春学期)
日本政治研究(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
ガバナンス論(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
グローバル・ガバナンスとリージョナル・ガバナンス(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
学際日本研究(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)

これまでの卒業研究テーマ

2023年度

「若者の政治参加はどのように促進されるか」
「緊急避妊薬のスイッチOTC化はなぜ実現しないのか」
「日本社会における非制度的政治参加の可能性」
「歴史認識問題に対するメディアの役割」

2022年度

「基地の及ぼす影響と自治体の取り組み」
「国際問題への当事者意識を高めるには」
「性被害を克服する言葉の力」
「小規模自治体における生物多様性地域戦略」(優秀卒業制作)
「ハワイ併合期日系移民とハワイ社会」
「日本におけるイデオロギーと野党協力」

2021年度(担当教員サバティカル休暇中)

「引揚者の精神生活史を進化医学でで捉え直す」

2020年度

「災害時におけるメディアコンソーシアムの可能性」
「戦後日本における戦争の継承と平和の語られ方」
「日本人の在日朝鮮人差別―形成された差別感とその実態」
「持続可能な部活動モデルの提示」(優秀卒業制作)
「マイノリティが『自分らしく』生きるための課題の発見と考察」
「政策過程での住民と行政の協働はなぜ実現するのか」(優秀卒業制作表彰)

2019年度

「不安定化する社会における天皇と国民」
「自治体によるオーケストラ支援のあり方を考える」
「模擬選挙改善の考察および意義の再考」(優秀卒業制作)
「小学校における語源重視型漢字教育の効験」

2018年度

「軍隊と天皇の『御下賜品』―皇軍の形成からその解体まで」(優秀卒業制作表彰)
「日本の外国人政策―これからの移民政策に向けて」
「白鳥敏夫と外交―その思想の変容と戦前日本外交における役割」
「日本文化のグローバル化―日本の伝統を、世界の『DENTO』へ」

2017年度

「皇室外交の意義と役割ー大正から平成と、その先の時代でー」
「戦後日本における代議制民主主義の限界と可能性―第一次安保闘争を事例に」
「官邸主導を機能させるための政策決定過程」(優秀卒業制作表彰)
「有権者による政治家「支持」の要因について」
「エビデンスなき教育政策—その実態とゆくえ」
「田中角栄の異能さ―日米繊維交渉を事例に―」
「初期吉田茂内閣における政治基盤の形成過程」

2016年度

「ある革新運動家の海外体験と思想形成―」(優秀卒業制作表彰)
「戦後日本外交の「巧みさ」が生み出す言説と政策の乖離」
「政党はいかにして政党支持者を繋ぎ止めるのか」
「政策プレーヤーとしての新聞」

2015年度

「母親の再就労支援策を考える」
「住民はなぜまちづくりに参加するのか」(優秀卒業制作表彰)

2014年度

担当教員在外研究のため休講。

2013年度

「FARCの組織的変遷と理論的考察」
「日韓議員連盟の沿革と活動」(優秀卒業制作表彰)
「民主党政権における政府・与党一元化の考察」
「教育再生会議にみる教育政策決定過程の変容」
「高校中退を乗り越えるために―中退要因とその後の選択から―」

2012年度

「安全保障政策における首相の政治指導」
「育児と仕事の両立支援政策の検証」(優秀卒業制作表彰)
「明治日本とギリシャ思想」
「原子力政策からみるヨルダンの未来図」
「国家イメージ戦略の変遷とジャパン・ブランドの今後」
「幕末維新期における思想の政治的意義」
「宮沢談話の政治過程」
「ブルデュー社会学の認識論的前提」(2012年度湘南藤沢学会優秀賞)
「『首都自治』における政治コミュニケーション」
「コロンビア政府とFARCの和平交渉」

2011年度

「施政方針演説-時代認識、政治理念、実現-」
「日本のスマートネイビー教育-幕末から終戦までの海軍兵学校-」
「沖縄の自立に関する一考察-沖縄復興計画を通して-」(優秀卒業制作表彰)
「合議制の変遷-権威と権力の相克-」
「集落移転の決定要因-長野県松本市四賀地区を事例に-」
「日本再建を支えた食の光と陰-アメリカの食料援助がもたらしたもの-」
「ミャンマーにおける「春」の行方-民主化の可能性と国際社会のはざま-」
「足尾銅山鉱毒事件をめぐる公害報道の比較」
「予算編成改定における総理の意思と政局」

2010年度

「報道と内閣支持率」
「首相の権力と閣僚人事」(優秀卒業制作表彰)
「東京都の食糧政策と戦後復興」
「日本の過疎対策」
「ポスト沖縄振興開発計画の展望」
「『日本人』と『日本国民』」

2009年度

「官僚による国家デザインの軌跡」
「日本・インド関係史―貿易形成から二国間援助まで」
「戦時日本におけるニュース映画」
「沖縄県における選挙共闘―革新共闘会議を事例に」(優秀卒業制作表彰)
「中曽根―レーガン関係と1980年代の日米外交」
「ポピュリズム政治の祖型を求めて―初期美濃部都政の研究」
「ラジオ草創期におけるメディア環境の変化―逓信官僚の視点をふまえて」

2008年度

「丸山眞男の『福澤惚れ』―戦後民主主義への展望」
「日印貿易形成史―民間資本の動きを中心に―」
「戦後沖縄県政における革新共闘の実像」
「広島・長崎への原爆投下とニュージーランド世論」
「戦時期のニュース映画(時事映画)研究」

2007年度

「大平政権における日本外交」
「占領初期における日本型民主主義の模索―前田多門による戦後文教改革を中心に―」
「臨時教育会議と体育政策」
「戦前における道州制議論の考察」
「日米構造協議の政策過程」

研究会の構成

2024年度春学期 16名+留学休学中3名

2023年度秋学期 13名(男6、女7)+留学休学中3名
2023年度春学期 15名(男7、女8)+留学休学中3名北京外国語大学1名
2022年度秋学期 15名(男6、女9)+留学休学中2名:北京外国語大学1名
2022年度春学期 15名(男5、女10)+休学中1名:北京外国語大学1名
2021年度秋学期 12名(男6、女6)+休学中1名
2021年度春学期 12名(男5、女7)
2020年度秋学期 14名(男7、女7)
2020年度春学期 16名(男9、女7):政策メディア研究科1名
2019年度秋学期 14名(男7、女7):政策メディア研究科1名
2019年度春学期 12名(男7、女7):政策メディア研究科1名
2018年度秋学期 13名(男8、女5):政策メディア研究科1名
2019年度春学期 14名(男7、女7)
2018年度秋学期 13名(男8、女5):政策メディア研究科1名
2018年度春学期 14名(男9、女5):政策メディア研究科1名
2017年度秋学期 16名(男10、女6):政策メディア研究科1名
2017年度春学期 16名(男11、女5):政策メディア研究科1名
2016年度秋学期 17名(男11、女6):台湾・国立政治大学日本研究プログラム1名
2016年度春学期 16名(男11、女5)
2015年度秋学期 13名(男8、女5)
2015年度春学期 12名(男8、女4)
2014年度は担当者留学のため休講。
2013年度秋学期 15名(男8、女7):商学部1名
2013年度春学期 15名(男8、女7):ドイツ・ルール大学ボーフム校日本学科1名、商学部1名
2012年度秋学期 17名(男11、女6):ドイツ・ルール大学ボーフム校日本学科1名、法学部政治学科1名
2012年度春学期 16名(男9、女7):延世大学大学院1名、法学部政治学科1名
2011年度秋学期 20名(男9、女11):延世大学大学院1名
2011年度春学期 19名(男9、女10)
2010年度秋学期 21名(男11、女10)
2010年度春学期 21名(男11、女10)
2009年度秋学期 20名(男13、女7):法学部政治学科1名、文学部社会学専攻1名
2009年度春学期 18名(男11、女7):文学部社会学専攻1名、政策メディア研究科1名
2008年度秋学期 15名(男10、女5):同上
2008年度春学期 16名(男10、女6):政策メディア研究科1名参加
2007年度秋学期 10名(男7、女3)
2007年度春学期 12名(男9、女3)