このように第二の予算と言われ、私たちの国民生活に有益とされてきた財政投 融資だが、現在は様々な問題を抱えており、国民にとって有害でさえあるとも いえる。その問題点を挙げよう。
郵便貯金はそのメリットとして利子が高い点が挙げられるが、財投は、国によ る事業を進めるという性格上、金利を低くしなければならない。これでは必然 的に財政赤字になるわけである。この赤字が現在どのように補填されているか といえば、一般会計の補助金や補給金、つまり税金で補われているのである。 また、高速道路の料金や住宅公団家賃が高いなどという形でも国民の負担となっ ている。
国民は一見得をしているようでその実、大きな負担を負わされているのである。 しかもそれが郵貯利用者にのみ還元されているとすれば、不公平極まりない。
現在ある特殊法人の中には、時代の変化とともに不必要になったもの、同じよ うな事業を重ねて行なっているものなど、資金の無駄となっていると思われる 法人がある。これは省庁統廃合にもいえることだが、仕事を細分化し過ぎるの は問題である。なぜなら、事業や予算の取り合いが生じたり、総合的な視野で 見ることができないからである。特殊法人に関しては、大蔵省理財局が財政投 融資計画を無駄なく作成し推進すれば良いのだが、それができないのは次に挙 げる問題のためである。
特殊法人への予算を振り分けるにあたって弾力条項というものがあり、一度決 定した予算を官僚の裁量によって変更することができ、しかも50パーセント まで予算を増やすことが可能である。その結果、予算を握っている大蔵省をは じめ官僚の、いわゆる「天下り」がおきているといえる。これも財投を肥大化 させる大きな原因になっているといえよう。
国の事業であるため運用計画が長期的になってしまうのはある程度避けられな いが、そのために景気や物価変動の影響を受けて財投が大変危険な投資になっ ていることは否めない。
財投がどの特殊法人にどれだけ配分されているのか、特殊法人は何の事業にど れだけ費やしたのか、赤字はどう補っているのか、これらの情報を今、国民が どれだけ知っているだろうか。情報公開の不徹底さに、官僚と特殊法人の癒着 が情報の不透明さに拍車をかけているともいえる。