日本の健康保険のなかで使われている薬剤費は年間約600兆円である。
国民医療費の30%以上である。薬剤の処方は医師の専決のようなものなので、
第三者がとやかくいうべきでないという見解もあるが、それにしても投与量が
少ないとはいえない。日本の場合、先にもちょっと触れたように、薬価基準と
実勢価格に差があるために、薬を投与するほど医療機関は利ザヤによって
財政的に潤うという側面がある。これが、多種の薬剤を大量に投与するという
傾向を生んでいないとはいえない。
多くのガンの薬は、販売許可になっていても特効的に効くケースはきわめて
少ない。そういう効果のあまり期待できない薬でも、ガン患者に投与され、
それが副作用も起こす。その副作用のひとつともみられる帯状疱疹を治すために
ソリブジンを投与して患者が死んだというのは、何をやっているのかわからない
ということになるだろう。