加藤寛氏との対談は、元大蔵官僚の松田氏の参加も得、実りあるものであった。 内容は財投中心だったが、我々の提案も幾らかの修正を加える必要を切に感じた。 加藤氏の現実的かつ理に貫かれた政策の理解に少しでも役立てられるよう、分 野別に加藤氏の考えを列挙する。
(注)我々は情報公開法とディスクロージャー法とを同義に解釈していたが、加藤氏によれば両者の定義は異なるとのことであった。
情報公開法:請求があってはじめて情報公開(請求必要)
ディスクロージャー法:請求がなくとも行政自ら情報公開しなくてはならない。
(1) 省庁統廃合
そうできればよいが官僚が望むはずもなく、現実性が薄い。その''城''に直接討ち入るよりも具体的な''砦''の切り崩しに着手すべきである。
(2) 特殊法人の整理廃合
特殊法人のどこに無駄が生じているかなど証明がつかず、とても実行に移せるとは言い難い。もっともディスクロージャーがなされれば可能かもしれないが………。
(3) シーリング制
考え方は良いが実行不可能。なぜなら平成不況のさなかにある今、財政の底入れには政府支出の増加が不可欠であって、このことが財投アップに理論的根拠を与えているのである。
(4) 用途別財投債の発行
予算配分をめぐる特殊法人間さらには癒着関係にある官庁間の対立を激化するだけであり、財投のスリム化には結びつかず、監視機能を持つ大蔵省理財局の肥大化さえ招きかねない。財投債の正しく無駄のない利用を目指すなら、特殊法人別財投債発行の方がより現実味がある。
(5) 短期財投債の運用
良い提案だ。長期運用悪弊の典型例としては都市住宅金融公庫がある。これは70年もの長期運用を行なっているため、たとえ当時の財投金利が低かったとしても、変動金利制を考慮に入れればはるかにリスクの方が大きい。また、長期にまたがるがゆえに、無駄使いや赤字に対する認識も欠ける。長期運用は即やめねばならない。
(6) 郵貯の縮小
財投をスリム化させるには入口機関の郵便貯金の縮小が急務だ。普通貯金金利が銀行よりも1%ほど高いことが第一の問題であり、最近の郵便貯金全体に占める割合の増加は、財投の肥大化を象徴しているかのようである。だから、この利率の引き下げに真っ先に手を付ける政策は賢明だ。
(例外)道路公団------地方自治体のバックアップあり→地方分割すれば良い。
(2) 特殊法人別財投債発行
不要な法人には予算がまわらない→自然消滅
(3) 特殊法人民営化
規制に苦しんでいるところからつぶす(自ら独立の道を望んでいるから)
民営企業にしても黒字経営できるところは民営に転向
(4) 行政手続法の強化運用
弾力条項(50%自由運用)に歯止め→財投の用途不明金消滅→特殊法人の利益低減
(5) ディスクロージャー法の成立
望まなくとも情報が公開される社会へ