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調査方法であるが、学生にあらかじめこちらで作成したチェックリストを持参
させ、慶應の名前をなるべく出さず、この調査の真の目的も明かさずに単なる
一般国民という立場で官庁訪問を行なわせた。そして各省庁の印象を幾つかの
項目に分け彼らなりの印象・視点により評価してもらった。以下は主な質問項目の集計結果である。
*応対*
まず窓口での担当者の応対だが、24対4で丁寧な方が多いという結果が出た。
以下は学生達が挙げた、応対が良かったという例である。
- 経済企画庁(電源開発基本計画):冷たい飲物が出て、請求した文書についての基礎事実か
らの説明、さらに慶應のOBの紹介もしてくれて、大変楽しかった。
- 運輸省:テーブルにあった飴の箱を見て、『飴くれませんか』と尋ねた
ところ、『どうぞどうぞ』とくれた。→訪問者用にあらかじめおいてあったら
しい
- 農水省(外国農産物検査要綱):窓口がきちんと整備されており、担当者に事情を話すとすぐに
資料の現物をくれた。その後も研究計画に関して私達に尋ね、別の資料もくれ
た。予想以上に楽だったので、『ずいぶん簡単に公開して下さるのですね。』
と私達が言うと『ええ、全然構いませんよ』という返答が来た。
一方、以下は対応が悪かったという例である。
- 通産省:かなり時間がかかった。こちらが何か用件を言うたびに上司に
伺いを立てていて、その都度10分くらい待たされて、結局2つの文書を入手
するまでに1時間半かかってしまった。
- 総理府(調達契約):「理由をはっきりした上で訪ねて欲しい。」と言われた。
- 国土庁(過疎対策の現状):応対は親切で、机も貸してくれた。私達に対する好奇の視線を多少感じたが、全体的に無関心で、仕事熱心だなと思った。
*目的、身分*
ほとんどの省庁で目的や身分は聞かれた。これは色々な解釈ができる。単に彼
らの好奇心から出た「何に使うんですか。」という質問もあったようだし、一
方でこちらを疑念の目で見て、学生達にこの文書はできるだけ見せたくないの
ではないかとの印象を与えるものもあったようだ。以下はその例である。
- 総理府(調達契約):本来なら開示可能な文書について、『具体的に何
に使うのか?』
『本当に必要なのか?』『前例がない』『報告すべきものは官報に載せている
ので特に見せる必要はない』などと完全に断られた。
*コピー*
目的の文書を見せて頂いた上で、コピーを求めてみた。各省庁、部署によって、
現物をそのままくれるところ、コピーをさせてくれるところなどまちまちであっ
た。また原則禁止と断られたがお願いしたら『特別ですよー』とかなりの枚数
をコピーしてくれたところもあった。
ただし、中にはその場で判断された上で断られたという印象を受けた班もあっ
たようであり、コピーに対して明確な判断基準が存在していない、という指摘
も学生からあった。
また学生達はいくつかの部署では完全にコピーを断られてしまったが、その理
由としては以下のようなものがあった。
- 『情報の乱用を防ぐため』(外務省)
- 『担当者の一存では許可できない』(厚生省)
- 『コピーを許すと狭い公開室に人が殺到する』
『国会図書館で同じものがあるからそこでコピーできる』(科学技術庁)
- 法務省(出入国管理基本計画)では、『コピーしたい』と言うと、裏でゴソゴソとグチられた。
彼らは 『コピー許しちゃだめだよ。そうやって例外を認めると後からどんどん
来るだろう。』と言っていた。
その上でコピーを40ページ分頼んだところ少し嫌な顔をされた。そして『そ
ういうことはしていない。2〜3枚ならサービスだけれども、常識の範囲外
はちょっと…』と言われた。(結局目で訴えてコピーしてもらった)
Atsushi Kusano
Thu May 8 15:35:48 JST 1997