1995年6月14日に千代田区内幸町にある東京電力本社で営業部料金課主任の野
口哲三氏に1時間ほど話を伺った。
まず、規制緩和を望んでいるかという質問から単刀直入に入ったが、これに対し、
「消費者の利益を第一に考えているので、それがより一層すすむような規制緩和なら
ば望む」と、綺麗な答えを返されてしまった。ただ、電気事業法の31年ぶりの改正は
必然的なものとして受けとめているようだった。
実際に料金に反映される時期についてはまだ未定とのことであり、新料金制度の具
体的な部分についても検討中らしい。
コスト削減の可能性について聞いてみた。経済的な電源構成の構築、効率的な流通
設備計画、広域運営の推進、新技術新工法の採用などに取り組んでいて、例えば長距
離送電のロスについては、現在、ロスの少ない超伝導の電線を開発中だそうだ。
効率を優先すると、安定供給との兼ね合いが問題となる。「現状が既に過剰すぎる
との指摘もあり、周波数や電圧などを今よりもう少し雑にしても良いにではないかと
も考えている」との言葉も出た。どこまでの安定度が望ましいかについては、国民が
今後、判断するべきだろう。用途によっても必要な安定度は異なってくるはずだ。
ところで、今回の改正に対する企業の反応はどうなのだろうか。「問い合わせは結
構ある」そうだ。しかし、各企業に対して公正を期すために、問い合わせにはあまり
深くは答えられないとのことだ。新聞で幾つかの企業の新規参入が報じられているが
、「本当かどうか疑問」らしい。
改正された電気事業法の施行から今後について聞いた。新規参入の事業者が安く電
力を供給することが可能な場合、自社の発電量を減らしてでも買うとの回答を得た。
これは以前では考えられないことであり、多くの企業が電気事業に参入すれば今まで
の体制が大きく変わっていくことは間違いない。
電力会社側にすれば、単にコストを削るだけでは利益にならない。「一層の努力が
必要」だ。
私たちが研究を進める中で、規制緩和が省エネを逆行させてしまうのではないかと
いう危惧が強くなっていった。「経済的な電源構成」1つとっても問題は大きい。
今後とも、電力の需要は伸び続けるだろう。この点に関し将来に対する危機意識を
尋ねたところ、「すごくあります」との答え。需要の伸びに働きかけるDemand Side
Managementも必要になるだろう。新たな規制も考えるべきかも知れない。
いずれにしても、来年1月に改正電気事業法が施行され、電気の世界にはいくつかの
変化が起こり始めるだろう。今や絶対に欠かすことのできない電気。規制緩和によっ
てどのような方向に進んでいくのか、注目したい。
お話をうかがった方 ジャスコ相模原店次長 長谷川様 クレコ ジャスコ相模原営業所設備所長 小寺様
1994年8月より昭和Shellより電力の特定供給を受けている。つまり昭和Shellがジ
ャスコに対し、電力販売を行っているということである。
電力会社以外の企業が電気を起こして売るには、自家発自家消費の延長線上で認め
られ通産省の許可が得られたときに限られている。ジャスコと昭和Shell派、昭和She
llの保有している土地をジャスコが借りているということで、上記の条件を満たして
いるわけである。
ジャスコの地下の発電システムは9:20〜22:05まで動いており、夜の間においては東
電からの電気のみに頼っている。また、ふだんから不足分は東電より2千kwを購入し
てまかなっている。
FAX及び、直接うかがった話より特定供給のメリットのいくつかを下に挙げる。
今、日本の十電力会社は予期できない日々、時間毎の電力使用量の為に余分な電力
を多量に発電しているが、ここ、ジャスコにおいて、店舗内で消費する電力量はだい
たい目安がついているので過剰な電力を発電させなくてすむようだ。
特定供給はコストを低くおさえ、またロスを生まない効率的な仕組みだということ
を納得させられた。特定供給のメリットがこれだけ裏付けられた上で、長谷川様、小
寺様は、ジャスコの例をもっと増やすべきであるとおっしゃっていた。
現在は十電力会社が日本の電気事業界の中心となっているが、この問題点について
お話をうかがった。
(株)クレコの小寺様は以前電力会社につとめていらっしゃったこともありそれら
のことについては結構詳しかった。
今、日本において(主に関東、関西であるが)電力不足が問題になっている。その
ために事業者を増やす必要があるが、どうも参入は厳しい。その理由について、今の
発電においては電力の安定性を重視しすぎ、高品質のものを求めすぎていることが挙
げられた。それにより過剰設備が整えられているそうだ。電力供給の安定性、また、
電力の質をもう少し下げても平気であろうから、通産省の認可基準を落とし、参入し
やすいようにするべきだという意見をうかがった。
また、一方で、今回のジャスコと昭和Shellの特定供給を行うに当たり、その際の認
可においては適当な基準を満たしているにも関わらず、その許可までに時間がかかり
すぎたというコメントもいただいた。
特定供給のメリットが大きいだけに特定供給をやりたいという企業は多いらしく我
々がジャスコを訪問した時にも、ある企業が発電設備の見学に来ていた。昭和Shellの
ように特定供給を行いたい企業の例として、日本紙業の名も挙がった。
また、日本の自動車会社においては、コスト安ですむ海外生産が増え日本国内にお
いてはその空洞化が顕著になっている。その為、以前工場が立地していた地区に sh
opping center を建て特定供給を進めていこうとする動きがあるというお話もうかが
った。
さらには、自動車関連会社の他にもNTT,JTもあそばせている土地があるため、特定
供給を行う可能性があるようだ。
代表→ 業務部 → 東京本社、技術課 → 総務部この方が不在だったので、後ほど連絡をくれるように言われたが、結局そのまま。 何度か電話したが、いつもいなかった。