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規制緩和という「悪夢」

1994年8月・11月そして95年の2月に, 文芸春秋に「規制緩和の悪夢」という記事が 掲載された。この記事は, 規制緩和に対する正面切った批判として大きな話題となった。 そこで,規制緩和反対論の代表的なものである「規制緩和の悪夢」を分析してみたい。

規制緩和賛成論には2種類ある。第1は,市民主権の立場からの官僚制度排除の 一環としての(規制緩和の政治的側面での)賛成であり,第2に日本産業 再構築の手段としての(規制緩和の経済的側面での)賛成論である。そして 第2の意見は,規制緩和の後に来る「自由競争」が日本経済を活性化させると 信じている。しかし,「規制緩和の悪夢」は·第2·の ·賛·成·論·に·対·す·る反論 であり, 自由競争に対する疑念であることを念頭に置いてほしい。

さて,「規制緩和の悪夢」では3つの疑問点を挙げている。すなわち 規制緩和によって,

  1. 新産業は本当に生まれるのか
  2. 物価が下がって,消費者の実質的な所得は上昇するのか
  3. 雇用はどうなるのか
である。(1・3は規制緩和賛成の代表的な主張である)

「規制緩和の悪夢」(1994年8月)では,反論に使う具体例として アメリカの航空自由化を挙げている。この詳細は省略するが,抽象的に この「悪夢」を列挙すると,

と,真っ向と規制緩和に反論している。(しかし日経ビジネス1993年 1220号ではアメリカの航空自由化が規制緩和の成功例として 挙げられているところからみると,かなり論議の分かれる問題であるらしい。) また,「日本では規制緩和のデメリットを情報公開していない」ことも 問題としている。その後の「規制緩和の悪夢」でも,この線に沿った 批判を繰り返している。



Atsushi Kusano
Thu May 8 15:35:48 JST 1997